ミツハシ様

株式会社ミツハシ様は、精米事業と炊飯事業を主に東日本で展開する企業です。このたび、精米事業本部においてBCMSの構築に取り組まれました。

その経緯について、当該プロジェクトを担当された精米事業本部 総合企画部長 高橋行博氏と業務課長 外山幸一氏にお話をお伺いしました。

安全安心がモットーの精米事業

精米事業本部総合企画部業務課長 外山 幸一氏

-貴社の事業内容を教えてください。

外山氏: 当社は米穀卸業および炊飯事業をおこなっています。今回BCMSを構築した精米事業本部は米穀卸業をおこなっており、売り上げの6割強が量販店などの消費者向けで、残りが外食産業などの業務用向けです。

当社は基幹工場を横浜市金沢区幸浦に置き、東日本に数か所自社拠点と協力工場を有します。精米においては安全安心をモットーとし、徹底した衛生管理や品質管理をおこなっております。その手法としてAIBフードセーフティに取組んでおり、今年も監査を受けた結果、スーペリアの最高評価を頂戴することが出来ました。

企業体質強化のためのBCMS

精米事業本部総合企画部長 高橋 行博氏

-今までの貴社の防災に関する取り組みについて教えてください。

高橋氏: 防災という意味では震災に対しては耐震対策や備蓄対策などをおこない、その他、火災を想定した避難訓練を定期的におこなっておりました。しかし、BCMSに求められるような災害対策は仕組みとしては稼働しておりませんでした。

一方で、災害時には一定量の販売をおこなうという供給協定を地元の生協とは締結しており、当社としては震災時でも安全安心な供給継続をしなくてはならない立場でありました。

今回BCMS構築に取り組んだのは、その安全安心を進める一環としてなのですが、直接的なきっかけとしては、グループ企業から内部統制やBCPなど企業体質を強化する取り組みを推進する動きが数年前からあったことです。今後お客様から求められる機会も増えてくると見越して取り組みを決定いたしました。

-コンサルティングサービスを利用した理由を教えてください。

外山氏: 当初は自社で取り組もうと考え、書籍を参考にしたり講習に参加したりしました。また、神奈川県が公表しているフォーマットを利用して作成を試みたのですが、フォーマットがあってもどこから手をつけてよいのか分からず、なかなかスタートを切ることができませんでした。そのまま半年くらいが過ぎてしまい、やはり専門家の助言が必要だと思うに至りました。

今回コンサルティング会社を選定するにあたっては納期とコストが第一の条件だったのですが、ニュートンさんを選ばせていただいたのは、東京都の支援事業をおこなわれている実績を高く評価したからです。

基幹工場が稼働しなくても事業継続

-どのようなBCMSを構築されたのですか?

外山氏: 今回は精米事業を対象に、地震を想定したBCMSを構築しました。精米事業における基幹工場である幸浦工場が稼働しなかった場合でも事業を継続できる仕組みを構築する、という、言わば一番厳しい条件で構築しました。

具体的には、震災時には、同業他社、協力会社や産地の農協などから商品を臨時に仕入れることで、当社への発注に対応していきます。もともと自社工場での供給と協力工場からの供給を平時から併存させているので、この手順は実態としては既に日常業務の中で機能しているものです。それを震災時の対応として、仕組みに落とし、混乱なくおこなえるようにすることが今回の目的です。

ただ実際に仕組みに落としてみると、様々な課題が浮かび上がり、まだまだ対応しなくてはならないポイントが明確になりました。そこについては、今後の運用の中で改善していく予定です。

-今回は構築中に東日本大震災が起きましたが、影響はありましたか?

