大成化工グループ様

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経営を強くするグループ連携BCP

大成化工グループ様は、顔料やコーティング材等の化学メーカーである大成化工株式会社を中心に、大成ファインケミカル株式会社、大成イーアンドエル株式会社のケミカル事業3社とティーアイジェー東京日本語研修所などで形成される企業グループです。大成ファインケミカル、大成イーアンドエル、ティーアイジェー東京日本語研修所の3社は「東京都BCP策定支援事業」に参加してBCPを策定した実績があります。今回の大成化工個社及びグループ全体のBCPを策定するプロジェクトについて、徳倉俊一社長(大成化工株式会社)、稲生豊人社長・福本照義 CSR推進室長(大成ファインケミカル株式会社)にお話を伺いました。

グループの経営資源を掌握してマネジメント品質を上げるために

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大成化工株式会社 代表取締役社長 德倉 俊一様

―大成化工グループの事業内容を教えてください。


 

德倉: 私たちの大成化工グループには、化学をベースにした3つの事業があります。大成ファインケミカルの樹脂合成事業、大成化工の顔料分散・コーティング材事業、それから大成イーアンドエルの機能商品事業です。

大成化工では顔料の分散技術やコーティング材、塗料を作る技術を扱っており、樹脂合成を行っている大成ファインケミカルは大成化工から分社した会社で、かつては双方の技術をあわせてインクの材料等を作っていました。現在も大成ファインケミカルでつくった樹脂を大成化工に販売し、それをもとに塗料を作るといった商流があります。また大成イーアンドエルも大成ファインケミカルの樹脂を使って独自の接着剤、たとえば景観舗装材用の接着剤などを作っています。

稲生: 大成化工は顔料分散・コーティング、大成ファインケミカルは樹脂と、それぞれコアの技術やサービスを持っており、別々に動いています。同じ塗料やインクのメーカーに対しても、大成化工や大成ファインケミカルは別々に原材料を購入し、別々の技術を使って供給しています。もちろん、グループ内で連携して材料を供給しあいお客様に届ける流れも一部あります。

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大成ファインケミカル株式会社 代表取締役社長 稲生 豊人様

―グループでBCPに取り組むまでの経緯を教えてください。

德倉: BCPに取り組んでいくにあたり、グループ全体の収益のうち半分ほどを占める大成ファインケミカルを優先させ、平成23年度東京都BCP策定支援事業に参加して同年の最優秀賞もいただきました。大成イーアンドエル、文化事業を行っているティーアイジェー東京日本語研修所といった事業グループも後に続き、そして今回、大成化工が取り組みを行うにいたり、ニュートンさんに支援をお願いしました。

福本: 大成ファインケミカルでは水害を想定して訓練を行いましたが、個社で動いてもあまり実質的な訓練にはなりませんでした。グループ全体で取り組んだことによって、今後は有事にも実効性の高い訓練を実施できると期待しています。

稲生: グループとしては、災害時に食糧や防災用具を確保できているのが大成ファインケミカルだけというのは具合が悪い。そういったことが今回の取組のきっかけになりました。大成ファインケミカル個社としても、まだまだ訓練が足りないのですが、今年(2014年)、震度6強に耐えうる耐震の建物を建て、有事には従業員やその家族が泊まれるようにしました。天井も落ちず、ガラス飛散防止や転倒防止などの問題も最初から解決されています。ライフラインの電力もフル装備ですし、水も井戸を掘って確保し、食糧も6日分用意したりということで、究極の管理棟という建物が完成しました。

結果事象を元に策定し、原因事象の面から検証するのが理想的ですね

―策定したBCPについて教えてください。

徳倉: まずは社員の命をしっかり守り、その上で事業の存続を図っていくというのがグループ共通のベースです。今回の大成化工の取組では、先行して大成ファインケミカルが積み上げたBCPのエッセンスを肉付けして作っていきました。

 

稲生: 大成化工グループは、リスク対応として通常から資金を多く持つ方針で、とにかく人を大事にするというのが経営理念です。緊急時のステージ、BCPのステージ、通常業務に戻すステージ、いずれにおいても、すべて人が判断して実行しますから、人さえ助かっていれば前に進める。人の資源が減れば減るほど復旧は遅れますし、BCPがあっても想定人員を下回ってしまうと何もできなくなってしまいます。

東京都の支援事業でBCPを策定した際には、地震や水害といった原因事象からのアプローチでしたから、容易にイメージがつけることができました。ただ、原因には様々なものが想定されるので、今回は結果事象からアプローチすることによって全体を掌握しました。新型インフルエンザや自然災害に対しても、テロに対しても、同じように経営資源を強化できるアプローチは合理的でしたが、それでいったんBCPを策定してから、もう一度、原因事象でひとつひとつレビューしていくというやり方が理想的かもしれません。

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最初に演習を行い、取組が不十分であることを目の当たりにしました。皆、こんなことはたいがい起きないだろうと思っていますから、震災のビデオ映像を見てワークショップをやると、全然できていないことが明白になってしまった。そこで参加者全員が自分ごととして捉えるようになり、会社での行いと自宅でのイメージも浮かんでくる。そしてプロジェクトの最後に演習をしてみると、最初と比較して自分たちのレベルが非常に上がっていることが実感でき、同時に課題も見えてくる。机上演習は非常に省力で効果的でした。体に染みつけるという意味で実働訓練も重要ですが、テーブル演習も効果的だと思いました。

グループでの連携を意識したBCP

―グループで連携するBCP策定は、個社での策定と比べてどのような違いがありましたか?

