事業継続(BCP/BCMS)

凸版印刷 様

お客様の信頼に応えるべく、異例のIT-BCP訓練で有事に備える
訓練・演習 製造 5,000人以上
凸版印刷 様

プロジェクトメンバー

お客様 DXデザイン事業部 サービスマネジメントセンター センター長 斎藤 伸雄 様
リスク管理部 部長 栗原 史義 様
リスク管理部 BCPチーム課長 中薗 靖弘 様
リスク管理部 BCPチーム係長 安穗 浩一 様
ニュートン・コンサルティング 取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介
チーフコンサルタント 濵髙家 瑞稀

お客様の会社概要

1900年創業の凸版印刷様は、世界最大規模の総合印刷会社として「印刷テクノロジー」をベースとした様々な事業を展開されてきました。現在は、印刷テクノロジーのさらなる進化とともに、デジタル時代に対応した顧客のビジネス革新や社会革新を支援するDX事業に注力されています。

この度、IT-BCP訓練・演習サービスをご利用いただいた経緯と成果について、DXデザイン事業部 サービスマネジメントセンター センター長 斎藤 伸雄 様、リスク管理部 部長 栗原 史義 様、リスク管理部 BCPチーム課長 中薗 靖弘 様およびBCPチーム係長 安穗 浩一 様にお話をうかがいました。

―貴社の事業内容をお聞かせください。

DXデザイン事業部 サービスマネジメントセンター センター長 斎藤 伸雄 様
DXデザイン事業部
サービスマネジメントセンター センター長
斎藤 伸雄 様

斎藤:私たち凸版印刷は、1900年の創業以来培ってきた「印刷テクノロジー」をベースとして、「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」の3分野にわたり様々な事業を展開しています。

現在、当社が全社をあげて注力しているのが、「Erhoeht-X ®(エルヘートクロス)」をコンセプトとするデジタル変革の推進です。「エルヘート」は、創業当時の最先端印刷技術である「エルヘート凸版法」から名付けており、その語源であるドイツ語「エルホーエン」には「高める」という意味があります。このコンセプトに基づき、最新技術を積極的に活用する創業時からのDNAを引き継ぎながら、社会や企業のデジタル革新のご支援および自社におけるデジタル変革を推進しています。

2021年度を初年度とする中期経営計画においても、“Digital & Sustainable Transformation”というキーコンセプトを打ち出し、「DX(Digital Transformation)」と「SX(Sustainable Transformation)」によってワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとなることを目標に掲げています。

こうした中、全社横断型のDX推進組織として、2020年度にDXデザイン事業部が新設されました。お取引先様は、生活者に向けたサービスを提供する金融や行政のお客様など様々です。私たちが所属するサービスマネジメントセンターはDX事業を支える基盤を提供する役割を担っており、安定的な運用により事業拡大や成長軌道の確立に貢献するべく、日々活動しています。

―これまでのIT-BCPの取り組みについてお聞かせください。

リスク管理部 BCPチーム係長 安穗 浩一 様
リスク管理部 BCPチーム係長
安穗 浩一 様

安穗:サイバーセキュリティの演習等はこれまでも行ってきましたが、従来は障害時対応等の訓練を各部署が自発的に実施するというのが主でした。事業の継続性に主眼をおいたIT-BCP訓練も部分的には行っていたものの、定期的に複数サービスにまたがる規模で行うまでには至っておらず、その点を課題と感じていました。

―この度、IT-BCPの実効力向上に取り組まれたきっかけについてお聞かせください。

斎藤:私たちのお取引先様の中には、社会基盤となるサービスを提供しているお客様が多くいらっしゃいます。これらのサービスが停止することは社会に甚大な影響を与えるため、緊急時の事業継続は私たちにとっても重要な課題です。

しかしながら、ITサービスはどんなに最新の技術をもってしてもシステム障害とは無縁ではありません。これまでも、障害に対する耐性を高める努力はしていながらも、トラブルに見舞われることもありました。

