生出様

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不適合を恐れない 経営と現場に役立つ
『生出マネジメントシステム』を構築

株式会社生出は包装資材・緩衝材メーカーとして、電子情報機器・食品・医療製品等の包装に用いられる高機能緩衝材の企画・設計・製造をおこなっています。特に包装設計を得意としており、お客様の物流上の問題・課題を解決していく提案型のビジネスを展開しています。現在3規格のマネジメントシステムを運用していますが、この度ISOマネジメントシステム改善サービスについてご相談をいただきました。ISO認証維持に伴う作業負荷とコストの軽減だけではなく、経営に現場に、真に役立つマネジメントシステム再構築に取り組まれた経緯について、お話をお伺いしました。

ISO認証取得はひとつのブームであった

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代表取締役社長 生出 治氏

―これまでのISOの取組について教えてください。


 

生出: 当社では、2000年にISO9001(品質)、2001年にISO14001(環境)のマネジメントシステムの構築・運用を開始し、2014年5月には、ISO22301(事業継続)の認証を取得しました。

2000年当時は、いわゆるISOブームというものの走りであり、顧客から認証についての問い合わせが増えはじめました。当社としても品質や環境対応が信頼の証になり、かつ経営の高度化を図ることができるならばと、ブームに乗るような形でISOマネジメントシステムを取り入れることにしました。

導入にあたっては、ISO事務局要員に大手メーカーで品質マネジメントシステムの構築を経験した者を採用しました。その結果、大手企業の仕組みをそのまま移植した、規格の章立てに忠実に合わせた大量のマニュアルが作成されることとなりました。審査前の文書整理に伴う業務も膨大でした。

但し、マイナス面ばかりではありませんでした。それまで社内にはなかったPDCAの考え方、見える化を図ることによるチェック体制整備、納期管理の徹底など現在の管理体制を築くことができたのは、ISO導入の効果でありました。

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管理責任者 品質保証グループ 課長 西島 文則氏

―事務局としては、どのように感じていましたか。

2013年からは事業継続のBS25999(2014年5月にISO22301に移行)の運用を開始しました。3規格ともなると、各々の規格の要求事項や章立てが違うため、文書整備に追われることとなり、ISOは現場の負担感を増すだけの存在となっていました。

西島: 現場担当者からは、早い段階で文書作成業務の増大で、通常業務時間が圧迫されると指摘をうけていました。また、ISOの要求事項に応えることが、現場の業務に直結していない場合も多々ありました。審査前に、付け忘れていたチェック表をまとめて作成したり、年に1度の業務に対して緻密なマニュアルを作り上げ、しかもその時がきても現場ではそのマニュアルは利用していない等、自分としても疑問を感じることは多かったです。

大幅な業務削減に成功

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―ニュートン・コンサルティングにはどのような支援を期待しましたか。

生出: 現在のBCMSの礎は、2011年に東京都BCP策定支援事業に参加してBCPを策定した際に、その事業を受託していたニュートンさんの指導をうけてつくられたものです。指導はBS規格に沿っていましたが、それを意識させない整理された内容で、現場からも活発に声があがりプロジェクトは成功に終わりました。また、今回の件をご相談にあがった折、複数のマネジメントシステムの再構築方針が非常に明確でありながら、当社の業務内容に寄り添っていただけるもので、変革にむけて踏み切ることができました。

―具体的にどのようなことを行われましたか。

生出: まずは、全ての部署からヒアリングを行い、業務の洗い出しをしました。これまでの業務フローを見直し、その中で本当に必要とされている文書、残すべき文書は何かを現場責任者が判断を下していきました。結果、品質、環境、事業継続マニュアルは廃止、チェックシート・記録文書も使用していないものは全て廃止することになりました。

再編した後に残した文書は、事業方針書、全社共通ルール、業務マニュアルの3種です。従来から作成していた事業方針書には、各マネジメントシステムの方針・目標、管理体制を追加しました。全社共通ルールは、マネジメントシステムごとのマニュアルで規定していた内部監査、マネジメントレビュー等の全社的な業務やルールを、再編したり一部を追加したりして一つの文書としました。業務マニュアルは、既存フロー図を見直し、業務ごとの主要管理指標を明確化し、使っているチェックシート/記録文書との紐付けを行いました。

この結果、3規格のISO文書量は従前584頁から166頁となり71パーセントの削減、文書維持管理の作業量は従前760時間から80時間となり89パーセントの削減となりました。

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プロジェクト開始直後は、ISO要求事項については一切考えなくて良い、現場に役立つことだけを考えるように、とニュートンさんから再三言われましたが、不適合となることを恐れるくせがなかなか抜けませんでした。マネジメントシステムの統合というと、各規格を統合するという意識があったのですが、徐々に当社にとってのマネジメントシステムは唯一のものであり、事業全てを含んだ経営全体が対象なのだと意識が変わっていきました。今回、再構築したものは「生出マネジメントシステム」と名称を改めることにしました。

