AIG損害保険株式会社 様

認証取得を通じてBCPの実効性を再確認
全事業でISO22301取得

AIG損害保険株式会社様は今年創業100年を迎えるAIGグループの一員として、緊急時こそ被災者の生活再建をサポートするという役割を担っていらっしゃいます。事業継続活動に重きを置いて取り組まれる中で、自社の活動が国際標準基準を満たしているか確認したいという想いから、ISO22301認証取得支援サービスをご利用いただきました。今回、執行役員 経営企画担当 岩本 真一様、総務部門 BCM担当 後藤 修様、経営企画部 マネージャー 篠原 愛生様にお話を伺いました。

 

 

―貴社の事業内容をお聞かせください。

岩本:当社はAIGグループの一員として、損害保険を取り扱っています。日本におけるAIGグループの事業戦略コンセプトとして「ACTIVE CARE」を掲げており、これは「シンプルで分かりやすい」「リスク情報を事前に」「AIGならではの先進性」の3要素で構成されています。「事業継続に対する潜在的な脅威に事前に備える」というBCP、BCMの考え方とも一致するものだと思います。

 

緊急時こそ生活再建をサポート

執行役員 経営企画担当
岩本 真一 様

―これまでどのようにリスクマネジメント活動を行ってきましたか。

岩本:大規模災害を含めた緊急事態発生時こそ、迅速な保険金支払いなどを通じて、被災者の生活再建をサポートすることが保険会社としての我々の使命です。そのために、対応体制の整備、対応計画の策定、各種トレーニングや訓練などを継続的に行ってきています。さらに、特にお客様への影響が大きく、かつ保険会社の根本的な責務である「保険事故受付」、「保険金・返戻金等の支払い」、「保険契約引受業務」、「保険商品付帯サービスの提供」、「お客さまとの連絡窓口業務」の5つの業務を最優先業務と定め、被災して24時間以内に業務を再開できるよう備えています。

後藤:損害保険事業の特性は、何と言っても災害発生時は通常よりも業務量が多くなることです。損害保険は「万が一に備える」ものですから、地震や台風などの自然災害が発生すると、お客様からの問い合わせ、事故受付業務、損害調査、保険金支払業務が通常の何倍もの量になります。その上、社員が被災者になったり、交通事情で出社できなかったりすると事業継続に大きな支障となります。

ですから、災害発生に備えて事業を行う場所を分散することで人的リソースも分散しておくこと、また、災害が発生した場合は社員の安否確認を確実・迅速に行い業務可能な人的リソースを確保することが事業継続の肝となります。当社では、事故受付センターおよびお客様からの問い合わせを受電するコンタクトセンターは、富山、長崎、沖縄に分散させ、かつリアルタイムで電話を振り分けるシステムを導入していますので、どこかの拠点が使用できなくても業務を継続することができます。また、人的リソースの確保のために、全社員にシンクライアントPCを導入して、在宅で業務を行うことができるようにしています。

 

―今回のプロジェクトであるISO22301取得はどのようなきっかけでスタートしましたか。

岩本:これまでAIGグループのグローバル基準に沿ってBCP、BCMの体制を構築してきたのですが、事業継続に関する活動には終わりはなく、常にたゆまぬ努力をしていかなければなりません。そう考えた時、我々のレベルは世の中と比べてどうなのかと気になったのがきっかけです。

今回は全事業・全拠点を対象にISO22301取得を目指すという保険業界初のチャレンジでした。当社ではご加入いただいているお客様を全国の拠点でサポートさせていただいております。ですから、例えばコールセンターや本社など特定の事業・拠点のみを対象とするのは違うと感じ、全ての事業、全ての拠点を対象にすると決めました。

 

―ニュートン・コンサルティングをお選びいただいた理由は何でしたか。

岩本:ISO22301取得は初めてでしたので、手探りで着手するのではなく、外部コンサル会社に依頼することにしました。ニュートン・コンサルティングを選んだ理由は、BCPに関する知見が一番豊富だったことに加え、「有事に実際に動けるかどうかを重視する」という考え方に共感したからです。ニュートン・コンサルティングでは東日本大震災以前からBCPの支援を行っているだけあって、震災で実際に動けた企業と動けなかった企業の違いをよく認識していると感じました。

我々も、有事の際にきちんと動けることを重視にしています。何かあった時にはマニュアルなど文書にとらわれるのではなく、常に柔軟に行動しなければなりません。もちろん、日頃から文書を準備しておくからこそ対応できるという面もありますし、文書を作る過程で色々と分析したり過去の教訓を記録したりしておくことは重要なのですが、何かあった時に動けることが一番です。事業戦略コンセプト「ACTIVE CARE」の中で、リスクを未然に防ぐことを掲げている当社だからこそ、業務が機能不全に陥ってしまうリスクを回避するための動きが求められると考えています。

 

災害対応を実践しながらのプロジェクトに

―プロジェクトの概要を教えてください。

後藤:まず、これまでのBCP、BCM活動をISO22301の規格に照らして、何が足りないのかギャップ分析を行いました。抽出された課題を踏まえてニュートン・コンサルティングに改善計画をご提案いただき、それを社長やBCP担当役員に共有して、トップインタビューを実施しました。トップインタビューでは、社長から「ISOの認証取得が最優先とは考えていない。大事なのは緊急時に実際に動けるかどうかであり、ISOの取得はあくまでその延長と考えている。当然のことだが、認証取得のためのBCP活動にはなってはいけない」とのメッセージを聞き、改めて今回のプロジェクトの基本方針を確認することができました。

