セキスイハイム東北グループ様

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セキスイハイム東北グループ様は、積水化学グループの住宅カンパニーの一角として、1973年より東北6県を対象にユニット住宅の生産・販売からアフターメンテナンス、リフォーム、不動産事業といった住関連事業を展開され、これまでに5万棟近くの実績をもつ全国でも最大規模のスケールを誇る住宅販売会社です。グループは、販売・施工を行うセキスイハイム東北を筆頭に、リフォームを行うセキスイファミエス東北、不動産仲介・販売を行う東北セキスイハイム不動産、住宅ユニットを生産する東北セキスイハイム工業の4社からなり、生産と工場を含む生販一体の組織で建築からリフォームまで循環した事業を展開しています。東日本大震災発災時当時、支社長として現場を陣頭指揮された、セキスイハイム東北株式会社の代表取締役社長 神吉利幸氏にお話を伺いました。

 

被災時のパフォーマンスを「再現」するために

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代表取締役社長 神吉 利幸 様

―今回の取組の意図をお聞かせください。

神吉社長:そこで、あの未曾有の災害を経験した者として、BCPに取り組み、行動指針やルール、評価方法などを決めておき、拠り所としておきたいと思いました。リアリティのある、実効性の高いBCPを構築したいと考えて、被災者としての体験をできるかぎり盛り込みました。神吉社長: 今振り返ってみると、当時私たちは、できるかぎりのパフォーマンスをあげられたと思っています。様々な困難がありましたが、これまでのマニュアルは役に立たず、現場力、そして勘と経験と度胸で乗りきりました。しかし、もしまた別な災害が思いもよらぬタイミングで降りかかって来たら、もう一度同じ行動をとれるとはかぎりません。そういう意味では「再現性」があるとは言えません。すべて、そのとき最善と思われた行動をとった結果なので、違う状況にあっては、同じやり方が通用するかどうかもわからないのです。

現場の情報を集め、本社での事業継続へつなげる

―3.11でのどんな対応を「再現」したいと考えられたのですか?

神吉社長: 震災前の体制では、危機対応マニュアルによって基本的な行動基準が定められていました。しかし実際の被災状況は、そういったものがまったく役に立たない未曾有のレベルのものでした。まさに想像を超えるレベルで、社員がどこにいるかわからない、連絡もとれない状況です。災害伝言ダイヤルなども機能せず、電話も被災地内では通じませんでした。

そういった中で、まず注力したのは、とにかく現場の情報を集めるということでした。展示場に模造紙を張り出し、お客様でも業者さんでも、訪れた関係者に、何でもいいから書いてもらう。そうしてなるべく多くの情報を集めた上で、その情報を支店や営業所レベルで朝昼晩と時間を決めて集約し、私のところで整理し、共有化しました。その上で今すぐ行うべきこと、緊急の課題は何かという観点で優先順位をつけていったのです。このように支社長室の壁をぐるりと模造紙で囲い、入ってきた情報を書き写し、分類して優先順位をつけていきました。こういった情報収集は、最初の1か月ほどの期間で集中的に行いました。それから、お客様に対してどういう話し方をするかという指示書を出し、全員がお客様と電話対応をしました。切迫した状況にあるお客様も、こちらが優先順位をつけて対応していることを理解されると、落ち着いていただけました

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優先順位をつけ、グループの総合力で対応する

―優先順位の判断はどのようになさったのですか?

神吉社長: まずは生命の安全、緊急性の高いものが最優先です。家中のサッシが割れてしまったお客様のところへシートを当てに行ったり、地盤そのものが傾いて家が危険な状態のお客様に他の場所に避難していただいたり、ひとつひとつの情報に優先順位をつけ、対応していきました。

その結果、情報をグルーピングし、整理することで、お客様に起こった重大かつ緊急な被害が3つ浮かび上がりました。「エコキュートの転倒」「浄化槽の隆起」「開口の割れ」です。そこでそれぞれの対応チームをすぐに立ち上げました。中でもエコキュートは、部品工場も被災していて補充ができないので、部品が要るのか立て直すだけでいいのかなど細かく対応しました。こうしたチームによる対応によって、お客様の被害も比較的早く終息させることができました。もともと生販一体で展開しているグループですから、工場も含めていろいろなリソースを活用できたことも早期対応の鍵だったと思います。

こうして、社員の安否も早い段階で全員の無事を確認でき、早めに営業を再開できました。もちろん全体の被害は甚大でしたが、都度、柔軟に対応していきました。2万軒近くあったお客様の被害も1年半ほどで完了することができましたし、被災直後にはストップした現場工事も、国から仮設住宅工事の要請を受けて1161戸を8月までに完成させ、5月からはそれと並行してやりかけの工事を再開し、一方では新たな受注をいただくなど、本当に様々なことを猛烈なスピードで進めていきました。