この度のプロジェクトは、過去の経験から真摯に学び、改めてお客様に真に信頼いただけるサービス提供を実現しようとの思いから始動したものです。緊急時にもサービスを継続できるよう対応力を向上すべく、IT-BCPマニュアルの改訂と計画的な訓練に取り組むことにしました。

ニュートンの熱意と実績、リアリティあるシナリオに期待

―取り組みにあたってコンサルティング会社を利用した理由を教えてください。

安穗:当社は製造拠点における震災対応等のBCPには取り組んできたものの大規模なIT-BCP訓練は経験がなく、またサービスマネジメントセンターは立ち上げから日が浅いこともあって、社内にあまり知見がありませんでした。

そのため情報を得ようと色々と調べてみたのですが、IT-BCP訓練の必要性はあちこちで叫ばれていても、獲得すべき知識やノウハウについては明確な情報が見当たりません。ISO22301のような国際規格もITに特化したものではなく、初見では少々難解です。こうしたことから、実績を多く持つコンサルティング会社にお声がけし、ご協力いただくのがよいだろう、ということになりました。

リスク管理部 部長 栗原 史義 様
リスク管理部 部長
栗原 史義 様

栗原:私は2021年度の後半期からBCPチームに加わり、ニュートンさんへのお声がけ時にはチームにいなかったのですが、これまでの私自身の経験から考えても、本プロジェクトは専門家のご支援が必要であったと思います。

というのも、私は以前デジタルサービス関連の部署に在籍していたのですが、その時にIT-BCPの大規模訓練を行う機会があり、「訓練の成否は参加者が本気で取り組めるかどうかにかかっている」ことを実感しました。そして、参加者が本気で取り組める環境を作るには、皆が実際に起こりえると思えるリアリティあるシナリオを準備することが重要なポイントとなります。実際には起こりそうにないシナリオに直面すると、その時点で参加者の気持ちが離れ、思考が止まってしまうのです。

とはいえ、皆が本気になれる真にリアリティあるシナリオを用意するのはなかなか大変な作業です。そのため社内だけで実現するのは難しく、プロの知見の必要性を感じました。

―ニュートン・コンサルティングをご利用いただいた理由は何でしたか。

中薗:私たちは2020年の後半からIT-BCPマニュアルの改訂などを開始し、2021年度からは実践に移していくフェーズであったことから、プロジェクトにあたっては複数社にお声がけをさせていただき「しっかりと実践できる形で事業部にIT-BCPを浸透させられるか」という点を重視して各社のプレゼンを聞かせていただきました。その中で、本当に我々に寄り添って導いていただけるという信頼感を一番強く感じられたのがニュートンさんでした。実際に、当社がIT-BCPの実効力を高めるうえでベストマッチなご支援をいただくことができ、私たちの選択は正しかったと感じています。

斎藤:数社のコンサルティング会社に同様のお声がけをさせていただき、ご提案をいただきました。どの会社も、理想に基づきよくまとめられたご提案をいただきましたが、中でも、ニュートンさんからの「困っているお客様の力になりたい」という気持ちが伝わる、熱意溢れるご提案がとても印象的だったのです。「このような熱意のある会社にお願いしたい」と思ったことが、ニュートンさんにご依頼したきっかけでしたね。

複数回の訓練により、緊急時対応のスピードと精度が向上した

―プロジェクトの概要を教えてください。

斎藤:今回のプロジェクトは、主要なITサービスの対応力向上(IT-BCP実効力向上)を目指し、9ヶ月間にわたり繰り返しIT-BCP訓練を行うというものです。

本プロジェクトでは有事に実際に動くことになるであろう当事者、すなわち組織のトップから現場に近い人たちを巻き込み、さまざまな訓練(読み合わせやウォークスルー訓練、初報訓練、対策本部立ち上げ訓練、クライシスコミュニケーション訓練、シナリオ作成訓練、総合訓練など)を組み合わせて、期間中に8回以上もの訓練を実施しました。

