河本総合防災様

株式会社河本総合防災様は災害対策商品や防災用品を総合的に取扱い、消防設備等の設計・施工、及びメンテナンスを行っており、総合防災企業として安全と安心をご提供し続けています。2012年に創業50周年を迎え、さらなる発展を展望しISO22301認証取得に取り組まれました。
その経緯等につきまして、代表取締役の河本俊二氏、常務取締役の河本伊久雄氏、プロジェクト事務局の総務部部長の小川誠氏、同部主任の小松三千代氏にお話をお伺いしました。

災害対策への意識を高めてもらうという使命

代表取締役社長 河本俊二氏

-貴社の事業内容を教えてください。

河本俊二氏:当社は50年前、物を作って販売するというところから事業をスタートしました。その後は『総合防災』という屋号にふさわしく防災に関わる全てのものを扱わなければという思いで扱う商品を消防法に関わるものにも広げました。さらに近年ではお客様に必要だと思われるものについては法律の基準があるなしに関係なく扱うようになり、現在その数は数千に及んでいると思います。

物販以外にも消防設備の施工、その点検・維持・管理(メンテナンス)を行っておりますが、これら3事業をバランスよく展開していた以前に比べ、この2~3年は災害対策商品の需要が伸びたために物販が全体の50%近くまで占めるようになりました。その背景には、一昨年の東日本大震災後に「災害はいつくるかわからない、例えば冬の深夜など一番過酷な状況を想定して備蓄をする必要がある」という考えが広まったためではないかと思います。

業界の競争は激しさを増しており、現在、防災事業に取り組む『防災企業』は全国に数千社はあると思います。当社はそういった企業向けにも防災用品を提供し、災害対策に関わる意識を共に高めていきたいと考えています。

100年企業を目指し社員へバトンを渡す

-今回ISO認証取得をお考えになった理由を教えてください。

河本俊二氏:ひとつは、当社は昨年おかげさまで創業50周年を迎えました。その記念式典の中で『未来100年企業宣言』とういものをさせて頂きました。100年企業を目指し、今後さらに事業を継続・拡大していくため、もう一度原点に立ち戻り自社の在り方を見つめ直していかなければと思っています。

その意識のもと、最近特に成長著しい災害対策関連商品の販売を継続していくにあたり、お客様をはじめ社員や多くのステークホルダーの方々に当社をそういった商品を販売するにふさわしい企業として改めて認めて頂きたいと考えています。そのためには公のお墨付き、つまり国際基準であるISO22301認証を取得することに取り組むのがよいと考えたのです。

それと同時に、社員には当社の未来を受け継いでいくという意識を持ってもらいたい、そのためにも認証取得まで行うのがよいだろうと考えました。

BCPを策定し、さらにISO22301認証取得まで行ったという結果は大きな自信となります。 さらに認証取得によって、この先ずっと自分達で継続していかなければならないという社員ひとりひとりの責任感が強まるのではないかとも思っています。その気持ちと自信を形にしていければ当社は確実に継続していけるだろうという期待を寄せているのです。

もうひとつの大きな動機は、今回のISO22301認証取得は防災総合商社として日本で一番目、かつ世界で最初になるということです。これを知った時に「こんな機会は滅多にない」と思い、ぜひ取り組もうということで決めました(笑)。社員に『世界で一番』なのだという意識をもってもらいたい、そのためにもこのチャンスを逃したくないと思いました。

常務取締役 河本伊久雄氏

-何故ニュートン・コンサルティングを選ばれたのですか?

