ウイン・インターナショナル様

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株式会社ウイン・インターナショナルは、医療機器販売事業と医療施設支援事業の2つの事業を全国で展開、2つの事業で医療施設を総合的に支援していらっしゃる企業です。今回は医療機器販売事業を対象にBCPを策定されました。その経緯等について、代表取締役社長の秋沢英海氏、取締役執行役員営業本部長の三田上浩美氏、取締役執行役員総務部長の村田裕可氏にお話をお伺いしました。

 

-貴社の事業内容を教えてください。

三田上氏: 医療機器販売事業と医療施設支援事業というのが当社の事業です。医療機器販売事業では基幹病院を中心に、約500施設に医療機器等を収めております。営業拠点は、関東を中心に北は札幌から南は福岡まで日本全国に16拠点あります。

医療機器の専門商社は、主に注射器・包帯等から大型医療機器までを総合的に取扱う企業と専門分野に特化した製品を取り扱う企業に分かれるのですが、当社は、循環器系(主に心臓領域)の外科・内科の検査治療の医療機器を専門に扱っており、現在は全製品の約7割を占めています。特定の分野に特化することは、営業上の強みにもなりますし、循環器系の施設が首都圏に集中しているため、効率的であるというメリットもあります。

一番のきっかけはやはり東日本大震災と差別化

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代表取締役社長 秋沢英海氏

-今回、BCPに取り組まれた理由を教えてください。


 

秋沢氏:当社は株式公開をしているので、株主に対する責任を果たすためということもありますが、一番のきっかけはやはり東日本大震災での経験です。

当社は福島に営業所、仙台に提携会社があるのですが、全く連絡が取れず、取れてからの要請にも手さぐり状態で対応しました。例えば、仙台から食料が足りないとの要請を受けても関東圏では食料が調達できず、高松の営業所から急きょ200人分の食料を送りました。この経験を振り返ったときに、何か系統だったものをつくっておかなければならないと思いました。

もともと競争は激しいのですが、近年は病院の運営が難しくなる中で、競合間の競争よりもむしろ病院に対して私たちが協力できることは何か、という提案の難しさが増していると感じています。こういった観点からも今後は、BCPなどが肝になってくると思っています。

例えば、「BCPって何ですか?」という企業と、「(BCPを策定済みなので)何があっても我々は対応できます」という会社では当然お客様からの評価は分かれます。営業的にもBCPは今後、他社との差別化のひとつとなると考えています。

どこまで想定するかという悩みをサポートしてほしかった

-何故ニュートン・コンサルティングを選ばれたのですか?

村田氏:実績、取組内容等を他社と比較して決めました。

東日本大震災後、BCP策定が重要だということで社内での内製を模索していたのですが、全体を系統立てて文書化するところまで至りませんでした。中でも一番悩んでいたのが、状況の想定についてです。

検討の過程でどんどん広がってしまう想定をどうやって切り分けていったらいいのかがわからず、この点について特にサポートして頂きたいと考えていました。その点においてニュートンさんの提案は具体的でした。また他社と違い、文書作成で終わらず演習の実施が含まれていたことも大きなポイントでした。

有事の物流確保が課題

-プロジェクトの内容を教えてください。

村田氏:管理部門、営業各部署、主要な営業所所長がそれぞれ参加し、5回のStepでご支援頂きながら『事業継続計画バージョン1』を策定しました。策定を通じて実際にやるべきことの全体像が系統立てて理解できました。現在はこのバージョン1をたたき台として、まずは演習で明らかになった課題への対応と内容の修正を、スケジュールを組んでひとつひとつ進めているところです。

懸案だった想定については、まずは首都圏直下型地震が発生したらどういう被害が出るかという検討を進め、その結果の中から重要な経営資源に対して、特に厳しい被害状況を選び、対策を検討しました。想定ができたことで様々なことがより明確になったと思います。

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取締役執行役員 営業本部長 三田上浩美氏

三田上氏:医療に携わる商社である当社にとって、モノを供給することは非常に重要です。特に有事にそれを確実に行うためには、物流の確保が大きな課題です。当社はメーカーではありませんのでモノは持っていません。ついては各メーカーが持っている在庫、物流センターにある一時在庫、そして各施設にある在庫で何日くらい対応可能なのかを分析し、それを踏まえた上で対応を決定していきました。

また、これには当然メーカーさんとのコラボが必要になってきます。これまでも漠然とはわかっていましたが、そのために何をしなければならないかということが今回のプロジェクトによってより明確になりました。

秋沢氏:今回、事業継続の目標を設定するにあたり、病院側の状況を把握するためにヒアリングを行ったのですが、病院側からは特に要求はありませんでした。つまり製品を供給することは当たり前の責任としてとらえられているということです。

医療現場ではきちんとできて当然、できなければ非難されてしまうという厳しさがありますが、今回BCPを策定したことによって、「われわれはこういうことを想定して、有事にはちゃんと製品を供給できるようにしています」ということができます。平時はこれを営業的な側面で活用していけると考えています。

『実際に動いてみないとわからない』ということがわかった

-気づきやご苦労された点はありますか。

秋沢氏:策定の過程で、想定はあまり広げ過ぎても意味がないということがわかりました。例えば広域災害によって皆が大きな被害を受けている中で当社だけが直ちに納品できますといってもあまり意味がないというように、状況に応じた対策を検討していくというようなさじ加減が体感的にわかりました。

