アイクリーン様
ISMS認証取得で社内にPDCAサイクルを整備
株式会社アイクリーン様は、東北地方を中心にオフィス廃用紙再資源化を主におこなっている企業です。業界の競争激化と顧客企業からの要望を受け、このたびISMS(ISO27001)の認証を取得されました。東北および首都圏に6拠点ある企業の認証取得プロジェクトについて、代表取締役社長の紺野道昭様と事務局をつとめた原淳様からお話を伺いました。(以下、敬称略)
ISMS取得は差別化と社内教育のため
-貴社の事業内容を教えてください。
紺野: オフィスなどから出る廃用紙のリサイクル、機密文書の溶解処理リサイクル、文具・紙製品・事務機の販売をおこなっております。福島県の本社を含め、宮城・福島・埼玉に6箇所拠点があり、東北から首都圏まで広く事業展開しております。
-何故ISMS認証取得をお考えになったのですか?
紺野: 2つ理由がありました。1つは、社内にPDCAのサイクルを作りたいということ、もう1つはお客様からのニーズにお応えして、情報セキュリティの信頼性を証明することです。
1点目については、現在の仕事の進め方を見直したいという思いが強かったです。いざ事を起こそうと思った時になかなか回っていかない、尻切れトンボになってしまうので、きちんと計画を立てて進め、評価をして再度行動を起こすという流れを改めて確立することを目指しました。
2点目については、当社はお客様の機密文書を扱っているので、元々取得を考えていたのですが、取引先からの要望があったこと、他社との差別化を図るために取り組むことにいたしました。余談ですが、最近は景気の悪化にともないオフィスや工場から出るゴミも減っているのに加え、異業種からの参入などにより競争がさらに激化しており、産廃業界も熾烈な争いになっているんです。
コンサル選びのポイントは「親近感」
-では、具体的にはどうされたのですか?
原: アイクリーンの親会社である株式会社こんので、エコアクション21環境経営システム構築の責任者だったので、今回のプロジェクトも私が事務局に任命されました。
しかし、ISO27001に関する知識はなかったので、無料セミナーなどに参加して、ISO27001がどんなものなのかをいうことを学びました。ただ、いざ認証取得となると自力で取得するようなノウハウは自社内にはないので、コンサル会社にお力を借りようと思いました。
-何故ニュートンを選ばれたのでしょうか?
原: 今回ニュートンさんにお問合せしたところ、勝俣さんからご提案をいただき、特に他の会社と比較する必要を感じなかったので、コンペは行いませんでした。勝俣さんのご指示どおり進めていけば大丈夫だろうという安心感がありました。
-どのようなところをご評価いただいたんですか?
原: 一番大きかったのはご提案いただいた勝俣さんに非常に親近感が持てたことだと思います。難解な話をされる時でも順序立てて分かりやすく説明していただき、またご提案の際に当方のことを常に「お客様」と表現されていたことも好感が持てました。コンサルタントの方は「先生」であり、当方はお願いする立場だという先入観があったので、これは意外でしたね。
最初にプロジェクト期間を8ヶ月と設定
-では、実際のプロジェクトはどのように進められたのですか?
紺野: 昨年(2008年)の12月にキックオフしたんですが、最初に、認証取得の目標期限を当社の決算月である8月末に決めました。まずは期限を定めて取りかからないと、ダラダラしていつまでも取得できないと思ったんです。事実、当社の取引先でも当社より早くから始めていて、まだ認証取得にいたっていない企業もあるので、これは非常に効果があったと思います。
原: この目標を元に、勝俣さんに全体スケジュールを作成していただきました。いつまでにどんな作業をおこなうかが明確になったので、順調に進められました。
まずは、全拠点のセンター長を集めプロジェクトチームを編成しました。そして、チームの中を営業、機密文書処理、物販、本社業務、その他非定型業務、と5つの部門に分け、役割分担を明確にしました。そして月2回ペースでご指導いただいたコンサルティングとリンクさせる形で月1回のプロジェクトチームミーティングを実施しました。ミーティングのたびに課題を決め、次の会議までにそれぞれがタスクをおこなうという手順で進めました。
情報資産は4000項目以上に
-作業は順調に進んだのですか?
