地域防災計画
掲載:2011年08月18日
執筆者:執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント 内海 良
用語集
地域防災計画とは、各都道府県および市町村などの地方自治体がそれぞれの地域特性を考慮して作成する防災計画のこと です。災害時に住民の生命、身体及び財産を保護することを目的として、行政が住民にどのような社会サービスを提供するのか、についての計画が記述されています。
地域特性を考慮し、国の防災基本計画と連携した防災計画
地域防災計画の策定については、災害対策基本法(第40条)にて、国が策定する防災基本計画に準じて作成することが規定されています。国家レベルで策定が必要な防災基本計画を最上位の計画とすれば、指定行政機関および指定公共機関が策定する「防災業務計画」を中位、地方自治体が策定する「地域防災計画」は行政機関が策定する下位 の防災計画と言えます。
災害の種類毎に作成
例えば東京都では、「震災編」「風水害編」「火山編」「大規模事故編(大規模事故編、原子力災害編)」が作成されていますが、主な記述内容は以下の通りとなっています。
# | 構成 | 内容 |
---|---|---|
1 | 総則 |
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2 | 災害予防 (災害発生前の対策) |
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3 | 災害応急対策 (災害発生直後の対策) |
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4 | 災害復旧・復興 (災害発生後の対策) |
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- 震災対策については47団体(全ての都道府県で作成済)
- 風水害対策については29団体
- 原子力災害対策については23団体
- 林野火災対策については18団体
- 火山災害対策については16団体
- 雪害対策については12団体
地震を前提とした震災対策は全都道府県で策定されており、地震の危険性は全都道府県が抱えているリスクといえるでしょう。市区町村レベルでも1750の団体のうち、1192の団体が震災対策についての記述(※)をしています、また台風などを想定した風水害対策も29団体で作成されており、海に囲まれ、台風の被害地域が万遍なく広がっている我が国の特徴を反映しています。
見直し・改訂については都度実施
各自治体の防災会議が毎年見直しの検討を行い、必要があると認めるときに計画を修正します。
大規模な見直しとしては過去、阪神大震災を契機に全国規模で見直しが行われ、翌年の平成17年4月1日までに、都道府県においては全団体が見直しを完了しています。東日本大震災でも災害時に被災者への供給を目的としたガソリンなどの燃料の備蓄が進んでいなかった、など改善点が見つかっており、大きな見直しが進んでいくことが予想されます。
東京都では「都政運営の新たな戦略」を平成23年5月27日発表し、東日本大震災を踏まえた防災対策の見直しの一環として、平成24年度の夏に地域防災計画を修正することを明言しています。
地域防災計画は各地方自治体のウェブサイトで閲覧が可能ですが、平成17年7月より各都道府県の地域防災計画をデータベース化した「地域防災計画データベース」の運用も開始されています。詳しくは以下のリンクを参照ください。
※消防庁「地方防災行政の現況」より抜粋。平成22年4月1日現在。