事業継続(BCP/BCMS)
株式会社 ロイヤリティ マーケティング

ロイヤリティ マーケティング 様

トップを巻き込みBCMを再構築、実効性が高く自社に最適なBCPに

改善 サービス 100人~1,000人
ロイヤリティ マーケティング 様

プロジェクトメンバー

お客様 経営企画室、総務・情報システム部等所属の皆様 4名
ニュートン・コンサルティング エグゼクティブコンサルタント 坂口 貴紀

お客様の会社概要

ロイヤリティ マーケティング様は、さまざまなシーンで幅広く使える便利さでお馴染みの「Ponta(ポンタ)」ポイントの運営会社です。ポイント事業だけでなく、1.1億人超えという会員数を生かし、膨大なデータをもとにしたマーケティング事業も展開しています。創業から15年余り、さらにPonta経済圏を拡大させていくとともに、ポイントで加入できる保険やSDGsアクションでポイントがもらえるアプリなど、新たな価値の創出でも話題を呼んでいます。

この度、めまぐるしく変化する社会環境により多様化するリスクに備えるために既存のBCP(事業継続計画)を見直し、オールハザード型へとBCM(事業継続マネジメントシステム)を再構築された経緯と成果について、ロイヤリティ マーケティング(以下、LM)様のプロジェクトメンバーの方々にお話を伺いました。

―貴社の事業内容をお聞かせください。

株式会社ロイヤリティ マーケティング様

LM:「当社が運営する共通ポイントサービスPontaは、1億1,740万人の会員の方々にご利用いただいており、提携先は207ブランド、30万店舗に上ります(※1)。コンビニや飲食店、ホテル、ガソリンスタンド、通信サービスなど多種多様な業界の提携先をもつことで、利便性の高いポイントとして会員数を伸ばしてきました。さらにポイント事業で取得した大量のデータを活用し、マーケティング事業を展開しています。顧客の要望に応じてプロモーションやリサーチ、商品や市場の分析などのサービスを提供しています。

※1 会員数は2024年4月末日、ブランド数と店舗数は2024年5月1日時点

インシデント発生が端緒、最短距離で実効力を高めたBCM/BCPへ

―これまでの防災対策、BCPの取り組みについてお聞かせください。

LM:ポイントを含む会員データこそが当社の資産になりますので、お預かりしている個人情報の漏洩に関してのセキュリティ対策や危機対応訓練については創業以来実施してきました。また、2011年頃には株主企業の自然災害等を対象としたBCPを準用するようなかたちでの文書整備を行いました。

ただ、地球温暖化やグローバル化、IT技術の進展などにより、組織が備えるべきリスクは多様かつ大規模になる傾向にあり、従来のBCPだけでは不十分であるかもしれないという課題感はもっていました。

―プロジェクトを立ち上げたきっかけ、理由は何ですか。

LM:きっかけは2021年5月に発生した大規模なシステム障害でした。翌日には復旧したものの、一時ポイントサービスのご提供ができない事態になりました。

その際にリスクが顕在化したときの初動対応の大切さを痛感しました。ITレジリエンスを強化するのはもちろんですが、既存のBCMを再構築し、あらゆる危機事象に対応できるオールハザード型へとブラッシュアップし、初動対応の在り方や指示系統を明確にしておこうということになったのです。

―ニュートン・コンサルティングをご利用いただいたのは何故ですか。

LM:BCPの抜本的な見直しをするときに、私たち担当者ではプロジェクトの規模などの判断がつかなかった、というのがあります。専門書を読むと、サプライチェーンまでを考慮した大掛かりなものが多く、当社のような事業特性や企業規模の場合、どの程度のBCPであれば実効性があるのか、迷いました。

インシデント発生が端緒となっているプロジェクトですから最短距離で当社にフィットしたBCPを整備したかったこともあり、専門家の知見や他社の成功事例などを教えていただくために、お付き合いのあった企業から紹介してもらってニュートン社に相談しました。他のコンサルティング会社とも比較検討はしましたが、豊富な実績があるというところがニュートン社を選んだいちばんの理由です。

有事の判断基準を明確化、さらにオールハザード型BCPに

―プロジェクトの概要を教えてください。

LM:先ほど申し上げた通り、自然災害を対象としたBCM/BCPからオールハザードへの再構築、中長期的に実効性のある形でBCMの運用を回していくことを目的としたプロジェクトです。大きく3つの段階に分けて推進してきました。

2022年1月から約1年3ヶ月かけて、現在及びこれからの事業環境に則した方針・体制・対策等の再検討から検証訓練までを実施し、再構築を行いました。

はじめにトップインタビューにより社長の想いや考えを確認し、並行してニュートン社に現状の文書や活動実態を評価してもらいました。これにより、我々が目指すべきBCPの姿と現状が可視化され、問題・課題が明確になりました。これらの課題対応を盛り込む形で、経営層ワークショップをニュートン社主導のもと企画実施しました。3回のワークショップにて、経営層への社長の考えの周知、危機対応シミュレーションによる経営層の危機意識の共有化、当社の事業環境を踏まえたリスク分析と対象リスクの決定、事業停止時の許容ラインと目指すべきサービス再開・継続目標の検討、BCP上取り組むべき活動の力点などを侃々諤々議論し、有事における考え方や方針を経営層ですり合わせました。

すり合わせた方針に基づいて、具体的な初動対応の体制や判断基準、行動フローなどをオールハザードで想定し、あらゆる事態への適用可能性を意識し文書化。文書化の過程では、安否確認対象の再整理やリモートを前提とした対策本部運営など各論についてまで関係当事者と議論を重ね、実効性を追求しました。