訓練実施にあたっては、段階的な準備を心がけました。組織のマネジメントと訓練の目的やスコープ、シナリオの方向性を相談した上で、現状のサービス内容、システム構成並びに障害発生時の対応フローを理解している現場に近い部長・課長陣と打ち合わせを重ねました。ある意味、最も忙しいといえる人たちだったので、そうした人たちをうまくつかまえて効果的・効率的なミーティングを行うのに苦労しました。そうした背景も手伝って、最初から完璧なシナリオ策定を目指すことは現実的ではなかったので、訓練を重ねながらシナリオもブラッシュアップしていくアプローチをとりました。

訓練をする都度、必ず何かしら課題が出ました。例えば初報訓練では、初報の発報基準などはしっかりと決めてあったのですが、いざ訓練をしてみると、発報要否や発報スピード、発報内容について人によってブレがあることがわかりました。

9ヶ月間のプロジェクトですが、細く長くというより、太く長くといった感じの非常に濃いものでした。

―今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか。

斎藤:今回は社内でも関係者の多いサービスを対象に訓練を行ったのですが、さまざまなレベルで何度も繰り返し訓練を重ねることで、参加者のIT-BCPへの理解度や有事の対応力が確実に上がったと感じています。障害が起きた際には数々の意思決定をしなければならず、関係者が多いほど情報の共有に時間がかかってしまいがちですが、訓練により迅速に適切な判断を下し、スピーディーに共有できるようになりました。今回の取り組みによって対応が早くなったことは、お客様も実感され、評価いただいています。

栗原:訓練後の振り返りでは、参加者から「訓練をしっかりやることの重要性を認識できた」といった声がありました。このように感じてもらえたことはとても嬉しいことです。私たちBCPチームのミッションは特定のサービスの対応力を引き上げて完了ではなく、事業部全体、ひいてはグループ会社全体に対して取り組みを普及・啓発していく必要がありますから、参加者の前向きな感想は、これからの取り組みにとってもよい後押しになるでしょう。

安穗:今回の取り組みの成果は、プロジェクト開始時と終了後に行ったアンケート調査の数値にも表れています。「インシデントを検知しIT-BCP活動ができるか」という質問に対し、プロジェクト開始時は「おおむね行動できる」と答えた人が84%、「行動できる」と答えた人が6%であったところ、終了後には「行動できる」という人が49%まで増加しました。約半数の人が「おおむね」ではなく明確に「行動できる」を選択するに至ったことは、大きな成果であると思います。

―今回のプロジェクトで苦労されたことはありますか。

安穗:本プロジェクトでは8回以上もの訓練を行いましたので、複数回訓練に取り組むためのモチベーションを維持することは苦労した点の一つといえます。とはいえ、最後まで集中して訓練を実施できたのは、斎藤センター長をはじめとするトップメンバーが非常に高い熱量を持ち、それを現場の社員までしっかりと浸透できたことが大きいと感じています。

また、先のお話でも出ましたように、リアリティあるシナリオ作りは非常に重要であり、この点が最も苦労しました。当初はニュートンさんからのご提案もいただきつつ、あえてファジーなシナリオを投入してみたこともあったのですが、「実際とは違う」と参加者の行動が止まってしまうことが多々ありました。送付するメールに出てくるワードや発信元などが通常と異なるだけで違和感を持たれ、訓練が進まなくなってしまうのです。そのため、訓練の度に参加者の実際の業務内容に沿えるよう各部署にヒアリングを行い、緻密なシナリオを設計する必要がありました。

中薗:リアリティあるシナリオを作るためには業務内容やシステム関連のことなど幅広い内容をヒアリングする必要がありますが、これらすべてを網羅的に理解している人などいませんから、各分野に知識のある人から必要な情報を聴き出して組み合わせなければなりません。これは骨の折れる作業になりますが、ニュートンさんが非常に丁寧に対応してくださったのがありがたかったです。ニュートンさんが「もっと情報を聞かせてください」と積極的に向かってきてくれたことは、本プロジェクト成功の要因の一つだったと感じています。