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ポイントは「逃げないこと」

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▲被災下での復旧活動を総括した冊子。 また神吉社長の膨大な業務日誌も貴重な記録として残されている。

―混乱の中、どんな思いが支えになっていたのでしょうか。

る。

神吉社長: 危機的状況下にあっても社員は意外と冷静でしたが、自分たち自身も被災していますから、だんだん追い込まれてしまい、精神状態を一定に保つのは大変だったと思います。そのため、できるだけ落ち着いた雰囲気を作ろうとしました。誰かに負荷がかかりすぎていないかとか、細かい情報もしっかり集めて、私も現場のミーティングに参加し、積極的にコミュニケーションに注力した時期もありました。ポイントは「逃げない」ことだと思います。逃げずに、早くたくさんやる。そうしていくうちに、混乱していた業務が日ごとに安定していきました。当初は不安でいっぱいでしたが、がんばっているとだんだん終息していく。だからできるだけ明るく前向きに「逃げない」ことが大事です。

混乱した状況では、組織はとかく負のスパイラルに陥ってしまいます。意思決定をしなかったり、判断を誤ったりすると、それによってさらに問題が拡大して全社的な事業や組織に影響を及ぼしてしまう状況です。お客様からの電話が殺到したときに、判断を避けたり、対応が遅かったりと逃げてしまっていたら、きっと負のスパイラルに陥ってしまったことでしょう。しっかりと正しい判断をもって逃げずに対応することが大事だと思います

グループ各社が危機感を共有し、目標達成できた

―ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか?

神吉社長: おかげさまで、BCP構築から演習、年間計画までを、事務局の工数をかけず、4回のワークショップによって効率的に策定・実施できました。BCPの運用・改善をしていく体制ができたと思います。

また、ワークショップでは、同時に被災したグループ4社のメンバーが集まりましたが、コンサルタントの的確なファシリテーションによって、それぞれが体験した当時の危機感を共有し、自由な意見を引き出すことができました。各社の利益も守りながらグループ全体の目標を達成し、部分最適と全体最適を実現することができました。

担当の声

体験に基づく知恵を引き出し、共有し、調整すべきことを共通認識頂きました

お客様のご要件は、3.11に実施した対応をより効率的に効果的に再現する計画を策定すること。

プロジェクトへの参加者は、各々異なる被災体験を持っていて、その場その場でのベストを尽くし、復旧・継続作業を行っていらっしゃいました。 個別の成功体験をどう最大公約数として整理し、全体最適と個別最適を実現するか、大いに悩みました。

お打合せを重ねる中で、心がけたことは、「答えは必ずお客様の中にある」と信じ、プロジェクトメンバーの体験に基づく知恵を引き出すこと。 そして、その知恵をメンバー間で共有し、会社間、事業間で調整すべきことを共通認識頂くことでした。

被災者でもあるプロジェクトメンバーからは、事業を継続するための対策そして事前に用意すべき事項が淀みなく湧き出てくるため、体験に勝るものはないと改めて感じました。

プロジェクトの開始から最後まで、3.11に被災したお客様に対してご支援をするのは身が引き締まる思いでした。このプロジェクトを通して、我々のアプローチの実効性についても検証することができました。

今回のプロジェクトでは、ご支援する立場ではありましたが、プロジェクトメンバーの皆様からたくさんの学びを頂きました。 コンサルタントとして成長させて頂き、感謝の思いでいっぱいです。

お客様情報

名称 セキスイハイム東北グループ
セキスイハイム東北グループ株式会社、 セキスイハファミエス株式会社、東北セキスイハイム不動産株式会社、東北セキスイハイム工業株式会社
本社所在地 セキスイハイム東北株式会社・セキスイハファミエス株式会社・東北セキスイハイム不動産株式会社:仙台市青葉区本町3-4-18
東北セキスイハイム工業株式会社:宮城県亘理郡亘理町逢隈田沢字壇の越55
積水ハイム東北 設立 1983(昭和58)年9月1日
           資本金 300百万円
           従業員数 519名(グループ全体1,021名)
           代表者 代表取締役 神吉 利幸氏

(2013年5月末日現在)

プロジェクトメンバー

お客様

トップマネジメント

代表取締役社長

神吉利幸

事務局 部長

桂田秋人

常務

平山一夫

経営管理室 室長

吉野春生

セキスイハイム東北

企画管理部 部長

加藤善廣

技術統括室 室長

永野政博

技術部 部長代理

渡辺光浩

設計施工部 部長

青柳和弘

セキスイファミエス

専務

小山正博

営業企画部 部長

後藤武彦

技術部 部長

小島庄司

セキスイハイム不動産

統括部長

大久保周一

セキスイハイム工業

専務

高橋博

業務部 部長

長澤正則

ニュートン・コンサルティング

代表取締役社長

副島 一也

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

シニアコンサルタント

久野 陽一郎

コンサルタント

林 和志郎