コンサルタントコラム

とんかつが教えてくれたこと

2018年09月21日

アソシエイトシニアコンサルタント

日下 茜

アソシエイトシニアコンサルタント 日下 茜

いのちを頂くことということ。
食事の前に「いただきます」と言っていても、普段の食事の中で考えることは
なかなか無いのではないでしょうか。

前回のコラムでは、私が2年間いたアフリカのマラウイについてご紹介しましたが、
今回も懲りずにマラウイでの体験をご紹介したいと思います。

「とんかつ」
それは私が子豚から大切に育て、最終的に生命を頂いた豚の名前です。
とんかつとの出会いは突然でした。
ある日親切な農家さんから「是非あげたいものがあるから、家に来てほしい」と言われ、
プレゼントとして頂いたのが、映画「ベイブ」に出てくるようなピンク色で可愛らしい姿の
生後2か月のとんかつ君でした。
マラウイでは、豚は家畜として一般的に飼育されていますが、豚を育てる、まして
ペットではなく家畜を飼育するということは東京出身の私にとっては初めての経験でした。
豚はいったい何を食べるのか?
そんなことも知らない当時の私は、インターネットで豚の生態や飼育上の注意点を
できる限り調べ、近所のマラウイ人に助けてもらいながら豚小屋を建てたのでした。

それから約1年後。
出会ったときは10キロもなかったとんかつが100キロ近くにまるまると立派に育ち、
いよいよ屠殺(とさつ)をする日がやってきました。
この日が来るまで、はたして人間の都合で勝手にとんかつの命を奪っていいのか、とても悩みました。
もしかしたら、そんな残酷なことができるなんて考えられないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
勿論、彼をこのまま生かすことができたのも事実です。
しかし、1年間大切に育てたとんかつに対して最後まで飼い主として責任を持ち、
家畜としての天命を全うさせたいと思い、彼の生命をみんなで頂くことに決めました。
とんかつの命が消える最後の日。
大好物のトマトをいっぱいあげて、「今までありがとう、とんかつ」と声をかけた時の
とんかつの顔は今でも目に焼き付いています。
とんかつの最期は、せめてこの目に焼き付けようと思いましたが、さすがに可哀そうで
直視をすることができませんでした。
食べ応えがあったので、その名のとおりとんかつ、豚汁、かつ丼、トンテキを作り、
友人や近所の人を招いて40人くらいでおいしく頂きました。

この経験を通して、命を頂くとはどういうことなのかを学びました。
とんかつの命をもらって、それを食べる人間が自分の命を維持し、生存させてもらっている。
普段、貧しくてクリスマスや特別な時にしかお肉を食べることのできない
近所の子供たちにとっては、最高のご馳走で、子供たちの命を繋いでくれている。
人間は、動物や植物の命をもらって生きているのだと、身をもって実感することができました。

近頃の小学生は、魚や肉の切り身しか知らず、元の姿を知らない子供が多いと
ニュースで聞いたことがあります。
日本にいると、スーパーで血一つなくきれいにパックに入って、陳列されたお肉や
お魚しかないので、無理もないでしょう。
「この肉は、どこから来たのか? 誰がどんな思いで育てたのだろう?」
なんて、私自身もほとんど考えることはありません。
しかし、人間も食べなければ命を繋ぐことができないのは当たり前のことです。
毎日、何かしらを食べて生きているということは、命ある生き物から摂取しているということです。

「いただきます」という時には、感謝の気持ちを込めて、まずは、好き嫌いせず
頂いた生命を無駄なく頂くことが大事ではないでしょうか。

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