河本伊久雄氏:ニュートンさんが東京都BCP策定支援事業を受託していることを知り、何かご一緒にできないかとご連絡したのが副島社長との出会いでした。その後、副島社長の講演に行かせて頂いたりしているうちに、防災用品を扱っている当社にBCPがない、事業継続についてきちんと考えたことがないというのはどうなのかと思い始めました。災害時に必要となる商品を扱っている当社にこそ、BCPが必要なのではないかという結論に至り、副島社長にご相談しました。 そしてニュートンさんの支援を頂くことになったのです。

事業中断は失注に直結する

-プロジェクトの内容を教えてください。

河本俊二氏:対策本部メンバーとして役職者を任命しました。プロジェクトのメンバーは業務に携わる現場の社員を選任し、各拠点の責任者にもプロジェクトに参加してもらいました。適用範囲は本社、東京支店(特販事業部)および大阪支店で、対象事業は物販事業としました。

河本伊久雄氏:当社はいままで築き上げてきたお客様との信頼関係などもあり、おかげさまで現在は順調に業績を上げることができております。しかし扱っている商品は特別なものではないため、もし当社の事業が中断し商品を販売できなくなった場合には、お客様は競合他社から商品を購入することが予想されます。

ついてはできるだけ早くお客様に商品をお届けできる状態にすることが最も重要です。今回は社屋と人員の一部、ITシステムが利用できないという想定で、まずはお客様との窓口であるお問合せ対応業務、受注業務を最優先させ、同時進行で在庫確認業務を行っていきます。これら3業務は第一優先業務として24時間以内に復旧させるという厳しい目標を設定しています。

通常、問合せ対応業務、受注業務は電話・FAXで行いますが、これらは使用困難なると思われますので、他の拠点を代替窓口にして対応します。さらに商品の仕入れが難しくなると想定し、代替調達先を確保することと平時の在庫をお客様のニーズに合わせて調節することで対応します。

またこれらの業務復旧を確実に行うためには社内外を問わずコミュニケーションを密にすることが何より重要ですので、担当者が迷わないようにルールを明確にし、社用電話や携帯電話やメールをはじめ使用可能なあらゆるツールを使ってコミュニケーションを確実に行うことを明文化しています。

プロジェクトメンバーの全員の営業成績が上がった

-気づきやプロジェクトから感じるメリットはありますか。

河本俊二氏:実はたまたまかもしれませんが、今回取り組んだメンバー全員の営業成績が上がりました。これは各メンバーが、今回のプロジェクトに取り組んだことによって意識が変化し、モチベーションが上がった結果、自分達がやらなければならない、その先のお客様を見据えて「よし、やろう」という気持ちになったのだと思います。ISO認証取得に自ら関わったということで自信がついてきているのだと思います。

この結果は、今後社内で責任を持って業務に取り組むことの重要性を認識してもらうために全社員に話していきたいと思っています。そしてこういう意識が全社に広がっていったらよいと思っています。

そういった意味においても、ISO認証取得で得た知識を今後さらに全社的に営業活動に活かしてもらいたいと思っています。例えば、これから認証マークが入った名刺を全社員が持つようになり、セールスなどお客様と接する場面が来たとき、自信を持って事業継続の重要性等について話ができれば、お客様に総合防災商社として他社とは違うというイメージを持ってもらえるだろうと思います。そしてその結果、商品購入の際には当社を選んでくれるのではないかと考えています。

きめ細かいサポートのおかげで予定どおりに完了

総務部部長 小川誠氏

-ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

河本俊二氏:今までISO認証取得やマネジメントシステムに関わったことがなかったため、最初はどうなるのかと思いましたが、懇切丁寧に支援して頂いたと思います。すべてにおいて一生懸命サポートして頂いたと感じています。

総務部主任 小松三千代氏

小川氏:当社の業務をよくご理解頂き、当社の立場にたってBCPに携わって頂いたという点でとてもやりやすかったと感じています。審査に向けて準備する書類の数が多く、書式にならっていかに当社のBCPを作成するかというところでは細かい確認や必要なことが網羅されるように気を配りました。



 

今回は短期間での認証取得を目指し、審査までの時間がタイトだったため、不安も多かったのですが、きめ細かい対応をして頂いたおかげで予定どおりに進めることができました。

