アイ・エス・ガステム様

アイ・エス・ガステム株式会社は、千葉県船橋市を本拠とするLPガス会社です。 「快適な暮らしを創造する365日24時間のライフーパートナー」を基本経営理念に、エネルギー事業、住宅リフォーム事業、環境事業を通じて地域社会の発展に貢献しています。 代表取締役会長の石井誠一様、事務局としてプロジェクトに携わった総務課長の大塚剛様にお話を伺いました。

 

代表取締役会長 石井 誠一 様

―貴社の事業内容を教えてください。

石井: 当社は主としてLPガスの供給をしております。エリアは茨城県・千葉県のほぼ全域と東京都・埼玉県の一部に及んでいます。現在、国内の全プロパンガスのシェアはほぼ半分の約2500万世帯となっており、生活の基盤となるインフラ事業であるといえます。弊社ではこのLPガス供給の他に、リフォーム事業や、関東を中心に3000カ所ほどの飲食店厨房のクリーニングやメンテナンスを手掛ける環境事業を展開しております。

―今回BCPに取り組まれたきっかけを教えてください。


 

石井: 我々の業界では、元売り会社が中東を中心に世界各地からLPガスを輸入し、それをタンクローリー車で我々の工場に運んできてもらっています。その工場が被災したり、途中の道路が通行できなくなると、ガスの仕入ができなくなります。東日本大震災のときは、交通網が混乱してなかなかガスが届かなかったことがありました。また、タンクローリーを動かすのに必要な燃料の調達も困難になりました。インフラを支えている我々は優先的に入手できましたが、それでも大変な状況が続きました。

東日本大震災当日はこちらもかなり揺れ、九十九里海岸では津波などの被害もありましたが、LPガスを運ばないとガス切れを起こしてしまうので、社員たちは2週間ぐらい休まずに働いてくれました。ガスが切れれば、場合によっては命に関わることもありますので、災害時はガスの供給体制を早急に復旧しなければならないという意識が強くありました。

もともと「BCP」という言葉は知っていましたし、LPガス業界でも災害時の対策案を作ってはいましたが、実効性があるところまでは磨き上げてはいませんでした。そこで、形だけでなく実際に使えるものにして、きちんと訓練も行おうということでBCPへの取り組みを開始しました。

BCP策定にあたっては、「小さく生んで、自分たちで徐々に育てて、訓練して、いざというときにきちんと使えるものにしたい」という思いがありました。いろいろ調べた中で、ニュートン・コンサルティングさんがガス業界の支援実績があって現場のこともご存じだったので、実効性を重視するという支援姿勢を信頼してお願いすることにしました。

大塚:当社はEMS、ISO14001の認証を取得しており、普段からPDCAのサイクルを回しているのですが、BCPにおいてもPDCAは重要だろうという認識がありました。EMSにも「緊急事態の対応」というものがありますから、その中にBCPを取り込んでいけたらと思っています。そこで、今回のプロジェクトメンバーもEMSの環境管理委員会を中心に選出しています。

被災の程度を想定するより、被災によって現場にどんな問題が生じるのかを考える

総務課長 大塚 剛 様

―策定したBCPについて教えてください。

大塚: どんな被災想定をしても想定外ということがあると教えていただいたので、現象を想定する作業よりも、それにともなって現場がどうなるのか、起こったことによって当社としては何が最も問題なのかということを考えました。

当社の場合、事業のかなりの部分が人で成り立っています。たとえば人がいなければ配送ができず、ガスの供給が維持できません。水害や地震、インフルエンザの発生によって、社員の半分が来られなくなった場合にどうするのかといった考え方は非常に勉強になりました。そして代替の人員をどこからどのようにして、誰が調達するのかという取り決めがないこと、また文書化されていないことなどを確認しました。

当社には、配送センターと呼ばれている充填基地が3カ所あるのですが、被災想定では、それらがすべて駄目になることはないだろうという前提で考えています。八街配送センターは当社で最も大きく、敷地も広く、取扱量も大きい場所です。地理的にも船橋配送センター、美浦配送センターの中心に位置し、八街配送センターが生き残ればそこで補完ができるだろうと思っています。

補完をするために必要なものとして、最も重要なのは電力です。八街配送センターは国から『災害対応中核充填所』に認定され、補助金を得て非常用発電機を配備しています。また、配送するにも燃料がなくてはできませんから、まだ数台ですが、LPガス車輌を購入しました。ガスは売るほどありますから(笑)、導入後の実績を見て他の車両のLPガス化を検討したいと考えています。

BCPを仕事のやり方に反映させたい

―今後どのような展開を考えていますか?

