事例紹介: 株式会社エコワスプラント

株式会社エコワスプラント 代表取締役社長 浅尾 洋和氏

産業廃棄物処理の継続によって
被災地の早期復旧に貢献

株式会社エコワスプラント ロゴ

代表取締役社長 浅尾 洋和氏

想定リスク: 地震
業種: サービス業

-事業内容を教えてください。

当社は、産業廃棄物処理業を中心に一般廃棄物処理業、解体工事業等を行っております。主な顧客は大手ゼネコン・ハウスメーカー等の上場企業が中心です。多摩地区有数の処理能力、リサイクル率を誇る最新式の廃棄物中間処理プラントを有し、持込から収集まで、多種多様なサービスをお客様へ提供しています。また、平成17年には環境省による「処理業者優良評価制度」優良認定を関東で最初に取得し、創業開始から10年と若い会社でありながら、コンプライアンスの実践と積極的な情報公開により多くの顧客から高い評価をいただいております。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災では、車両や重機の燃料不足が懸念された時期もありましたが、当社の場合、幸いにも仕入先が融通してくれたため事業に大きな支障をきたすことはありませんでした。 しかし、同業他社の中には燃料不足のために重機やトラックが使用できず、事業を停止せざるを得なかった企業もあり、また、計画停電により電力がない場合の対応には苦労したため、東日本大震災以降もBCPに関心を持っていました。

BCPについては、様々な事態を想定して、必要と思われる帳票類などの経営資源に対して個別に対応を実施して事業を継続していくためのものと思っていましたが、それを従業員が使えるレベルの計画書に落とし込むための情報整理の仕方にはイメージがわかないような状況でした。

そんな中、建設廃棄物協同組合のBCPセミナーで改めて必要性を認識したため、東京都BCP策定支援事業に参加することにしました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

当社業務の流れは、大手ゼネコン・ハウスメーカー等の各作業所等で発生する産業廃棄物を収集・運搬し、再資源化するために分別・選別・処理をし、搬出先や販売先に搬送する、というものです。収集・運搬・搬送に必要な「道路」と、分別・選別・処理を行うための機械設備の「電力」に大きく依存していることが特徴です。今回は、電力がまったく使用できず、施設内の機械設備や情報システム、重機や車両が破損する等、ほぼすべての経営資源を使用できない状況を想定して代替策を検討しました。

まず、道路と車両の被災状況に応じて、一時中断すべき案件と継続すべき案件を選別します。ドライバーの安否や災害時の車両の取り扱いが大きく影響しますので、発災時において通信が使用できない場合の対応や車両乗り捨て等については厳密に行動基準を策定しています。基本的には自社施設内での事業継続を優先しますが、業務再開にはバックホウ(ショベル系掘削機)を含む重機・機械・装置が必要です。発災後、これらの被災状況を確認し、自社内で対応可能か、代替拠点(再委託契約:顧客・同業他社)での対応が必要かを素早く判断するために、確認箇所の優先順位を明確にしました。また、搬出先や販売先が同時被災した場合には、平時より協力関係にある取引先で対応できることを確認しております。

自社で対応できない場合に必要となる再委託契約については、協同組合を通じて対象となる企業との協定を締結準備中です。

対象事業産業廃棄物収集運搬業・産業廃棄物処分業
対象リスク地震
被災シナリオ・ 社会インフラの停止(電力・交通規制)
・ 機械設備・重機の使用不可
・ 情報機器の使用不可
・ 本社・工場の使用不可
・ 仕入先・再委託先の同時被災
予防・低減策・ 情報機器の固定及びレイアウト変更
・ バックアップデータ保管場所の変更
代替策・ 一部機械設備・重機のリースによる代替
・ 情報機器使用不可の際は、既存文書及びクラウドサービスの活用
・ 被災状況に応じた搬出先・販売先の変更(平時協力関係にある別取引先に代替)
・ 再委託契約による対応(協定締結中)

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

今までの経験から、ある程度予測していた部分もありましたが、BCP策定の前提となる被害想定の考え方や経営資源の洗い出しは、自社だけで検討していたら何から始めたら良いかわからず、かなりの時間を費やしていたと思います。今回は、最低限必要となる経営資源が明確になった点で、策定に当たっての苦労が報われたと思います。

産業廃棄物処理業には多くの法規制が適用されています。例えば当社の運搬車両がすべて使用不可となってしまうと、規制のためにリース車両を活用することもできず、車両を修理するか、車両を新たに購入して行政の登録の手順を踏むか、同業他社に再委託契約してもらうか、という3つの選択肢しかない状況となってしまいます。また、工場設備が喪失した場合等はもっと複雑なことになってしまいます。業務の特性上、規制の多さは当たり前という認識はありましたが、簡単に代替できないということを改めて実感しました。

-BCPを策定した感想をお願いします。

災害時の車両の取扱い等、明確に決まっていなかったことや、安否確認や連絡手段等、形骸化してしまっていたものを明確な行動ルールとして整理できたことが良かったと思います。

今回策定に関わったメンバーは、BCPの必要性から対策までを理解し、危機意識を高めることができましたが、それ以外のメンバーはこれからになります。策定したBCPを実際に使えるものにするために、それをどのように運用していくかが重要と感じております。全社に根づかせるためにも、演習や教育に取り組んでいきたいと思います。(策定終了後の11月26日 にさっそく全社で演習を実施しました)

株式会社エコワスプラント BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長浅尾 洋和 氏
工場長橋本 健司 氏
業務部 運行管理課 課長中野 和年 氏
経営企画部澤田 鉄平 氏
会社情報
称号: 株式会社エコワスプラント
本社所在地: 東京都西多摩郡日ノ出町平井34-1
設立: 1999年1月
資本金: 6,000万円
従業員数: 59人
代表者: 代表取締役社長 浅尾 洋和
事業内容: 産業廃棄物処理業、一般廃棄物処理業、解体工事業
URL: http://www.g-chem.jp

(2012年12月末日現在)

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