小松氏:わからないことはすぐに電話して聞けたので本当によかったです。時には終電近くまでかかることもあったのですが、複雑なことやわからない点についてもいつでも細かく丁寧に説明して頂きました。私が一番頼ってしまったのではないかと思います。

スタートラインに立ったばかり

-今後のご予定を教えてください。

河本俊二氏:まずはISO認証取得をスタートラインにして、ここから始める、ここからが重要なんだ、という意識づけを全社に対して行っていきます。

現在、災害対策商品販売に関わる社員は1/3ほどですが、専門的な部分は別としても浅く広く全ての社員にまず意識させ、全社的にISO認証取得をどう活かしていくかということについてひとつずつ検討しながら進めていきたいと思っています。国家資格等もそうですが、資格を取ることがゴールではなくそれをどうやって活用していくかが重要だと思います。

今後は、もう一度日々取り組んでいる業務を見直すことと、平時のトレーニングによって実際にその業務に携わる社員がどう感じるかということを吸い上げ、問題点をひとつひとつ改善していきながら、いざという時に役立つ仕組みにしていきたいと考えています。当社は社会的に責任のある事業をしている立場として常に一歩リードし、いざというときにもステークホルダーの方々のお役に立てるようしっかりした体制をつくり、ニュートンさんをはじめ、各方面の方々と協力しながら物販にとどまらない防災に関するトータルソリューションを提案していきたいと考えています。

-今日は貴重なお話をありがとうございました。

担当の声

シニアコンサルタント  高橋 篤史

強力な組織力で認証取得の次のステップへ

「高橋さん、文書構成はこれで良いですか?」日頃の活動の積み重ねが審査結果に結実するとあって、審査前の最終チェックは真剣そのものです。しかし、BCP策定開始からこれまで、様々な課題と向き合い、着実に改善を重ねてこられた経緯を見ている私たちには、それほど大きな不安はありませんでした。とは言え、「防災用品を扱う事業を遂行する企業として、何としてもこの認証は取りたい」という気概を持ち続けてここまできた以上、最後まで気をゆるめるわけにはいきません。

審査の結果、いくつかの課題は見つかったものの、予想通り無事通過して認証取得されました。社長のお言葉にもありましたが、是非ここで初心に立ち返り、新たな気持ちで改善活動に取り組んでいただきたいと思います。災害時にこそ求められ、威力を発揮する事業だけに、その供給責任は重大です。今回作り上げたBCPをいかに実効力あるものに高めていくかは、演習を繰り返し、課題を洗い出し、対策を講じてチェックを行い、全社で共有するという継続的な活動にかかっています。災害が起こらなければ放置され、ともすれば形骸化しないまでも効力を減じてしまう恐れもあるBCPですが、社長はじめ、策定に関わったメンバーのみなさんや審査の時にインタビューを受けた現場のみなさんの真剣な姿を拝見していると、それも杞憂に過ぎないと感じます。つまるところ、BCPの実効性は組織力に裏付けられると言って過言ではないでしょう。その意味ではこれからも強力な組織として事業継続能力を高め、「河本総合防災様はどのような災害が起きても、必ずユーザーの期待に応えてくれる企業だ。」と広く認知される日もそう遠くない気がします。

お客様情報

商号 株式会社河本総合防災
本社所在地 神奈川県相模原市中央区鹿沼台2-1-3
設立 1957年3月
資本金 8,000万円
従業員数 75名
代表者 代表取締役社長  河本 俊二氏
事業内容 災害対策用品等の販売、消防設備等の設計・施工及びメンテナンス

(2013年1月7日現在)

プロジェクトメンバー

お客様

代表取締役社長

河本 俊二 氏

常務取締役

河本 伊久雄 氏

プロジェクト事務局 総務部部長

小川 誠 氏

プロジェクト事務局 総務部主任

小松 三千代 氏

ニュートン・コンサルティング

シニアコンサルタント

高橋 篤史

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