ロジャナ・ディストリビューション・センター様

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洪水被害を受けたタイ工業団地
荷主のサプライチェーンを守る物流業のBCP

ロジャナ・ディストリビューション・センター会社(以下「RDC」)は、タイのバンコク北、アユタヤのロジャナ工業団地にある住友倉庫株式会社の海外拠点です。当該地域はホンダやニコン等、200を超える工場を擁しており、2011年のチャオプラヤ流域洪水では大きな被害を受けました。海外進出企業における経済活動への影響を最小化する取組みが急務と考えた同社は、企業活動の停止による被害の拡大防止や経済活動の早期復旧などの事業競争力強化を目的に、経済産業省の「グループ単位による事業競争力強化モデル事業」に参加、BCMS構築に取り組みました。今回のプロジェクトについて、代表取締役社長の中山健二氏、取締役の清水正彦氏、株式会社住友倉庫 海外事業部・国際プロジェクト室の齋藤將利氏にお話を伺いました。

工業団地全体、他地域との連携も視野に入れたBCP

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―御社の事業内容を教えてください。

中山: タイのバンコク、アユタヤ(ロジャナ)、レムチャバン、スワンナプープ国際空港に拠点を構え、タイに進出している日系企業様を中心に、倉庫保管、フレイト・フォワーディング(輸送手配、輸出入手続、通関手配等)、タイ国内の陸上運送を手がけています

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チャオプラヤ流域洪水被害の様子

―今回の取組みのきっかけはどういったことでしょうか。

中山: 2011年のタイ大洪水の際、当社アユタヤ本社倉庫が浸水し、貨物がダメージを受けたほか、長期間にわたって入出荷ができない状態が続くなど、甚大な被害を受けました。当社では、もともと個社で洪水対策やBCPの策定に取り組んでおりましたが、その後、ロジャナ工業団地全体でのBCP策定及びBCMS構築の取組みにお誘いを頂き、その取組みの一環で、当社単独でもISO22301の取得を目指すこととしました。

清水: 当社から中山(社長)・清水(取締役)及び当社出資者である(株)住友倉庫の担当者1名(齋藤)を中心に取り組み、アユタヤ本社のタイ人スタッフの協力を得ながらプロジェクトを進めました。

―想定した被災状況や、優先して守りたい経営資源について教えてください。

 

清水: 今回想定した被害は、2011年のタイ大洪水を越える洪水が発生し、強化された洪水堤防を乗り越え、ロジャナ工業団地が再び浸水(地表から2.0m)するというものです。当社オフィスや倉庫も浸水により長期に入出荷できない状態が続くことを想定して対策を検討しました。

中山: まずはアユタヤ地区従業員の生命、安全、職場環境が第一です。次いで、アユタヤで事業を営まれるお客様の貨物の保全とサプライチェーンの維持を守ることを目的にBCPを策定しました。

―想定した被災状況や、優先して守りたい経営資源について教えてください。

 

清水: 今回想定した被害は、2011年のタイ大洪水を越える洪水が発生し、強化された洪水堤防を乗り越え、ロジャナ工業団地が再び浸水(地表から2.0m)するというものです。当社オフィスや倉庫も浸水により長期に入出荷できない状態が続くことを想定して対策を検討しました。

中山: まずはアユタヤ地区従業員の生命、安全、職場環境が第一です。次いで、アユタヤで事業を営まれるお客様の貨物の保全とサプライチェーンの維持を守ることを目的にBCPを策定しました。

―検討の過程ではどのようなことが課題になりましたか。

 

清水: 洪水の発生は事前に予測することができます。しかし、膨大な貨物量及び品目があるため、すべてを代替拠点に移管することは時間的・物理的に不可能であり、選別をする必要があるということがわかりました。貨物はお客様の所有物ですから、お客様の協力(貨物移管への同意や費用負担等の面)がないと、BCPを実現することが困難です。また、従業員の生命・安全と事業継続とは、ある面においては相反する可能性があり、優先順位を判断しなければなりませんでした。

 

中山: 2011年のタイ大洪水後、ロジャナ工業団地では防水堤防を強化し、またRDCでも、止水壁化、排水ポンプ設置、止水板配置等といった様々な止水策を倉庫に実施しました。発電機を設置し、新設した中二階保管庫への重要書類やシステム用サーバー及びデータ等の移動といった洪水対策も実施しています。洪水が予想される段階で代替拠点に移転し、事業継続を図る大まかなプランも策定していました。