斎藤:プロジェクトの初期は特に、十分な情報が揃わずニュートンさんにご苦労をかけましたね。訓練を重ねるごとに様々な役割の人が同じテーブルで議論するようになり、相互理解も深まりました。それもまた今回の成果の一つといえます。

IT-BCPの実効力を高め、デジタル革新を強力に推進

―ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

安穗:IT-BCPや訓練の実施手法について確かな知見を持ち、訓練の設計準備において非常に頼りになる対応をしていただきました。また、訓練成功を目指す中でつい目の前の課題に気を取られがちになるところ、常に大局的な視点から目的・目標・手段を整理していただけたこともありがたい点でした。

栗原:依頼を決めた当初に期待していた通り、私たちと一緒になってリアリティあるシナリオ作りに尽力いただきました。IT分野の知識とBCPの知見を両方具えたプロと協働できたのは、とても心強かったです。

安穗:ニュートンさんが掲げている「ホワイトに働く」という指針も、非常に新鮮で素晴らしいですね。プロジェクトを進行する中で、よりスムーズで迅速なコミュニケーションに努めるといった意識付けになりました。私はプロジェクトが終了した今でも、自分自身がこの指針を引き続き意識しているくらいです。

―今後の取り組みについて教えてください。

斎藤:冒頭にお話ししました通り、当社はデジタル変革を推進しており、社員のITスキルおよびITサービスの耐性を高めることに注力しています。一例として、1000人以上の社員がAWS認定資格を取得しました。IT-BCPについても、引き続き社員のスキル向上を目指して取り組んでいきたいと考えています。

IT-BCP訓練については、今後さらに裾野を広げ、複数のサービスに展開していく考えです。今回のプロジェクトの成果を活かしてIT-BCP訓練を推進するとともに、さらに広い範囲でのリスクマネジメントに対応できるようになっていきたいと考えており、今後とも相談に乗っていただければ幸いです。

―本日は誠にありがとうございました。

お客様情報 (2022年6月現在)

名称 凸版印刷株式会社
所在地 東京都文京区水道1-3-3
設立 1900年
事業内容 「印刷テクノロジー」をベースに「情報コミュニケーション事業分野」、「生活・産業事業分野」および「エレクトロニクス事業分野」の3分野にわたり幅広い事業活動を展開
利用サービス IT-BCP訓練・演習サービス

※ 凸版印刷株式会社DXデザイン事業部は、TOPPANグループ全体のDX事業を推進する「TOPPANデジタル株式会社」として2023年10月に事業を開始しました。

担当の声

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

異例の訓練を実施した熱い思いと行動力に感服

「顧客の期待に応えるために、実効性向上を目指して訓練を何回も徹底してやりたい」。そう聞いて「熱い会社だ。ぜひお手伝いしたい!」と思いました。「訓練が大事」という企業は数あれど、実際にそこまでの覚悟、そこまでの短期間、そこまでの回数で、訓練をこなす企業をあまり見たことがないからです。しかも、いざ、プロジェクトが始まってみると、有言実行。皆士気が高い。マネジメントも、実機をいじる現場の方も、皆一丸となって参加して、訓練をやり切りました。もちろん、それだけの大人数を巻き込んでのプロジェクトですから、なかなか一筋縄ではいかなかったのも事実です。BCP、特にIT-BCPでは色々なところに意識のズレが生じます。「え?そういう認識?」「いや、それはハナからできないですよ」「いや私はこう思ってましたが」「この件、正確なことは誰が知ってるの?」と侃侃諤諤。しかし、訓練の回数をこなすことでそうしたズレも解消されていきました。

こうした経験から、今なら以前よりもハッキリと言えます。訓練は年1回では足りません。まして、IT-BCP訓練をあまりこなしてこなかった組織なら、間違いなくそう断言できます。私自身も凸版印刷様の熱い思い、行動力に触れて、大変勉強させていただきました。この出会いに感謝いっぱいです。

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