高橋氏: まだ構築を始めたばかりだったので、構築した手順に沿って震災対応をおこなうことはできなかったのですが、日々変わってゆく状況に対応していく中で、自社に何が求められているのかをより的確に理解し、構築内容に反映することができました。

当社事業における震災の影響としては、停電により行田工場が一時操業停止になってしまったのですが、それ以外は協力工場も含めて大きな被害はありませんでした。また、幸浦工場がギリギリで停電区域外だったので、こちらの操業が影響を受けなかったのも幸いでした。

一方で、震災直後から通常時の10倍ほどの注文が殺到し、当社の供給量では追いつかない事態が発生してしまいました。これに対しては当初より考えていた、重点得意先に優先的に供給すること、ただし、どの取引先に対してもゼロ供給は避けることをポリシーにスムーズに処理することができました。

結果として、大変貴重な演習の機会となり、具体的な課題が浮き彫りになり、それに対する現実的な対処方法を考えることもでき、プロジェクト推進にあたっては奏功しました。震災前は少々他人事だと感じていたプロジェクトメンバーもより積極的に取り組んでくれるようになり、良いものができたと感じています。

他拠点への横展開にも早期に着手

-コンサルティングサービスの感想をお聞かせください。

外山氏: コンサルティング利用においての条件だった納期については、震災の影響で一時中断してしまったのですが、その後の柔軟な対応で、新しく引き直したスケジュール通りに構築できたので感謝しています。

今後は委員会を設置して今回の構築によって浮き彫りになった課題に対する取り組みと現場担当者への教育、継続するための更新の仕組みの整備をおこなっていく予定です。また、他拠点への横展開も早速進めてまいります。

幸か不幸か震災を経験してしまったので、この貴重な経験を風化させないよう取り組んでいきたいと考えています。

-今日は貴重なお話をありがとうございました。

担当の声

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント  勝俣 良介

BCP構築を成功させるのに最も重要なこと

皆さんは、BCP構築を成功させるのに最も重要なことって何であると思われますか。
コンサルの質?正しいリスクの想定?・・・それとも、高い当事者意識を持つこと?

振り返りますとミツハシ様は、プロジェクト開始当初から当事者意識の高さが際立っておりました。その証拠に、最初に毎回の参加を約束してくださった副社長様は文字通りの皆勤。事務局の方々も「二年目からは自分達が運用していく立場なんだ」という強い意志を常に持ち、ノウハウの吸収に余念がありませんでした。

「成功の鍵は当事者意識の高さなのか」・・・一見、そのようにも感じますが、実はこうした高い当事者意識をもたらした理由にこそ、ミツハシ様の素晴らしさ、そして、BCP構築を成功させる鍵があったと私は思います。

-自分達のビジネスにとって一番大事なことは何であるのか?
「それは、安全・安心でおいしいお米をお客様に速やかに届けることである。それができないことは、自分達のビジネスの存在意義そのものを失うことと同じである。」

このような”会社の経営理念”や”強み(コアコンピタンス)”への理解こそがその答えではないかと今回のプロジェクトを通じて改めて感じています。加えてBCP構築の打合せ最中に震災に見舞われたこともあり、非常に思い出深いプロジェクトとなりました。

利用サービス

お客様情報

商号 株式会社ミツハシ
本社所在地 神奈川県横浜市金沢区幸浦2-25
設立 昭和26年10月
資本金 3億1千円
従業員数 249人
代表者 代表取締役社長  三橋 美幸
事業内容 米穀、炊飯・加工品の販売

(2011年7月11日現在)

プロジェクトメンバー

お客様

取締役副社長

木津 嘉人 氏

精米事業本部総合企画部長

高橋 行博 氏

精米事業本部総合企画部業務課長

外山 幸一 氏

ニュートン・コンサルティング

代表取締役社長

副島 一也

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

当社のWebサイトでは、サイト閲覧時の利便性やサイト運用および分析のため、Cookieを使用しています。こちらで同意をして閉じるか、Cookieを無効化せずに当サイトを継続してご利用いただくことにより、当社のプライバシーポリシーに同意いただいたものとみなされます。
同意して閉じる