コンサルタントコラム

私の人生のパートナー

2017年11月08日

エグゼクティブコンサルタント

坂口 貴紀

エグゼクティブコンサルタント 坂口 貴紀

みなさんは困難にぶつかったとき、
どのような方法でその困難を乗り越えますか?

まだまだ若輩者の私ですが、これまでに様々な「困難」を
経験してきました。
その「困難」を乗り越える際に、
いつも私を支えてくれるパートナーがいます。

それは「本」です。

読書は私の一番の趣味ですが、困難にぶつかったその時々に
私の傍らにはいつも、強力に支えてくれる本がありました。
私がそんな人生のパートナーともいうべき本をどうやって選ぶのか
その軸は2つあります。

1つめは「課題解決」、2つめはやっぱりビビッと「直観」。

ときに仕事においては、過去に経験したことがない「課題」が
目の前に突如現れます。
そんなときは必ずといっていいほど本屋へ足を運び、
そして、「課題」を念頭に書棚をぶらぶらし、10~20冊の本を手に取り、
目次を見て役に立ちそうだと思う本を2~3冊購入し、
実践できるポイントをまとめる、といった行動をしてきました。

もちろん、「課題」を感じていないときにでも本屋へは立ち寄ります。
そんなときは、のんびり、いろんなジャンルの棚を眺めるのですが、
こういうときに、心をリラックスさせて「直観」をビビッと働かせます。
読みたい!と「直観」で感じた本を手に取り、素直に読む。
こうして多読をすることで、
自分がいいと感じる本の「直観」を磨き続けています。

こんなことを学生時代からずっと続けているのですが、
その中でも、私の人生に絶大なる影響を与えてくれた
素晴らしきパートナーこと3つの書籍をご紹介したいと思います。


1.『ソロスは警告する ~超バブルの崩壊=悪夢のシナリオ~』
  (ジョージ・ソロス 著)

私が大学4年のときに出会った本です。
このときの疑問は「リーマンショックはなぜ起きたのか」ということでした。
ちょうど2008年サブプライムバブルが弾けた真っ只中であり、
当時、国際経済学科に所属していたこともあって、
どうしても解消したい疑問、そしてなによりも喫緊の課題でした。

この本は、その課題をたった一冊だけで瞬時に解決してくれたのです。
リーマンショックの原因とその本質を抽象度の高い視点から、
具体的な解説を交えて紹介してくれました。

たとえば、住宅バブルを背景としたサブプライムローンの仕組み、
リスク分散のための証券化の流れ、格付け会社の異常な評価などの解説や、
その原因である米国全体のモラルハザード、
そして、この問題の裏にある“資本主義という超バブルの崩壊”といった
本質論まで詳細に解説されています。

先日の某新聞で、“英政治に地殻変動「社会主義2.0」の足音”の記事を
読んだときには、いよいよ新しい時代に入ったのかなと思ったものです。


2.『ディベートで超論理思考を手に入れる』(苫米地英人 著)

これは24歳で会社設立に関わったときに、膨大な業務量と連続して起こる
問題に対して、どう同時進行で対応していくのか?という課題を解決して
くれた本です。

この本は、限られた時間内で最適な解を見つけ出すための
最も有効な手法である「ディベート」について、
米国の考えを基に解説してくれました。

たとえば、論理の基本中の基本として、「データ(=事実)」
「ワラント(=事実と主張をつなぐ論拠)」
「クレーム(=主張)」で考えろといったことです。

日本人にはクレームばかりいって、そこにデータもワラントもないことが
多々あるとこの本では解説されていますが、
私も当時ややそういった傾向にあり、
この考え方をベースにすることであらゆる課題に対応できた実感がありました。

ビジネスにおいては最小の時間で最大の効果を生み出すことが重要だと
思いますが、この本が教えてくれたことは、今の私の仕事における土台
となっています。


3.『国家』(プラトン 著)

会社を設立し、主な仕事がマネジメントになった時に出会った本です。

私が20代半、チームは30代、40代の先輩且つ元営業課長など、
人生も仕事も経験豊富なメンバーたちで、自分の役割や
立ち位置に悩んでいました。

そんな状況下でこの本は、普遍的な組織課題の解決のストーリーから、
自分自身がマネジメントとしてやるべきことや姿勢を教えてくれました。

この本に書かれていたのは「国家=組織を作り上げる上で、
どのような問題が起こるのか」、
「そしてそれらの問題に対してソクラテスが
どのように対応していったのか」ということ。

本の中では、“正義とは何か”“戦争とは何か”など国家、
組織が直面する問題や課題が、
ソクラテスと様々な人たちとの対話の中で発見され、
解決されていきます。

さらに、その対話の一言一句が隅々に記述されており、
ソクラテスの質問の仕方や、
議論をオープンにして行うことの重要性など、組織形成における
ある種テクニックがちりばめられています。

よく「古典」を読むことが重要だと説く本を見かけますが、その主張に
納得させられたのがまさにこの本です。“賢者は歴史に学び、愚者は経
験から学ぶ”とはよく言ったものだなぁと、当時感じたものです。


いかがでしたでしょうか?私の人生のパートナーたち。
これら3つの本に共通していえることは、複雑な問題・課題に対して、
抽象度の高い視点から解決策を導き出しているということです。

たとえば、
『ソロスは警告する』では、問題が起こる背景、歴史を理解する必要性を、
『ディベートで超論理思考を手にいれる』では、
そもそもの課題解決の手法を、
『国家』では、組織マネジメントにおける役割や姿勢を、
教えてくれました。

コンサルタントの仕事は、複雑な課題を解決しなければならないことが
多くあります。

そんな中、お客様の最高のパートナーとして役に立ち続けるためには、
勉強を怠らず、常にお客様のことを考え続け、考えに考え抜いた末に
お客様以上に先を見据えてご提案することが必要だと思っています

そして、常々思うことは、先人たちは私たちが人生を歩む先にぶち当たる
困難をすでに経験しているということです。

こうした先人たちの知恵から、また、コンサルの現場から学び続け、
お客様がこれから直面する課題にスッと手を差し伸べ
伴走できるコンサルタントであり続けられるよう、
日々勉強していきたいと思います。

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