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コラム

帰宅困難を疑似体験、帰宅困難者対策訓練参加レポート

2012年02月15日

コンサルタント

永峯 登喜子

東日本大震災を経て都市部での電車の運行停止に伴う帰宅困難者対応の意識が高まっています。直近を振り返ってみても主に以下のような動きがありました。
【帰宅困難者対策を巡る主な動き(予定含む)】

# 時期 自治体・主体団体 内容
1 2011年9月 港区 企業や店など事業者に大規模災害における帰宅困難者対策の責任を盛り込んだ条例を制定
2 2011年11月 大阪市 大阪駅周辺で帰宅困難者対策訓練を実施
3 2012年1月 品川区 民間マンションを災害時の避難所として帰宅困難者らに開放する災害協定をマンション管理組合と締結
4 2012年1月,2月 東京駅周辺安全
安心推進協議会
東京駅地下通路への帰宅困難者の受け入れを検証する社会実験を実施
5 2012年2月 東京都 東京都、埼玉県・千代田区・新宿区・豊島区合同による帰宅困難者対策訓練を実施
6 2012年3月 東京都 企業に飲料水や食料の3日分備蓄などを求める帰宅困難者対策条例を制定
各自治体は今まさに帰宅困難者対策訓練を通して災害発生時のシミュレーションを行い非常時の体制・対策を改めて見直している段階と言えるでしょう。一方で、条例制定の動きが示すように、企業の責任としてより明確に帰宅困難者対策が求められるようになってきています。
今回、2012年2月3日に新宿駅周辺で実施された帰宅困難者対策訓練に参加したことで東京都、新宿区の取り組みを知るだけでなく、企業としても自社で帰宅困難者対応を行う際に参考とできるポイントがいくつかございましたのでご紹介したいと思います。
 

帰宅困難者対策訓練の概要

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新宿駅西口ロータリー

日時: 2012年2月3日10時~11時20分
会場: 新宿駅周辺

訓練シナリオ:
2月3日午前10時に首都直下地震が発生し、電車の運行が停止。訓練参加者は外出中に被災した想定で情報を収集する。一時滞在施設へ移動。施設内に電車の運行再開の連絡が入るまで滞在する。私は今回、新宿駅西口ロータリーで訓練に参加し、ワンセグ、Twitter、facebookでの情報収集を試しました。

訓練の詳細と気付き

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東京都のウォール

以下、訓練に参加して気付いたことを「情報収集」「一時滞在施設への移動」「施設での滞在」の3つの段階に分けご報告します。

1.情報収集

普段から使用しているSNS(Twitter、facebook)は東京都が用意した訓練用のアカウントを登録するだけだったので、スムーズに情報収集を行うことができましたが、ワンセグは私の使用した携帯端末でエリアワンセグ の設定がうまくいかなかったため視聴することができず、訓練開始、被災状況、電車の運行状況、一時滞在施設の設置場所の情報を取得したのはfacebookがメインとなりました。

気付き1:災害情報収集アカウントの事前登録は重要

普段使っているツールが使いやすいのは言うまでもありませんが、災害発生時の慌てている際にアカウントの追加を行う余裕があるかは疑問の残るところです。普段から災害発生時に自治体から情報発信されるアカウントを登録するよう社員に促しておくことが、災害発生時に最寄りの避難所に避難できるなど具体的に社員の身を守る行動につながると言えます。

気付き2:早期連絡はイライラ防止に有効

発災から一時滞在施設開設の連絡まで30分以上経過したため、訓練と分かっていても「まだ避難できないの?」と焦る気持ちが出てきました。後から振り返れば、滞在施設の受け入れ準備があるため、発災直後に滞在施設開設の連絡をできないのは当然と言えるのですが「帰宅困難者の受け入れ準備を始めている」というお知らせが事前にあると無用なイライラを防いで落ち着いて行動する手助けになるのではないかと感じました。
社内で帰宅困難者の対応を行う場合も、「今、滞在場所を準備している」、「水と食料をいつごろ配布できそう」といった対応の準備状況からお知らせすることが非常時のストレスを軽減することにつながると思われます。

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一時滞在施設入り口


2.一時滞在施設への移動

facebookで都庁に一時滞在施設が用意されたことを把握したので、新宿駅西口から移動しました。今回はそれほど混んでいませんでしたのでスムーズに歩くことができましたが、実際にはごった返して満員電車状態なのかな、夜なら停電すると真っ暗なんだよね、と想像を膨らませると気になることはきりがありません。都庁についてしまえば案内板も出ていて一安心です。

気付き3:避難所情報は地図を付けて知らせると便利

会社の近くや普段よく出歩く場所で避難するなら地図がなくても動けますが、慣れていない場所で被災すると避難所、一時滞在施設の場所は施設名だけでなく簡単な地図を付けて案内してもらえると便利だなと感じました。

社内のマニュアルに緊急時の避難場所、病院等の記載が施設名や住所のみ記載している場合、地図をあらかじめ挿入しておくとより便利になるかと思います。
 

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一時滞在施設の様子

3.施設での滞在


一次滞在施設に入ったところ、係の方に誘導されロビーで整列を促されました。すると、次にバケツリレーの要領で毛布が配られるので、なんだろう??と思ったのですが、答えはロビーに毛布を敷いて座れるようにするためでした。なかなか親切な気遣いにびっくりです。座って落ち着いたところで、入場の際に受け取った「避難者票」に氏名や住所などを記載し、巡回する係の人に渡します。
そのあと、食料、水が配布されたのですが、これらも先ほどと同じくバケツリレーの要領で隣の人に渡していきます。アンケートを記入し終わったころ、電車の運行再開を知らせる館内放送が流れ訓練終了となりました。

気付き4:負傷しないことが係の負荷を軽減

一時滞在施設に避難できたらそれでのんびりできるわけではなく、毛布、食料、水はバケツリレー形式で配布していくので、意外に慌ただしく過ごすことに驚きました。体調が悪かったりどこか怪我をしたりしていると物資を配布する作業に加わるのも難しくなるので、発災時に各自が身を守ることは避難所を効率的に運用することにつながると感じました。日ごろから訓練などを通して、揺れ始めたらすぐに身を守る習慣を社員に徹底することがスムーズな帰宅困難者対応、その後の復旧活動につながると言えます。

気付き5:情報発信は視覚と聴覚を併用すると効率的

避難してみると、大勢の人間が集まるせいかざわざわしています。館内放送で公衆電話の設置、電車の運行再開を知らせましたが、ボリュームを抑え気味なのか聞こえにくく感じました。とはいえ、どこにいても音で情報を拾える放送は有効な側面もあるので、音声プラス紙もしくは電子掲示板などで視覚的に情報を把握できるとより正確な情報を把握できるので効果的ではないかと感じました。
社内で帰宅困難者の対応を行う場合も、電車の運行情報など多数の社員が知りたいと思う情報は紙で貼りだす、館内放送を使って伝えるなど複数の手段での情報発信を心掛けると効率的な運用が可能になると思われます。

社内の帰宅困難者対応でも参考にできること

今回は自治体が用意した施設に避難するという訓練でしたが、社内で帰宅困難者の対応を行う際にも有効と思われる下記の気付きを得ることができました。

  • 災害情報収集アカウントの事前登録

  • 帰宅困難者対応活動状況の早めの情報開示

  • 地図情報の活用

  • 負傷者の発生防止

  • 視覚と聴覚を併用した情報発信

ぜひ、できるところから取り組んでみてください。

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