原: ISMS取得に関しては、元々現場からの要望の声が高かったこともあり、各センター長も非常に前向きに取り組んでくれたと感じています。ただ、皆な本業を抱えながらのプロジェクトでしたので負荷が高いときは辛そうなメンバーもいました。リスクアセスメントの前段でおこなった情報資産の洗い出しでは4000項目もあったこともあり、中には音を上げそうになっているメンバーもいましたね。
そんな時、全体の目標を定めていたことは非常に役立ちました。「8月末に認証取得」という、いわば錦の御旗の元に鼓舞することができた効果は大きかったと思います。
お蔭様で、非常に順調にプロジェクトが進捗し、当初目標より一ヶ月以上早く、7月16日に認証登録が叶いました。
構築中から既にPDCAの機運が社内に
-まだ認証を取得されて1ヶ月くらいですが、何か効果は感じてらっしゃいますか?
紺野: 8月末に対外的に認証取得のニュースをリリースし、新聞にも掲載されましたので、お取引先や同業他社の方からは注目されています。会合などで「ISMSとはどんな取組みなのか」と質問されたりもしています。
原: 実際の効果はこれからなのだと思いますが、既に社内にPDCAの考え方が浸透しつつあるという感触はあります。課題の期限を明確にし、報告があがり、それに基づいて評価をおこなう、という行動パターンが見えてくるようになりました。
また、副次的な要素として、ISMSの認証取得に取り組んだことで、営業の場面で取引先の方と共通の話題が持てるようになったこともひとつの成果と捉えています。
驚くようなレスポンスの速さ
-ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか?
原: 当社の状況を踏まえ、オーダーメードなサポートをしていただきました。勝俣さんの決められたスケジュールにそって進めることで、事務局もステップアップしていくことができました。
また、内部監査やマネジメントレビューにも立会っていただいたことで、OJTで学ぶことができました。シミュレーションではなく、実際の監査に立ち会っていただくことで、進め方がよく分かりましたし、参考になるご指摘を多々いただけました。
あとは全体として、とにかくレスポンスが早かったですね。定期ミーティングの合間に疑問に思ったことなどをメールでお伺いする機会が多かったんですが、異様に早く、しかもすごい時間帯に返事が返ってくるんです。これは非常に励みになりました。(笑)
社内の人間も本業の通常業務に加えて当該プロジェクトを進めているので、プロジェクトに関するやり取りはどうしても深夜になることも多く、それぞれ大変だったと思います。でも、外部のコンサルさんがこれだけ頑張ってくれているんだから、自分たちも頑張らなければという気持ちになりました。
ただ、ミーティングにご来社いただいた際に、興が乗るとエンドレスに講義を行われるので、付いていくのが大変だったのが難点です。(笑)
紺野: 私の好きな言葉に「花は香り、人は人柄」というのがあります。やはり仕事は最後は「人」だと今回も感じました。
勝俣さんに関してはエピソードがあります。当社はトイレにちょっとひねった標語を貼っているんですが、それに感心して勝俣さんが褒めてくださったんです。社員からは特にコメントがなかったので、分かってくれる人がいたのは嬉しかったですね。(笑)
時代を先取りするフットワークの軽さを
-今後の計画があれば教えてください。
紺野: まずはISMSを社内に定着させていくこと、そして、時代の移り変わりには、常にフットワーク軽く対応できる姿勢でいることです。創業当初は、「リサイクル」や「個人情報保護」という言葉自体、それほど広く知られた概念ではありませんでしたが、今では様々な規制や制度が整備されてきています。そのような環境の変化や新しいことにぶつかったときに、できない理由を考えるのではなく、どのようにすれば前に進めるのかを考え、常に前向きに取り組む企業でありたいと考えています。
-今日は貴重なお話をありがとうございました。
利用サービス
プロジェクトメンバー
お客様 |
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代表取締役社長 紺野 道昭氏 |
社長室長 原 淳氏 |
ニュートン・コンサルティング |
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取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介 |
担当の声
取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介
PDCAの本質をご理解いただくことを大切に
こういった活動が実ったと実感できましたのが、原様が、審査前に「自信満々です!」と意気揚々と語っておられた時でした。半分冗談も交えておっしゃられたのだと思いますが、間違いなく、その顔には自信が満ちあふれていらっしゃいました。もちろん、この成功の裏には、社長様以下、社員様全員の前向きなサポートが欠かせないものであったと存じます。
プロジェクト終了時はいつも名残惜しく感じるのですが、今回は特にその気持ちが強かったのも、こうした取組みがお客様にもご理解いただけ、共有できたためだと考えます。どうもありがとうございました。