CSIRTとは?役割・必要性・整備のポイントをわかりやすく解説
| 執筆者: | ニュートン・コンサルティング 編集部 |
| 改訂者: | ニュートン・コンサルティング 編集部 |
CSIRTとは、「Computer Security Incident Response Team」の略で、組織におけるサイバーセキュリティインシデントへの対応を担うチームです。インシデント発生時の被害拡大防止や復旧だけでなく、平時の情報収集、予防対策、教育、訓練などにも取り組みます。本記事では、CSIRTの役割や必要性、主な活動内容、体制整備のポイントを解説します。
CSIRTとは
CSIRTとは、サーバやパソコン、ネットワーク、クラウドサービスなどに関係するサイバーセキュリティインシデントに備え、発生時の対応や被害拡大の防止、復旧、再発防止などを担う組織または機能の総称です。
専任の部署として設置する場合だけでなく、情報システム部門やセキュリティ部門などの担当者が兼任するチームとして構成される場合もあります。
この言葉は決して新しいものではなく、古くはインターネットが広がり始めた1980年代後半ごろから使われてきました。インターネットの登場によって、多くのコンピュータ同士が繋がるようになり、コンピュータウイルスやハッキングなど、物理的な距離の壁をいとも簡単に超える攻撃が生み出されたことがCSIRT誕生の背景にあります。
ISO27001のインシデント対応体制との違い
では、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001が示すインシデント対応体制とは何が違うのでしょうか。
インシデント発生後の対応という観点では、同じ位置付けの組織と言えます。異なるのは、ISMSのインシデント対応が、情報セキュリティ、すなわち、ITシステムのみならず、人的、物理的な要因で発生する、重要な情報に関わるインシデント全てを対象としているのに対し、CSIRTはあくまでもITシステムに関わるインシデントのみを対象としている点です。
組織が意識すべきターゲットを絞ることで、高度化・複雑化するサイバー攻撃などに対して、より迅速な対応を期待することができます。さらに、対応が迅速化できれば、まだ攻撃を受けていない他組織への警告発信や二次攻撃への備えを可能にし、被害拡大の防止にも貢献することができるのです。
CSIRTの必要性
近年、CSIRTが改めて注目され始めています。なぜでしょうか。
クラウドサービスやリモートアクセス、IoT機器、外部委託先など、企業のIT環境と接続先は広がっています。それに伴い、攻撃対象となる領域も拡大し、インシデントが発生した際の影響は、自社のシステムだけでなく、取引先や顧客、サプライチェーン全体へ及ぶ可能性があります。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向け脅威として「ランサム攻撃による被害」が1位、「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が2位となりました。また、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されています。こうした脅威に備えるため、インシデントを早期に把握し、関係部門や外部機関と連携して対応するCSIRTの重要性がますます高まっているのです。
CSIRTの主な活動内容
CSIRTは、インシデント発生後の対応だけを担う組織ではありません。インシデントの発生に備え、平時から脅威・脆弱性情報の収集、対応手順の整備、教育・訓練、関係部門との連携などを行うことが重要です。主な活動には、次のようなものがあります。
- 脆弱性や社内外のセキュリティインシデント、セキュリティ・技術動向に関する情報収集
- インシデントの予防対策
- セキュリティイベントの監視(モニタリング)
- インシデント発生した際の被害拡大防止、原因調査および復旧対応
- セキュリティ教育・啓蒙
- セキュリティ製品の製品評価
- 対応後の振り返りと再発防止策の検討
- 関係部門や外部機関との情報共有・連携
CSIRT整備に向けたポイント
組織にとって守りたいシステムは何か?(例えば、社内インフラなのか、顧客に提供しているサービスなのか)を明確にし、どのような体制が良いのか?(例えば、専任とするのか、情報システム部門を中心とした仮想組織にするのか)、どの組織と連携するのか(例えば、同業他社のCSIRT、日本シーサート協議会※などの団体)などを検討し、組織に合わせた運用をしていくことが望まれます。
CSIRTを構築する際のガイドには、例として日本シーサート協議会が発行している「CSIRT スタータキット」と呼ばれるものがあります。他には経済産業省とIPAの「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」や関連する実践事例などを参照し、自組織に適した対応範囲、権限、連携体制、手順を定めることが重要です。CSIRTの体制や運用方法は、組織の事業内容、規模、リスクなどによって異なります。整備にあたっては、こうした点に留意することが重要です。
※2007年3月に、CSIRT 活動の助けとなる活動の推進や、緊密な連携体制の構築などを目的として設立された協議会