そこで今回は、具体的な想定シナリオに基づいて、より具体的な事業継続策を策定することになりました。

例えば、洪水における各フェーズにおいて、「誰が、誰に対し、何をするか」をより詳細に検討した上で、これを時系列に沿って整理・一覧化し、誰でもBCPがすぐに把握できるようにしました。また、状況に応じて、RDCの顧客以外の貨物避難にも協力する等、RDC単独ではなく工業団地全体との連携も視野に入れています。

BCPについては、大まかな戦略としては、工業団地が浸水する前の段階で、レムチャバンの代替拠点に貨物とスタッフを移管し、そこで業務を遂行することとしています。将来的には工業団地との連携を高め、また他の地域に代替拠点を設置することも検討しています。

関係者で共通認識をもつことの難しさ

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―BCPを策定されて、どのようなご感想をお持ちでしょうか。

清水: 正直に申しますと、準備する分析資料や検討すべき課題が多く、かなり大変でした。策定や演習の過程でも今後検討すべき課題が次々と明らかになり、策定後も大変です。しかし、今回の取組みにより、実際の洪水が発生した場合にスムーズに計画を遂行できるようになり、また関係者間の共通認識(洪水発生時のシナリオ、課題について)を得ることができるので、非常に有益なものとなりました。

中山: 今後は、代替拠点に移管する貨物の選別や優先順位等についてより具体的な基準を決め、実際の各荷主・貨物ごとに行う対応をさらに詳細に検討し、実効性を高めていきたいと考えています。

また、お客様や協力企業に対して、当社BCPやBCMSについて説明し、理解を得るとともに、災害時の協力体制についても議論を深めていきたいと考えています。

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―ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか?

清水: 豊富な経験に基づくBCP策定、BCMS構築へのアドバイスのみならず、教育や演習の実施についても多大なご協力を頂き、大変感謝しております。特に教育・演習では、日本語、英語、タイ語を織り交ぜながら、工業団地の運営管理企業とも連携して実施したことで、たくさんの気づきがありました。

齋藤: 有事の際に、工業団地の運営管理企業が工業団地全体から集まる情報を一括集約し、交通情報や近隣の空き倉庫情報、緊急の輸送手段を探している企業情報などを共有する仕組みを検討することもできたので、とても有意義なものとなりました。

担当の声

現場を運営の主役に据えた取組みで、BCMSの浸透スピードを上げる

今回のISO22301認証取得支援では、タイへの訪問は教育・訓練のみという最低限に抑え、残りの部分は現地の方とのテレビ会議や電話、メールという形で進めました。

特に意識して進めたもののひとつが、入居している工業団地との連携です。工業団地ではすでに2011年の水害の経験から多くのハード面での対策を実施しており、その一つが危機関連情報の配信システムでした。水害をはじめ定期的に危機情報を入居企業に伝達する仕組みであり、今回のRDC様のBCPではこういった工業団地の運営側の動きを逐一確認したうえで連携を考慮しての構築を進めています。

もう一つが現地の方々にいかにわかり易く伝えるか、という点です。ISOの考え方に触れるのが初めての方も多く、現地の方の被災体験談や想いも確認したうえで、演習・訓練まで取り組みました。皆真摯に取り組む姿勢があり、やはり実際に被災したからこそ、真剣なのだと強く感じました。

そして最終的にタイ物流業者で初のISO22301認証取得という成果を挙げられたことは、取り組まれたRDCの皆様はもちろんのこと、私自身を誇らしい気持ちにさせてくれます。海外での支援、他組織との連携、3か国語が飛び交う現場と、今後のコンサルタントとしての糧になる、とても貴重な経験をさせて頂き深く感謝しております。

お客様情報

名称 Rojana Distribution Center Co.Ltd.
所在地 1/35 Moo 5 Rojana Road, Tambol Karnharm, Amphur Uthai, Ayutthaya, Thailand
設立 1989年9月
資本金 THB75,000,000-
代表者 Kenji Nakayama, President
事業内容 倉庫業、フレイト・フォワーディング業、陸上運送業

(2014年8月現在)

プロジェクトメンバー

お客様

ロジャナ・ディストリビューション・センター会社 代表取締役社長

中山 健二氏

取締役

清水 正彦氏

株式会社住友倉庫 海外事業部・国際プロジェクト室

齋藤 將利氏

ニュートン・コンサルティング

プリンシパルコンサルタント

内海 良

コンサルタント

今川 恭宏