その後、活動を通して改訂されたマニュアルの周知と検証を目的とし、経営層以下リーダークラス全員を巻き込んだ対策本部訓練を実施しました。有事の状況を想定し自ら議論に関わった方針やルールを検証することで当事者意識をもつ機会となり、BCPを平時から検討することの意義が伝わったと思います。

再構築が完了した後、2023年4月から約7ヶ月間は訓練で抽出された課題対応を自社で推進し、2023年11月から約3ヶ月間にかけては再びニュートン社の支援のもと、経営層向けに意思決定に特化した訓練を企画実施しました。

―今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか。

LM:今回のプロジェクトの前は、計画はあるものの、平時から当事者意識のある社員は多くありませんでした。今回のプロジェクトでは基本方針の策定にあたり社長のトップインタビューから入り、事業部門長も参加したので、関係者全員が自分たちでつくったBCPだという意識を形成できました。

経営層を巻き込んでのミーティングは議論が紛糾することもありましたが、危機対策について話し合う貴重な機会が得られたと思います。既存BCPの課題もしっかりと洗い出せましたし、当事者意識を醸成することもできました。プロジェクト終了後に小規模な地震が起きたことがあったのですが、「こういうときはどうするのか?」と、緊急時における自社の基準を確認し合うなどの変化が見られています。

また、トップインタビューで当社の社長が「ステークホルダーへの説明責任を果たす」を第一に掲げたことで、危機対応時の明確な判断基準ができました。訓練などで対応に迷う場面も見られたのですが、何を優先するかに立ち返ることができることで、責任者のそれぞれが判断できるようになっています。

コロナ禍を経た多様な働き方に即したBCMに再構築

―苦労されたポイントや新たな気づきなどは?

LM:ワークショップではあまりに壊滅的な被害を想定してしまい、発展的な議論ができないということがありました。そのときはニュートン社のご担当者様に「前提を変えてみましょう」と仕切り直してもらうことで、議論を前に進めることができました。自分たちで考えていたら行き詰まってしまうところ、プロのお力添えはさすがだな、と感じました。

新たな気づきとしては、東日本大震災直後に策定したBCPとは、隔世の感があることでしょうか。従前のBCPはリモートワークの普及前に作成したものですから、オフィスに出社させて要員を確保して復旧にあたることが前提になっていました。そのために平時からオフィス近くに住まわせることまで検討していたのですが、今はオンラインで作業もミーティングもできてしまいますよね。危機対策本部が使うツールも紙を想定していましたし、今回の改訂でコロナ禍を経た現在の働き方に即したBCMに再構築できたのも良かったと思っています。

―ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

LM:詳細まで説明せずとも短時間に当社の事業特性や意図を理解し、危機対応時に優先すべき点も的確に示してくださったのは、支援実績の豊富さなのだろうと感じました。訓練のシナリオには巷で話題の最新事例も多く盛り込んでいただき、専門的な知見の深さとアップデートの早さに驚きました。ときには寄り添い、ときには第三者視点でアドバイスをいただきましたし、深刻になりがちなテーマのときもニュートン社のコンサルタントは物腰が柔らかいので、潤滑油的な役割を演じてくださったことも感謝しています。

―今後の取り組みについて教えてください。

LM:訓練の実施後、参加者にアンケートを取っていますが、新たなBCPのおかげで自分には何が求められているか、までは理解してもらったと感じています。次はいかにBCPどおりに動けるか、ということになります。より実効性のあるBCPにしていくために、私たち事務局もしっかりと自らで運用していき、社員一人一人の有事対応力を高めていきたいと思います。

―本日は誠にありがとうございました。

お客様情報 (2024年5月現在)

名称 株式会社 ロイヤリティ マーケティング
所在地 東京都渋谷区恵比寿1-18-14 恵比寿ファーストスクエア7階
設立 2008年12月
事業内容 ポイント事業、マーケティング事業
利用サービス BCM/BCP改善・再構築支援サービス

担当の声

エグゼクティブコンサルタント 坂口 貴紀

エグゼクティブコンサルタント

坂口 貴紀

妥協なき議論の場をつくり、"魂"の入ったBCP活動を推進

BCM/BCP再構築にあたり多くの組織が直面するのは「これからの我が社のBCPはどうあるべきか」という課題です。限られたリソースの中で、BCPをどこまでやるか、何に注力するかなどは経営者が決めなければなりません。決定に際しては全経営陣が納得いくまで議論を重ね全社的な活動にすることが大切です。

本プロジェクトの最大の功績は経営陣ワークショップにてLM様におけるBCPデザインのあるべき姿を議論し尽くし、結論を見出したことです。ともすれば時間の制約の中で予定調和のような議論になりかねないのがBCPですが、各回のワークショップでは経営上厳しい想定状況に対しリアリティを持って妥協なく討議をいただいたと感じます。

妥協なき議論の場をつくることは容易ではありません。事業に対して強い想いを持つ経営層の方々が一堂に会し、限られた時間で十分に議論を発散させ収束に導くためにはいくつものハードルがあります。

その上、BCPは平時ではなく有事の議論のため、平時の意思決定以上に複合的な判断軸が必要です。当然、LM様のワークショップにおいても厳しい議論が続きました。私の役目は全員の知見を結集した結論に導くため、前向きで建設的な議論を促すことでした。妥協なき議論を通じて結論を導いた過程によって、BCPに"魂"が入りました。

LM様では、計画をリデザインしたのち、継続的に訓練を実施されています。訓練には継続的に経営陣が参加いただいています。今後とも経営陣の皆様の強い想いに基づいた意味のある、役に立つBCP活動推進のため少しでもお役に立てれば幸いです。

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