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コラム

ITILなどIT運用管理関連試験および資格

2010年12月03日

コンサルタント

工藤 秀義

IT運用管理に関連した資格取得を目指す場合、最もポピュラーなものとして「ITIL認定試験」があります。この試験はイギリス商務局(OGC:Office of Government Commerce)により実施され、日本を含む世界中で認知されています。国内のITIL認定試験は、ISEBとEXINの2団体が試験問題を作成・認定・主催し、どちらの団体の試験もPCを利用したオンラインの試験会場を運営する企業(プロメトリック)にて受験可能です。

ITIL認定試験の主流はこれまでのITIL Version 2からVersion 3に移行しており、V2の試験は段階的に終了しています。

ITIL V2とITIL V3は異なった試験が存在しますが、既にV2資格を取得している方は、移行試験を受けることでV2からV3へと移行可能です。今回は現在ITIL認定試験の主流になっているV3を中心に説明していきます。

V3には下記のような4つのレベルが存在します。(図表参照)
 
  • ファウンデーションレベル (Foundation Level)
    ⇒ITIL用語や構造、基本概念に関する知識を身につけている事の証明。
  • インターメディエイトレベル (Intermediate Level)
    ⇒ITIL V3のベストプラクティスやプロセス、役割について個々のモジュール、または複数に渡って習得している事の証明。
  • エキスパートレベル (ITIL Expert)
    ⇒インターメディエイトレベルでの各モジュールを満遍なく網羅的にカバーするよう、各モジュールからバランス良くクレジットを習得している事の証明。
  • マスターレベル (ITIL Master)
    ⇒エキスパートレベルの知識を持った上で、ITIL原則とプラクティスを応用した実務的な職務経験を有している事の証明。
【ITIL認定試験 資格体系表】
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ITIL認定試験:4つのレベルについて

・ファウンデーションレベル (Foundation Level)
ファウンデーションレベルは、ITIL認定資格の入口・登竜門であり、ITサービスのライフサイクルと大まかな知識が問われます。このレベルを達成すると、情報システム担当者はITILのフレームワークに関する基礎知識を習得、それを活用した組織内の継続的なサービス改善プログラムの在り方を理解し、円滑に業務を遂行することができると言えるでしょう。

認定試験に合格すると2クレジット(今後、上位試験を受ける場合に必要なポイント)を取得できます。

IT関係の方は、ITIL以外にも様々な種類の資格取得を目指している事が多いかと思いますが、このファウンデーションレベルを習得することがIT業務知識のベースになるはずですので、まずこのレベルまで目指すことをオススメします。

・インターメディエイトレベル (Intermediate Level)
インターメディエイトレベルは、「ライフサイクルモジュール」(Lifecycle module)と「ケイパビリティモジュール」(Capability module)、および「ライフサイクルの全体管理レベル」 (Managing Across the Lifecycle)から構成されています。「ライフサイクルモジュール」と「ケイパビリティモジュール」には複数の個別試験があり、受験者は必要クレジット数以上の個別試験に合格すると、「ライフサイクルの全体管理レベル」試験に進むことができます。

サービスライフサイクルモジュールには5つの個別試験があり、その内容はITIL V3にてカテゴリ分けされた5冊の書籍に即しています。認定研修コースに参加し、講義を受けることにより、各試験で3クレジットを取得できます。
  • サービスストラテジ (Service Strategy)
  • サービスデザイン (Service Design)
  • サービストランジション (Service Transition)
  • サービスオペレーション (Service Operation)
  • 継続的サービス改善 (Continual Service Improvement)
ケイパビリティモジュールは、ITIL V2のような旧来型の資格になり、下記4つに分けられます。こちらの試験は一般的な記入方式のスタイルとなっており、それぞれ4クレジットを取得できます。
  • プラニング、プロテクションおよび最適化 (Planning, Protection & Optimization)
  • サービス提案と合意 (Service Offering, & Agreements)
  • リリース、コントロールおよび妥当性の確認 (Release, Control & Validation)
  • 運用サポートと分析 (Operational Support & Analysis)
上記個別試験から17クレジットを取得し、研修コースに参加すると、ライフサイクルの全体管理試験を受験できます。ライフサイクルの全体管理は、ライフサイクルモジュールおよびケイパビリティモジュールにてカバーされているテクニックを連携して総合的に活用するための全体管理についての試験になります。

また、V2プラクショナ認定を取得している場合は、V3マネージャブリッジコースを受講し、合格することで移行可能です。

ITILのフレームワークに関する基礎知識をファウンデーションレベルで習得した後に、現在の業務に直接結びつく科目から必要に応じて選択すると良いかと思います。より専門的な知識習得の証明になりますが、多くの費用と時間が要することになります。

・エキスパートレベル (ITIL Expert)
エキスパートレベルは、これまでに習得してきた知識を連携させ管理出来る能力を必要とし、ITILのより深く広い理解が要求されます。

この資格を取得するために特別な試験を受ける必要はありませんが、V3ファウンデーションレベル(2クレジット)とライフサイクルの全体管理(5クレジット)、及びライフサイクルモジュール・ケイパビリティモジュールいずれかのモジュールから15クレジットを取得する事が必要です。

またV2マネージャ認定(Practitioner)にて17クレジットを取得している場合は、V3マネージャブリッジコースを受講し、合格することによりエキスパート認定を取得することが可能です。

本レベルやその次のマスターレベルは、ITILの専門家やITマネージャを目指す方が取得されることが多いです。ITIL書籍の出版やセミナーの講師などで活躍する方が取得されています。

・マスターレベル (ITIL Master)
マスターレベルは、指定条件に従ってITILの原則や手法、技術を職場で応用する能力を認証します。試験では、与えられた課題を説明した文書ならびにこれを補完する口頭発表が評価の対象となります。

ISO20000(ITサービスマネジメントシステム)向けの資格

ISO20000は、ITサービスに特化し、ITILのプロセスをベースとして適用したマネジメントシステムを実施するために、ISO(国際標準化機構)が策定した国際標準規格です。ITILは業務プロセスにおけるベストプラクティスを集めた“参考書”、ISO20000はそれらのベストプラクティスを全般的に“強制化(やらなければならない)“したものと言い換えられます。その他の違いとして、ISO20000ではITILにある「サービス戦略」「ICTインフラストラクチャ管理」と「アプリケーション管理」等が存在しないことなどが挙げられます。(詳細は用語集の「ITILとISO20000の違い」を参照)

このISO20000に関して、BSIジャパンやビューロベリタスなどのISO認証審査機関がトレーニングコースを実施しています。 トレーニングコースには、ゼロから学ぶ人向けやコンサルタント向け、審査員・内部監査員向け等の様々な種類があり、試験に合格または講座を受講すると修了証を得ることが出来ます。

その他の資格として、認定機関EXINが「ISO/IEC20000プロフェッショナル」という試験を行っています。この試験は、ISO20000の規格に沿ってITサービスの計画・構築・運用をするスキルや、個人が貢献するような状況を作り出すための役割と能力を活用するスキル、アセスメントを適切に実施するスキル、ITサービスマネジメント運用パフォーマンス結果を適切に分析するスキル、改善の取組みを管理し対応するスキルなど、実践的な知識を認定する資格となっています。