－事業内容を教えてください。

当社は、快適なオフィス環境のコンシェルジュを目指し、法人向けOA機器等の販売と保守、システム開発、人材派遣など多彩な事業を展開しております。効率的で低コストを実現したオフィス設計から、ご要望に沿った情報システム開発、そしてシステムを稼働させる際の人材派遣を含めたオペレーション業務まで、一貫したサービスを提供できる点が弊社の強みであります。

－今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災では、派遣社員を含めた従業員の安否確認の問題が顕在化しました。電話回線の混雑もあり、全員の無事を確認することに大変な労力と時間がかかりました。

私は東日本大震災の翌日から予定していた海外出張をキャンセルして、発災後の混乱している状況の指揮を執り、乗り切りました。しかし、顕在化した問題への対応を含めて、トップが不在の際にも有事にスムーズな対応ができる体制を確立したいと思い、当事業に参加しました。

－策定されたBCPの内容を教えてください。

今回は、他事業への展開を踏まえて最も汎用性が高く、最も多くの従業員（派遣社員含む）を抱える人材派遣事業を対象にしました。

発災直後の初動対応では、その時稼働している現場の従業員と派遣先の状況確認が必要となります。

派遣社員の勤務の可否にかかわらず、派遣先の状況によっては就業することはできないこともあります。また、派遣先が派遣社員を受けいれることができても、派遣社員の被災状況によっては、別の従業員を派遣する必要が出てくるなど対応が変わります。

これらの想定される状況を整理し、別の従業員を再配置するための人選と顧客への請求と支払業務が重要業務であると特定し、対策を中心に検討しました。

一連の従業員の管理業務をシステムに依存していることから、バックアップの活用や復旧手順を明確にしました。システムが復旧するまでの間は、紙出力の管理ファイルと携帯電話等の最低限の経営資源で業務ができるレベルまで落とし込んでいきました。

また、被災状況と派遣従業員の業務への影響、スタッフの出社確認、その後の対応に関する要望、要求など、一通りの緊急対応が落ち着いてから派遣先と交渉すべき項目を洗い出していきました。

－苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか？

プロジェクトは想定への対策をたてることで進んでいきましたので、実際に大災害が発生した場合に、決めたことが本当に機能するのかという疑問を持ちました。しかし、自社が事業を継続するに当たり、最優先で行動すべきこと、復旧させるべき経営資源を整理することができ、最終的には被害状況に左右されることなく動いていけるだろうという自信になりました。

－BCPを策定した感想をお願いします。

今回は人材派遣事業独特の事情を考慮してご指導いただき感謝しております。コンサルタントの方の明確なご指導に基づいたプロジェクトとなり、おかげで時間も最小限でできたように思います。

今後は他部門への展開はもちろん推進しますが、別事業のサーバや基幹ソフト等のシステム導入における営業の場面においても、BCPの視点から顧客にアドバイスをすることができると思います。