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演習にご参加の皆様

村田氏:また演習を行ったことで、自分達が的確に動けないことを自覚しました。頭の中ではわかっているのですが、決められた役割についていざとなると具体的に何をどうしたらいいのかわかりませんでした。 有事には想定外のことが起こるものですが、最終的にはそれに対してどう臨機応変に対応できるかということだと思います。

秋沢氏:BCPの内容を自分達のこととして体感できたことが大きかったと思います。演習をやってみて、参加した者全員が自分達は何もわかっていなかった、今のままでは実際には何もできないのだと感じたことと思います。状況を具体的にイメージできていなかったということを実感できたことが、一番のプラスだったと思います。

私達の言葉を引き出すように導く

-ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

村田氏:プロジェクトを通じて、自分達で考え、自分達で結論が出せるよう導いて頂きました。 事例を示しながらも、決して意見は言わずに「御社はどうしますか」という問いかけをして私達の言葉を引き出すようにしてくださいました。

また出された課題について検討していく中では、行き詰った際にはうまくファシリテートして頂きました。疑問を投げかけて頂いたり、こういうこともありますよというヒントをくださったり、常に議論が進むよう的確な対応をして頂きました。

生まれたばかりのBCPを育てていく

-今後のご予定を教えてください。

村田氏:当社のBCPはまだ生まれたばかりですから、これを育てていかなければならないと思っています。会社の状況は変わりますし、人も入れ替わります。毎年見直しをしていかなければならないと思っています。

今期中には改訂版バージョン1をもとに各営業所のBCPをアレンジし、策定していく予定です。また、現時点では想定を限定的にしてあるので、今後はもっと広げて、ほかの想定も組み込んでいこうと考えています。

秋沢氏:経営者としては、どこまで対応するかということが今後の課題です。 どこまでやるか、どこであきらめるかというポイントを考えておくことが必要だと思います。『ここまででとどめる』というポイントをきちっと決めておかないと費用も時間も莫大なものになってしまう。そのポイントがどこなのかはまだわかりませんが、これから決めていかなければならないと思います。

東日本大震災時もそうでしたが、開示されている情報では正確に判断できないこともたくさんあります。その場合、基本的には限られた情報のなかで現場の責任者は判断していかなければなりません。

「判断」で動ける状態ならいいですが、「決断」で動かなければならなくなる場面がでてきます。その際の意思統一をあらかじめしっかりしておかなければならない、一番難しいですが、その決断が大事であり、その決断に必要な基準をまずは決めなければならないと感じています。

東日本大震災での教訓を活かす

秋沢氏:さきほど「医療現場ではきちんとできて当然、できなければ非難されてしまうという厳しさがある」とお話しましたが、東日本大震災では東北に医療材料をすぐには届けられませんでした。被災地の医療機関から届く物資調達の緊急要請に対し、当社が所属している日本医療機器販売協会では急きょ拠点を作り、配送会社や会員企業と協力し、3日目になんとか製品を届けることができました。

このときには何とか対応できましたが、今後のことも考え、協会では独自にマニュアルを作成し、10月に公表しました。またそれに準拠する形で会員企業にも対応を要請してきています。会員企業である我々も必然的に対応していかなければなりませんので、今後さらなる取り組みとしてBCPとともに検討を進めていきいきたいと思います。

-今日は貴重なお話をありがとうございました。

担当の声

医療の現場を支えるBCPを1ヵ月半で策定

実効性のあるBCPには以下の要素が必要です。

・経営者のコミットメント
・経営層及び営業現場メンバーの打ち合せ参加
・継続的に改善する体制の構築
・現実的な対策の検討

有事の際に動くBCPを策定するには、その場で意思決定ができる経営者と現実的な行動手順が考えられる現場の参加が必須です。今回のプロジェクトを開始するにあたり、社長様、事務局の方々にこうお伝えしたところ、全役員、部門長、首都圏の主要支店長、IT部門長が参加するプロジェクト体制を構築頂きました。それは、有事であっても「医療現場を支える」という社長様の強いコミットメントの現れでありました。

プロジェクトの期間は、1ヶ月半という短いものでしたが、BCPとは何ぞやから始まり、事業の分析、対策の検討、演習・訓練、年間計画の策定までを実施し、全社へ展開していく礎を築くことができました。

また、今回のご支援では、通常行っている現場の営業ノウハウを有事の対策として適用できるところに、お客様の強さを実感いたしました。BCPの為に新たなルールを作り出すのではなく、通常の業務プロセスを効果的に使うことで有事に対応するという無理・無駄のないBCPを策定できました。

プロジェクトを通して、医療に携わるお客様の使命感を目の当たりにし、身が引き締まる思いでした。BCP策定をご支援させて頂きましたが、お客様から経営とは何か、会社の意義とは何かを学ばせて頂く、貴重な1ヶ月半でございました。

お客様情報

商号 株式会社ウイン・インターナショナル
本社所在地 東京都台東区台東四丁目24番8号
設立 1983年6月
資本金 330百万円
従業員数 275名
代表者 代表取締役社長  秋沢 英海
事業内容 医療機器の販売及び医療施設へのプランニング(設計・施工、コンサルティング業務等)

(2012年9月現在)

プロジェクトメンバー

お客様

代表取締役社長

秋沢 英海 氏

取締役執行役員 営業本部長

三田上 浩美 氏

取締役執行役員 総務部長

村田 裕可 氏

プロジェクト事務局 総務部主任

石井 健 氏

ニュートン・コンサルティング

シニアコンサルタント

久野 陽一郎

コンサルタント

高橋 篤史