三越伊勢丹ホールディングス様

自分で考えることを意識し、実効性を高める

株式会社三越伊勢丹ホールディングス様は2008年より発足し、株式会社三越伊勢丹等の百貨店運営会社を各地に展開しています。発足以来、百貨店業界を牽引し続けている同社ですが、近年百貨店事業のみならず、デジタル関連事業、飲食事業、ブライダル事業等、新規・成長事業にも積極的に参入しています。この度、初動対応シミュレーション訓練支援サービスのご利用に際し、総務部総務・企画担当長辻井隆之様、同マネージャー佐藤朋広様にお話を伺いました。

―貴社が現在力を入れている事業をお教えください。

三越伊勢丹ホールディングス 総務部
総務・企画担当長 辻井 隆之氏

辻井:コアビジネスである百貨店事業に加え、今後環境変化に対応できるように、新規・成長事業を取り入れてゆくことがあげられます。グループ売上・利益の8~9割が百貨店事業である現状から、その他の事業の割合を高めてゆこうというのが近年の方針です。

―これまでの貴社の防災の取り組みについてお聞かせください。

辻井:三越と伊勢丹が経営統合したのは2008年ですが、東日本大震災以降、統合以前から存在した両社のBCP計画の大幅な見直しを行い、その時点から昨年までに文書関連の整理は一旦終了しました。
訓練に関しては、百貨店には、地震訓練、防災訓練はそれぞれ法定のものもありますし、自主的に行っているものもあります。これらはしっかりとできており、継続して取り組んでおります。

―差支えない範囲で結構ですので、東日本大震災の際のご経験をお聞かせください。

辻井:東日本大震災では、東北の店舗で大きな被害が出ました。そして東北だけではなく、首都圏でも計画停電があり、営業に多大な支障が出ました。
ただし、東日本大震災を通して営業の現場での防災に対する意識が高まったということはありました。そして最近、熊本や鳥取での地震発生や、南海トラフ地震等への懸念から、関心は更に高まってきています。

文書の実行性を高めるために、リアルな訓練が必要

―何故今回のプロジェクトを実施しようと思ったのですか。

辻井:これまでの経験をもとに、文書はしっかりと作ってきましたが、実効性がない、リアル感がないということを感じていました。会社として、店として、マネージャーとしてといった、それぞれの立場に対応する文書は出来ていましたが、実際に起きたときには文書を見ている暇などないのではないか、実際に行動できるのか、という懸念がありました。
今地震があって、自分の役割は何で何をすべきか、これは全員が疑問に思っていることだと思います。形は完成した、次は実効性を高めるタイミングであると。

総務部 総務・企画担当マネージャー
佐藤 朋広氏

佐藤:訓練の話からは少し逸れますが、もともと私たちは全社的なリスクマネジメントにも興味がございます。事業を百貨店のみならず他にも拡大していくという方針から、小さい規模の出店数が増えてきていたり、業態が広がってきたりしています。従って、リスクマネジメントの範囲も広がっていますし、その担当者の数が少ないこと、リスク感度に差があることに鑑み、それらをある一定のレベルまで底上げしたいと考えていました。

辻井:しかし一度に全ては出来ません。リスクマネジメントは、まず、自社の中で詰めていくところが多いと感じていたので、今回は防災の実効性を高めることに焦点を当て、取り組みたいと思っていました。

クライアントの視点から考えるコンサル

―弊社を選んで頂いた理由をお聞かせください。

辻井:紙を書くだけのコンサルよりもアクションができるコンサルにお願いしたいと思っていました。これまでの経験を踏まえ、すべてを体系化してリアルな形にしておきたいと考え、コンサル会社数社にお話を伺いました。

その中でもニュートンさんは、クライアントサイドに立って、私たちが困っていることを聞き、ニーズを的確に汲み取ってくださいました。それに対する提案も、「松・竹・梅コース」といった、予算に合わせた支援内容の度合いが具体的に示されていました。さらに決定的な部分は、本当に親身になって考え、組み立てて下さるというところでした。

