コンサルタントコラム

年収2万6000円の世界に生きるアマイ

2017年05月24日

シニアコンサルタント

日下 茜

シニアコンサルタント 日下 茜
みなさん、こんにちは。
コンサルタントの日下です。
ゴールデンウィークが終わり、
もう街には半袖姿も見られるようになってきました。
5月のイベントといえば、
第二日曜日に「母の日」がありました。
日頃の感謝の気持ちを母親へ伝える日ですが、
母の日にちなみ今回は私がアフリカで出会った
クリスという一人のお母さんを紹介したいと思います。

突然ですが、
みなさんはアフリカ南部にある小国「マラウイ」をご存知でしょうか。
マラウイは、タンザニアやザンビア、
モザンビークに囲まれた内陸国です。
アフリカのイメージにあるような、
埃っぽくて赤土が広がる大地だけでなく、
海のように大きいマラウイ湖(琵琶湖の44倍)もあり、
自然が多く、緑に囲まれた国です。

マラウイの人々は、
「Warm Heart of Africa(アフリカの温かい心)」と呼ばれ、
労働人口の約90%が農業を生業としているためか、
多くのマラウイ人は、明るく素朴で、
町を歩けば誰かが必ず話しかけてくるくらい、
フレンドリーな国民性です。

その一方で、世界最貧国のひとつと言われ、
国民1人当たりの平均年収は約2万6000円、
今でも多くのマラウイ人は日の出と共に起き、
日が沈んだら寝る、というような自給自足の生活を送っています。

本コラムのタイトルにある「アマイ」とは、
現地語で「お母さん」という意味です。

一般的にマラウイのアマイたちは
家事、育児、仕事(農作業)の全てをこなし、
毎日休みなく動き回っています。

私はこの耳慣れない国マラウイで二年間、
青年海外協力隊の一員として現地人の所得向上、生活改善を目的に、
小規模ビジネスの創出や新規作物の導入を行いましたが、
仕事柄、現地のマラウイ人と接することが多く、
当時同僚の一人として出会ったのがマラウイ人女性のクリスでした。

クリスは、現地語が分からない私にいつも英語で通訳をしてくれ、
家庭ではシングルマザーとして
子どもたちを育てているおしゃべりが大好きで親切な女性です。

彼女と仲良くなり、家に遊びに行って
彼女の子どもたちとのふれあいや、実際の生活を経験した中で、
感銘を受けたことが2つありました。

<強靭で高い身体能力>
なによりもまず、感じたのは肉体の強さです。
マラウイの人々は、電気も水もない過酷な生活環境を生き抜くために、
たくましく生きています。
マラウイに限ったことではありませんが、
アフリカの女性はなんでもバランス良く
手を使わずに頭の上にものをのせて運んでしまいます。

毎日のように拾い集めた30キロ以上する薪を
頭にのせて未舗装のデコボコ道を何キロも歩いています。

試しに私も水を10リットル運びましたが、
首が縮みそうになるくらい重く、
蓋もないバケツを水がこぼれないように歩くのは至難の業でした。

他にも、手の皮が厚いため、
沸騰した水が入った鍋も素手で掴んだり、
まな板を使わずに器用に野菜をみじん切りしたりと、
日本人の私にとっては、驚きの毎日でした。

<精神力の強さ>
マラウイは、家族に対する愛情が非常に深く、
困っている家族、親戚は助け合う文化があります。
シングルマザーの彼女ですが、
決して高い給与をもらっているわけではないにも関わらず、
自分の子供以外にも事情があって育てられない
親戚の子供4人をわが子のように養っています。

そして、自分の子供と親戚の子供を分け隔てなく可愛がり、
家族みんなで助け合いながら生きています。
最近では、少しでも豊かな生活をおくるため、
副業で小規模のビジネスを始めたり、
こつこつ貯めたお金で土地を買い、夢のマイホームを建設中です。

クリスには、毎日の食事に困るくらい貧しくても、
明るい未来を目指して、前向きに生きる姿がありました。

以上がほんの一部ですが、マラウイで感じたアマイの凄さです。
アフリカで生きるお母さんたちの生活は、
日本での私達の生活とは異なりますが、国や生活環境は違っても、
たくましく生きる母の姿は、
日本もマラウイもほとんど変わらないのではないしょうか。

無償の愛で我が子を育て、
誰よりも身近な存在として家庭を支えてくれるお母さんの偉大さ。
物理的な距離が近くても遠くても、
私たちを生み、守り続けてくれたことに感謝して、
いつも以上に「ありがとう」の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。
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