コンサルタントコラム

一歩踏み出す重要性

2011年07月20日

コンサルタント

林 和志郎

コンサルタント 林 和志郎
皆さんはじめまして、林和志郎と申します。変わった名前ですが読みは「かずしろう」で「和」を志す男になるよう父から授けられた名前を大変気に入っております。

3月11日に発生した東日本大震災は多くの方の生命を奪い、人々の生活・価値観・人生を変えた出来事になりました。そして私も東日本大震災を機に仕事への意識が変わりました。

前職では総合人材コンサルティング会社で人材派遣・紹介の営業・委託請負業務等の企画提案・新商品開発等を行っており人の雇用に関わる仕事、人の人生に関わらせて頂ける仕事に従事しておりました。業務委託・請負等、ある業務を一定金額で効率よく安全に勤務できる体制作りと提案を行う中で学んだ危機管理や安全衛生の考え方から“BCP(事業継続計画)”の存在を知りました。それと同時に、企業の事業継続に関わるこの重要な取組みが世間ではあまり普及していないことに危機感を覚えました。

私は取引をしている企業、そして自社の事業継続の備えは問題ないか?と考えるようになり、先ずは取引先に紹介している派遣社員の方、委託・請負の方の雇用も守るために自社BCPの策定を始めました。当時の私は「雇用」に関する仕事に携わっていたこともあり、企業の事業継続ができる・・ということは

働いている従業員・派遣社員・パートの方々の雇用が守れる
⇒働いている人たちの生活が守れる
⇒働いている人たちの家族も守れる

と考えておりましたが、実際には、BCP策定の目的はもっと広範で、事故や災害が発生し、重要な経営資源(人員、施設、データ、業務委託先、システムなど)に大きな影響が出てしまった時にどうするかを考え、事業継続のための手を打っておくことだと知りました。

この素晴らしい取組みを習得し、将来的には専門家になりたいと長期的なビジョンを描いていたところ、東日本大震災があり、それを機に考えが変わりました。

「やりたいことがあるのに、なぜ直ぐに行動していないのか?」を真剣に考え至った答えが表題の「一歩踏み出す重要性」であり、私にとっては、今動かない理由は見当たらなかったのです。

単純な話ですが、気持ちがすっきりし、行うべきことが明確になり沸々と湧き上がっていた「BCPのプロになりたい!」という迸る情熱を胸に知識の習得の為、防災士資格を取得し、現実的な防災・組織防災を学ぶため近隣の消防団への入団、そして東京都BCP策定支援事業の一員に加わらせていただきました。

個人的な話を例に出しましたが、誰しも日頃から気になっているけど実行できていない、色々な優先順序を考えると「絶対に無理」と考えてしまうことは多いと思います。

卑近な例では、私が宮城県石巻のボランティアで出会った方は、ボランティアに行きたいとずっと考えていたが、最初の一歩が踏み出せずに、実際に来るまでに2ヶ月以上逡巡していたそうです。来てみたら、案ずるより産むは易し、自分が役に立てることをできる喜びを共有しました。

実はBCPは今まで企業にとってそんな活動の一つだったのではないかと推察します。今回の震災で、実際に一歩を踏み出してBCPを策定していた企業とそうでなかった企業では明暗が分かれました。

昨年度BCPの策定をした某ガラスメーカーでは、震災後に注文が殺到したそうです。東日本大震災時にBCPに取り決めた通りに災害対策本部を設置し、社員の安否を確認、各施設の現況把握を行い、リスクコミュニケーションとして“取引先への状況報告”をFAXで随時行いました。その結果、ビルが被災しガラスが破損した企業から多くの注文が入り、自社の通常の注文レベルを大きく上回る受注を得たと聞きます。

また、同じくBCPを策定していたアウトソーシング会社ではお客様に対してほぼ毎日会社の状況をFAXで送信し続け、会社が動いていると知らせることができたことでお客様からの注文が増えたとのことでした。

平成22年6月に閣議決定された「新成長戦略」の実行計画においてBCPの促進や実効性の向上が盛り込まれ、2020年までに実現すべき成果目標として

「大企業ほぼ全て(平成22年度は27.6%)、
中堅企業50%以上(平成22年度は12.6%)のBCP策定」

が掲げられております。

もし、優先順位の中でBCP策定が先延ばしになっている企業様がいらっしゃいましたら、是非、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。