―現場責任者としての率直なご感想をお聞かせいただけますか。

髙木: 以前は、ISOに係るひとつひとつの作業が何につながっているのか分からないことが多々ありました。BCP策定時のプロジェクトは、まさしく自分の業務に直結した有意義なものだったという印象が強く、今回の支援をうけるにあたっても大きな不安材料はなかったように思います。

今回、全社共通ルールを再編するにあたり、部署間をまたぐ作業フローが見直され、マネジメントシステムが会社全体でどう動くのかを理解することができました。帳票類も大幅な削減となり、現場の負荷を下げることができたように思います。

尾作: これまでのマネジメントシステムの在り方は、チェック機能を果たしている面もありましたが、人的なリソースが豊富にある大手企業向けのマネジメントシステムのようにも感じていました。形だけ整えても実際に動かす社員がその作業に追いついていけないのです。

今回は、全社あげて業務の見直しもでき、何が自分たちにとって重要な問題となるのか、どこに力を注ぐべきなのかを新たに気づくことができ、本当によかったです。

中山: 以前からISO9001の要求事項と実務に、大きな乖離を感じていました。3年ほど前から、社内で少しずつマネジメントシステムの統合をすすめ、文書のスリム化などをはかる動きがあったので、今回のプロジェクトに違和感はありませんでした。 ニュートンさんの指導を受けながらも自分たちが目指そうとしていたことは、間違っていなかったという後押しをうけたと感じています。

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パッケージング事業部 製造グループ 課長 高木 義規氏,パッケージング事業部 生産管理グループ 部長 尾作 正子氏,パッケージング事業部 包装設計グループ 課長 中山 哲氏,

ISOに使われるのではなく、ISOを利用する

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取締役 事業部長 加藤 慶治氏

―経営側からの率直なご感想をお聞かせいただけますか。

加藤: 今回のプロジェクトでは、どうしても囚われがちな固定概念を壊して、新しいものを生み出せたという自負があります。形骸化していた既存のマニュアルを廃棄して、実務に沿った業務フローチャートと全社共通ルールで十分当社の管理体制はまわることが分かり、方向性が明確になりました。今後は、堅牢な内部監査の仕組みづくりと、顧客に対して当社の新しいマネジメントシステムを周知していくことを大きな課題として取り組んでいきます。

生出: 一番の大きな収穫は、既存のISO審査への対応をやめる決断ができたということです。これまでは規格ありきでマネジメントシステムをみていましたが、そうなると規格に対して足りないものを補う活動に終始してしまいます。こうなると経営や本来のマネジメントの本質からどんどんずれていってしまう。今回の取組みで、戦略・経営目標を実現するために自分たちは何をすべきか、という本来のあるべき姿を取り戻すことができました。

―本日はありがとうございました。

担当の声

本来のマネジメントシステムはISO規格ごとに分かれてはいない

日本では、ISO規格認証組織数の減少が続いています。
「ISO Survey 2013」によると、QMS(ISO9001)はピークの2006年から43パーセント近くも減少、EMS(ISO14001)もピークの2009年から約40パーセントの減少、ISMS(ISO27001)は2012年まで増加していましたが、2013年には減少へと転じています。これは、一体どうしてなのでしょうか?

その理由は、組織本来の活動とISOの活動が乖離し、マネジメントシステムが二重化、三重化しているためではないでしょうか。ISOの活動自体が形骸化し、現場の「やらされ感」と過剰な負荷、そして使われない文書や記録が澱のように溜まっているのが、多くの組織が抱えている現状ではないかと思います。ISO認証取得組織の減少は、このような状況の表れではないかと当社は考えています。

生出様でも、トップ自らがこのような状況に危機感を持たれ、何とか変革していこうとされていましたが、なかなかISOの呪縛から逃れられない状態でした。プロジェクトがスタートした頃は、「ISO規格の要求事項は意識しない」「自分の会社にとって必要な文書だけを残す」「会社経営とISO活動を一体のもの」という方針にも、メンバーの皆さんは半信半疑であったでしょう。しかし、プロジェクトが進んでいくに従いメンバーにもご理解いただけるようになり、最終的には上記のような成果を出されました。

生出様と当社は、2011年のBCP策定支援から長いお付き合いをさせていただいていますので、今後のOMSの成長も見守らせていただけたらと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。

お客様情報

名称 株式会社 生出
本社所在地 東京都西多摩郡瑞穂町大字箱根ヶ崎1188番地
設立 1958年1月
従業員数 56名
代表者 代表取締役社長 生出 治
事業内容 軟質プラスチック発泡製品製造業、包装設計・加工・技術試験等の包装技術サービス、流通加工サービス

(2014年12月現在)

プロジェクトメンバー

お客様

代表取締役社長

生出 治 氏

取締役 事業部長

加藤 慶治氏

ISO管理責任者 品質保証グループ 課長

西島 文則氏

パッケージング事業部 生産管理グループ 部長

尾作 正子氏

パッケージング事業部 製造グループ 課長

高木 義規氏

パッケージング事業部 包装設計グループ 課長

中山 哲氏

ニュートン・コンサルティング

代表取締役社長

副島 一也

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

シニアコンサルタント

辻井 伸夫

シニアコンサルタント

英 嘉明