大塚: 今後は、半年に1回程度の防災訓練を実施していきたいと考えております。防災的な発想から災害対策本部の立ち上げや、人員の招集、商用電源を切って非常用発電機を実際に稼働してみるなどの実地訓練をやっていく予定で、現在マニュアル作りを行っているところです。

また、防災備蓄品の予算化を行う一方、EMSの環境管理委員会でBCPの承認後、今後の訓練をどのように行うかを考えています。これは全拠点に対して実施したいと思っています。 小さく生んだのはいいのですが、まだ栄養がいきわたっていない枝葉があるという印象があります。現場の人間には、なかなかそういったことを勉強する時間や機会がありません。今後どのようにして効率よく枝葉を伸ばしていくべきか、いろいろと悩んでいます。仕事のやり方という観点からBCPを捉え、どうしたらお客様が喜んでもらえるのか、またどうしたら利益を増やせるのか、本当の意味でのマネジメントシステムとしてうまく機能できたら、などと欲ばりなことを考えています。

 

石井: 今回プロジェクトに参画したことによって、幹部社員のBCPに対する意識がさらに高くなったと感じています。普段から訓練していれば、やるべきことがわかっていますから、いざというときに慌てずに動き出すだろうと思っています。

我々インフラに関連するLPガス事業者が、1社でBCPを取り組むことには限界があると考えています。我々の業界は日本全国にありますから、同じ業界で意識の高い会社にBCPに参画してもらい、互いにアライアンスを組んで、たとえば有事の際に、互いに人員を出し合えるようにできればいいのではないでしょうか。

―ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか?

石井: 小さく生んで、じっくり育てていくつもりでチャレンジしたものの、想像していたよりも複雑で細かい作業だと感じました。おそらく自分たちだけで策定を進めていたら非常に時間がかかっていたでしょう。やはりコンサルタントがいないと効率よく進められないと強く感じました。

担当の声

シニアコンサルタント  辻井 伸夫

PDCAサイクルを回し続けるという強い意志が感じられました

ニュートンでは、LPガス、都市ガス合わせて10社近くのBCP策定や訓練のご支援をさせていただいていますが、危険物を扱うガス事業会社様は、いずれも、平時からの防災意識がとても高いという特徴があります。

アイ・エス・ガステム様も、BCP策定に取り組まれる以前から防災訓練や安否確認訓練を定期的に実施されたり、お客様にガス機器を安全に使用してもらうための講習を実施されたり、大変意識の高い取り組みをしていらっしゃいます。上のインタビューにもあるように、自ら手を挙げて災害対応中核充填所に認定されたことを受け、非常用発電機や衛星電話、LPガス自動車等を導入され、災害対応に向けた対策を着々と実行されています。

今回のBCP策定によって、災害発生後に事業を継続するための対策もまとめることができ、危機に対する対応をさらに強化されていくことと思います。

また、ISO14001の活動を長年続けられてきた経験から、PDCAサイクルを回し続けることがより良いマネジメントシステムを構築する核心であるということをしっかりご理解されています。BCPにおいても訓練と改善が重要であることをご理解されていますから、実地訓練等を確実に実施されていくことでしょう。

着実なPDCAによって全社にBCPを根づかせ、ますます強い企業になられることを期待しています。

お客様情報

名称 アイ・エス・ガステム株式会社
本社所在地 千葉県船橋市藤原3-16-17
設立 1950年7月(創業:1884年)
資本金 4億8,000万円
従業員数 359名(2013年2月期)
代表者 代表取締役会長兼執行役員社長 石井 誠一氏
事業内容 LPガスの個別・集中供給、ガス機器・住宅設備機器の販売・施工など

(2013年12月末日現在)

プロジェクトメンバー

お客様

代表取締役会長

石井 誠一 氏

エネルギー事業部 事業部長

當麻 均 氏

管理部 部長

塚本 信太郎 氏

総務部 部長

川上 裕志 氏

内部監査 マネジャー

高島 敏昭 氏

ロジスティクス部 部長

原野 国彦 氏

保安管理課 課長

村木 尚道 氏

企画課 課長

岩田 康幸 氏

カスタマーサービス課 課長

下中村 博士 氏

システム課 課長

倉田 一範 氏

総務課 課長

大塚 剛 氏

八街配送センター センター長

小河原 喜美雄 氏

ニュートン・コンサルティング

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

シニアコンサルタント

辻井 伸夫

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