その後、審査に向けて準備を進めていきました。これまでの活動の中で必要な文書などは一通りそろっていたのですが、ISO22301の要件と見比べていくと、「文書はあるが、この項目が入っていない」といった細かい抜け漏れがどうしても出てきます。その不足分をどう補うか、ニュートン・コンサルティングにアドバイスを受けながら進めていきました。一見不足しているようでも、例えば社内のイントラや別の文書に記載があれば、それで補える場合もありました。その辺りは我々ではなかなか分からないので助かりましたね。また、内部監査員研修や審査を想定した模擬ヒアリングなどもしていただき、審査にも立ち会っていただいて、無事ISO22301を取得することができました。

 

総務部門 BCM担当
後藤 修 様

―今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか。

後藤:ISO22301について分かりやすく教えていただき助かりました。規格を読んでいても「この要求事項に対しては自社のどこが該当するのか」が分からないことが多々ありましたので、丁寧に教えていただき、ギャップ分析などに反映できたのがありがたかったです。

また、プロジェクトの最中だった2018年は自然災害が非常に多く、大阪北部地震や西日本集中豪雨、北海道胆振東部地震、大型の台風21号、24号の上陸など、大規模な自然災害が立て続けに発生しました。このため、ISO22301取得への準備、イコール実践ということになりました。社内ではずっと対策本部が立っているという異例の状況でしたし、保険金請求も多く、特に台風21号では広い地域に被害が及んだこともあって、請求件数が東日本大震災を上回るほど。大変なこともありましたが、このような状況の中でもその場その場でサポートいただき、結果的にBCPの実効性が確認できたのは良かったと思っています。当初の目的通り、有事の際にもきちんと動けるということを、実際の災害対応を通じて確認できました。また、審査のヒアリングは災害対応の最中に受けることになり、実際に行っていることをそのまま話せば事足りたのは予期せぬ成果でした。

 

―大変だった点はありますか。

後藤:相次ぐ災害対応に加えて、全事業・全拠点を対象としたことで、ヒアリングの社内調整等に非常に苦労しました。当初は、中断すると直接お客様にご迷惑をかけてしまう最重要5業務のみに絞り込んでISO22301取得を考えていたのですが、掘り下げて考えていくと、ほとんどの業務が最重要業務につながっているのです。苦労しましたが、社員の意識向上のためにもチャレンジして正解でした。

大規模自然災害への対応能力を強化

経営企画部 マネージャー
篠原 愛生 様

―当社のコンサルティングについて感想をお伺いできますか。

後藤:プロジェクト開始当初に、審査までに必要となるプロセス及びそのスケジュールを明示していただき、要求事項と提出物の大きなマトリクス表を提供いただいたので、我々も迅速に全体像をとらえることができ、それぞれの要求事項で何が求められているかをすぐ理解することができました。また、我々がよく分からない項目、内容について、これまでのISO22031取得に関する知見とご経験から、タイムリーにアドバイスをいただいたり、参考となる関連資料を提供いただきましたので、スケジュールに遅れることなく各タスクを完了することができました。

 

 

―今後はどのようにリスクマネジメント活動に取り組む予定でしょうか。

篠原:第一に、首都圏直下型地震などの大規模自然災害への対応能力の強化を図っていきます。東京が被災して動けないという事態を想定し、大阪での代替危機管理本部の能力強化、被害想定を踏まえたBCPの再検討、人員配置の最適化などを進めます。現在は、首都直下地震が起きた時、東京がどのくらいの期間機能停止するかなどの検討を行っているところです。また、2019年の台風シーズンに向けた保険金支払い体制の強化や、2018年の災害対応の振り返りを踏まえた様々な改善も行う予定です。

インタビューの様子

―本日は誠にありがとうございました。

担当の声

アソシエイトシニアコンサルタント  林 和志郎

「ACTIVE CARE」を体現した認証取得

本プロジェクトで「全業務を対象にする」と伺ったときの驚きは今でも覚えています。
全業務が対象ということは、全社員が対象になるため、審査時の現場ヒアリング準備と認証取得時期を考えると、大変なことになると腹を括りました。

トップインタビューでの「認証取得が最優先ではなく、社員の安全、お客様のために『緊急時に実際に動けるかどうか』という観点で支援をして欲しい」というご要望をもとに、プロジェクトの方針を「場当たり的な対応はしない」、「指摘は真摯に受け入れよう」と決めました。これによって、全業務・全社員対象の認証取得という一大プロジェクトをやり遂げることができたと考えます。

「緊急時に実際に動けるかどうか」という観点は、弊社が推奨する「真に経営に役立つ活動」につながりますが、実際にはお客様の理解を得にくい場合も多いです。AIG損害保険様は、事業戦略コンセプトである「ACTIVE CARE」にある「お客さまにとって最も価値のある保険会社を目指します」等が浸透しているからこそ、この観点に基づき、真に経営に役立つ活動が実践できたと考えます。

平時も有事も迅速な対応ができるAIG損害保険様は、保険業界のイノベーターとして、今後更に飛躍されることを改めて確信いたしました。

お客様情報

名称: AIG損害保険株式会社
本社所在地: 東京都港区虎ノ門4丁目3番20号
設立: 1946年(2018年1月1日、AIG損害保険株式会社として営業を開始)
代表者: 代表取締役社長 兼 CEO ケネス・ライリー
事業内容: 損害保険
URL: https://www.aig.co.jp/sonpo

(2019年4月現在)

プロジェクトメンバー

お客様

執行役員 経営企画担当

岩本 真一 様

総務部門 BCM担当

後藤 修 様

経営企画部 マネージャー

篠原 愛生 様

経営企画部 スタッフ

金 奈穂 様

ニュートン・コンサルティング

アソシエイトシニアコンサルタント

林 和志郎

コンサルタント

清水 洪軌

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