「自分で考える」ことを大事にする訓練

―弊社の初動対応シミュレーション訓練を利用した感想をお聞かせください。

訓練後アンケート結果より抜粋

辻井:全国の百貨店、グループ企業の総務部長約60人が集まる、総務部長会で実施した初動対応シミュレーションは、リアルな生々しさが伝わってくる訓練でした。従来の本社サイドから情報を共有する座学中心のメニューに代わり、アクションが盛り込まれイメージしやすい訓練でした。とても上手にやっていただいて、ありがたかったですし、総務部長会自体の活性化にもつながりました。

加えて防災訓練も見学していただき、意見を頂きましたが、自分で考えて次のアクションを起こしていく、という部分でニュートンさんの力が活かされたと思っています。BCPや初動対応以外の部分でも、アクションを取り入れるということを活用させて頂こうと思います。

ニュートンさんはとても気軽に相談しやすいし、答えがしっかりと返ってくるという点が素晴らしいですね。そしてサービス自体の質も高いと思います。実際に訓練していて非常に楽しく、かつ成果も目に見えたと思っています。

更なる意識の向上を目指して

―BCPや防災の実効性向上に関して、今後の方針はございますか?

辻井:BCPの実効性に関してもまだレベルアップしていかなければならないと思っています。単発の訓練で終わらせずに、半年くらいを目途に繰り返し実行していきたいです。そして訓練の規模を広げていく必要も感じています。指示をする側の人たちには情報の共有が必要ですし、定期的に新しい人を加えていく必要もあるでしょう。訓練を通して、それらの重要性を実感しました。

また、防災訓練の質を上げ、よりリアルなものにしていきたいと思っています。文書上のみならず、実務的な感覚を持って行動できるようになることが重要です。実際、何か起こった時には自分で考えて行動しなければなりません。訓練はその為にアクティブである必要があります。さらに、訓練の結果に他者からのフィードバックを採り入れ、より実効性を高めていくサイクルを作りたいと思っています。

もともと百貨店の従業員は臨機応変な対応が得意ですが、常に当事者意識を持って行動する、という部分を更に高めたいと思います。

―本日はありがとうございました。

担当の声

 

BCPの本質を体現する老舗百貨店

百貨店という特性上、一般企業とは異なり不特定多数のお客様が日常的に多く訪れます。
いざ災害が起こった場合、従業員の方は自分たちの身を守るだけでなく、お客様の安全も確保する必要があります。それには高い対応力と迅速な判断が必要とされ、現場と対策本部双方に求められます。今回のご支援では、大規模地震発生直後から6時間までを想定し、店舗と対策本部でそれぞれどのような対応が必要となるか、現状の対応力の検証と、新たな気づきにつなげていただきました。なお、同年実施された対策本部訓練も拝見させていただきましたが、三越伊勢丹様では訓練を重要視されていることが強く伝わってまいりました。

弊社ではBCPのコンサルティングにあたり「BCPは活動そのものである」と逐次お伝えしています。計画を作ること、文書を作ることがBCPの目的ではなく、計画を基にPDCAサイクルを回して改善を行い、対応力や実効力を向上させることがBCPの目的であり本質です。三越伊勢丹様の防災に対する姿勢はそれを体現するものであると感じました。

また、三越伊勢丹様はこのたびレジリエンス認証を取得され、現在備えられている計画や活動について、その確実性が証明されたと言えます。今後も、さらに活動を醸成させ、実効力の向上につなげられることと期待されます。

お客様情報

名称 株式会社三越伊勢丹ホールディングス
所在地 東京都新宿区新宿五丁目16番10号
設立 2008年4月1日
従業員数 12,331名
資本金 501億円
事業内容 百貨店事業

(2016年12月現在)

プロジェクトメンバー

お客様

総務部 総務・企画担当長

辻井 隆之 氏

同マネージャー

佐藤 朋広 氏

ニュートン・コンサルティング

エグゼクティブコンサルタント

辻井 伸夫

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