コンサルタントコラム

私にとっての『あの時もっとこうしておけば良かった』

2018年12月17日

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

こんにちは。勝俣良介です。
2018年を表す漢字一文字は「災」だそうですね。
今日は私が経験した「災」、失敗談をお話しします。

社会人になって3年目、私は奈良にいました。
先輩に請われインターネットサービスプロバイダ(ISP)の立ち上げ
技術者として参画したからです。当時は、ISP群雄割拠の時代。
ベッコーアメと呼ばれるISPが活躍していました。
我々が楽天をライバルと謳っても笑われない時代でした。

今だから打ち明けますが、マンションの一室を借り、
押入れにサーバ十数台を入れて運営をしていました。
私はそこで、開発、ネットワーク・システム構築、運用、保守、
ウェブページ作成等、ありとあらゆることをほぼ一人でやっていました。
技術者が陥るエゴ、失敗は一通り体験して来たつもりです。
たくさんの失敗がありますが今日はその中から2つ紹介します。

1つ目の失敗は、安価な機材でサーバを組み上げたときのことです。
いわゆる自作マシンというやつです。秋葉原で買った安い部品で
組み上げれば元を取れる、安易な考えから勇んで構築したものです。
しかし、所詮は機械。24時間フル稼働が必要です。
そうです。簡単に壊れるのです。
プライベート利用では微塵も困らなかったにもかかわらずです。
夜中にシステムから悲鳴のようなエラーメールが飛んで来て
叩き起こされたことが何度あったことか。
ようやく念願の休暇がとれてバーベキューパーティーに出かける道中、
「システムが落ちた。戻って来てくれ」と言われ、
心底がっくり来たのを今でも覚えています。

2つ目の失敗は、家電量販店で電源タップを買ってきた時のことです。
1つのスイッチでタップ全体の電源をオン・オフできる、ちょっと高めの
高機能なものでした。
ある夜、一人で押入れの機材整理をしていた時のことでした。
それまでグオングオン鳴っていたサーバーの音が突然、止んだのです。
一瞬、何が起きたのか分かりませんでしたが、すぐに理解しました。
なんと私の肘が、電源タップのスイッチに当たり全電源を落として
しまったのです。しかも、サーバーは突然落ちると壊れるというのが
常識の世界。夜中に一人、心の中で泣きながら、必死に復旧作業をしました。

リスクマネジメントのプロを名乗っている私としてはお恥ずかしい限りです。
当時の私には、経験不足も手伝って、完全に想像力が欠如していました。
ちょっとお金をかければ、大切なプライベートの時間は奪われなかったはず。
ちょっと考えれば夜中に一人青ざめて「地獄とはきっとこんな世界だろう」と
自分を呪いながらシステムと格闘していなかったはず。
一つの事故から学ぶこと、ちょっと立ち止まって想像力をフルに働かせ
未来を考えること・・・リスクマネジメント的な、こうした活動が人生において、
どれほどプライベートを充実させるのに重要なことかを嫌というほど
思い知った2年間でした。

しかし、業務に追われる日常の中で、起こした過去の事故のことを
振り返ったり、未来のことを考えたりすることも難しい。これもまた道理です。
だからこそ、ふと立ち止まって考える機会があるときは貴重です。
私は冬や夏に、意図的に長い休みを取るようにしてますが、
そこにはこうした理由があるわけです。
年越しも「仕事とプライベートともに立ち止まってみる」良い機会では
ないでしょうか。自分と家族のためにゆっくり時間を取って休み、
未来のことを考えてみてはいかがでしょうか。

これで筆ならぬPCを置きたいと思いますが、
私の失敗談がみなさまの何がしかのお役に立てたのならば、
それこそ「災」も転じて「福」に変わるというものです。
皆さま、どうか充実した年越しをお迎えくださいませ!

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