APT攻撃(高度標的型攻撃)

掲載:2023年12月18日

用語集

「APT攻撃」とはAdvanced Persistent Threatの略で、特定の技術的手法ではなく、高度かつ持続的なサイバー攻撃を指します。日本語で「高度標的型攻撃」と呼ばれることもあります。通常の標的型攻撃よりも、入念な準備と計画を立てたうえで、複数の高度な手口で侵入し、長期にわたって組織のネットワークに潜伏するのが特徴です。標的となるのは政府機関や大手企業が多く、国家機密や先端技術の情報などが狙われます。

         

APT攻撃の目的と手法

APT攻撃の大半は、国家主導によるスパイ活動や妨害工作の一手段として行われてきました。一般的な標的型攻撃のようにパターンが決まってはおらず、高度なツールや大掛かりなテクニックを組み合わせ、攻撃対象にカスタムして仕掛けられます。実際の被害事例では、ネットワーク監視ソフトウェアにバックドアのマルウェアが仕込まれたり、標的型メールを連続して仕掛けられたりなどがあります。

攻撃者は侵入後も検知されないように、攻撃の足場をつくっていきます。組織内の脆弱性をついて侵害を広げ、目的とする機密情報が窃取できるまでアクセス権などを気づかれないように拡大していくので、長年にわたって攻撃を認識できないケースも少なくありません。

APT攻撃への対策

近年では、国家に雇われていた攻撃者がその手法やツールを売り始めたことなどから、国家ぐるみでなくともAPT攻撃ができるようになり、その脅威は高まっています。

周到なAPT攻撃を入口のみで防ぐのは不可能といえます。攻撃者の侵入を前提とし、内部ネットワークへの拡大を最小限に抑えたり、データを暗号化して情報漏洩を防ぐなど、入口、内部、出口と多層防御が必要です。

多層防御の実施に参考となるフレームワーク/ガイドラインとしては以下があります。

NISTサイバーセキュリティフレームワーク(NIST CSF)
NIST(米国国立標準技術研究所)発行のフレームワーク、体系的かつ汎用性に優れ、世界中の企業や組織に活用されています。サイバー攻撃対策の機能別に「識別(特定)」「防御」「検知」「対応」「復旧」と5つに整理されています。
・NIST SP800-207
従来の境界型防御ではなく、社内外のネットワークを区別することなしに情報資産へのアクセスはすべて安全性を検証するというゼロトラスト・セキュリティについて、その基本的な考え方や実装方法がまとめられたガイドラインです。
・CIS Controls
米国のセキュリティ非営利団体であるCIS(Center for Internet Security)が公開するフレームワーク。最新のサイバー攻撃を踏まえた、具体的なセキュリティ対策が提示してあり、企業や組織が優先的に取り組むべき防御策を整理することができます。

生成AIの登場によりサイバー攻撃組織が自然な日本語を操れるようになり、日本の企業や組織が狙われやすくなっています。国境のないその高度な攻撃から情報資産を守るために、前述したようなガイドライン等を活用し、国際的なレベルまでサイバーセキュリティ対策を引き上げていく必要があるでしょう。

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