稲生: 今回訓練を行って、有事におけるケミカル事業3社の情報をきちんと集められる合理的な仕組みが必要だということがわかりました。大成ファインケミカルには安否確認の仕組みがあるが、大成化工には緊急連絡網はあっても訓練まではいたっていない、大成イーアンドエルは人数が少ないので把握も比較的容易、というふうに3社がバラバラな体制なので、社長がグループ全体の情報を把握しきれない状況に陥ってしまう可能性がある。そういった仕組みを早急に作らなければならないと感じました。

德倉: 先行した個社の策定では、グループ連携をあまり意識していなかったので、文書を作って終わってしまったという感想でした。災害リスクなどの知識は勉強したのですが、安否確認ひとつをとっても実効性があるとはいえなかった。今回は3社が一緒に取り組むことによって、どうしたら連携できるかということをつねに皆で考え、次のステップは一緒に進んでいけるという手ごたえを感じられました。

―サプライヤーに対する展開についてはどうお考えですか?

福本: 購買先に対してはBCP策定状況や在庫拠点などのアンケート調査を行っています。また、弊社の製品は最終的に外部倉庫に保管委託することが多いのですが、外部倉庫の棚卸の際に落下防止の協力をお願いするなど、BCPの観点から製品保管状況等を監査しています。倉庫の側でも、たとえば地震で預かっている製品が荷崩れを起こして破損したら困りますから、感謝していただいています。

稲生: 製品が破損したら請求しますよというのではなく、この置き方だと御社の社員がケガをするし、弊社も困るから、高く積んだりするのはやめましょうと話す。そういう意味で、社員の目線がCSR上でも一歩上がったと思います。単なる金銭関係の監査ではなく、やはり物流業者様、倉庫業者様との連携関係や社会的な責任を重視した経営的な視線を社員がもつことができるようになってきたのは、とても嬉しいことです。

原材料に関しては弊社よりも大きな会社が多く、逆にこちらがBCPを策定しているかと質問を受ける機会はとても増えています。お客様からの問い合わせも年々増えてきていますね。

BCPは経営をパワーアップさせる効果がある

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プロジェクトの最後に行われた演習風景。

―経営におけるBCPの意義をどのようにお感じですか?

稲生: 有事の際には、社員の安否確認をはじめ、資金の問題、原材料調達の問題など様々な経営上の問題に直面します。どの経営資源も、リスクがまったくないものはありません。

また平時においても、BCPに取り組むようになってから、営業部隊が予算を組んで計画をスタートさせる際に、そこにリスクがどのぐらいあるか、たとえば1億のうちリスクが2千万あるので、それに対してどんな広報や営業戦略の備えをするかという議論ができるようになりました。こういった空気はニュートンさんに教えてもらったおかげだと思っています。

 

わが社では毎日のようにPDCAを回していますから、BCPは経営をものすごくパワーアップさせる効果があります。新たな業務を付加するのではなく、平時の業務の合理化から考えて進める。仕事の量を半分にしつつ、リスクに対しても、倍、強くなる。そうした工夫が生まれるようになると、生産性が高く、リスクに強い会社になります。平常時からそういう体制をとっていれば、有事においても復旧時間を早くできる。現場も、われわれ経営者も、リスクマネジメントを経営の手法として使うようになりました。

―BCPで会社を強くする取組をまさに実践されていますね。

稲生: 防災、BCP、ISOは、管理事務が増えるだけで経営の役に立たないと思われがちですが、我々はそれらを、マネジメントを完全にする仕組みとして使うことで、大きな効果を出しています。さらにカイゼン活動も加え、ISOも品質改善もリスクマネジメントも、カイゼンの対象とする。ISOの監査では、BCP、ISO、合理化のすべてにチェック項目を作って内部監査員を教育していますので、大変合理的にできています。

福本: 大きな組織ではないので、いくつものシステムを走らせ、それぞれにメンバーをアサインすることはできません。ISOの中に防災やBCPを入れて、欲ばってひとつのシステムにまとめただけなんですが…

稲生: 化学の業界は様々な規制もありますから、管理のシステムばかりを厚くすることはできません。ただ、9001を使って、14001の問題などもやってますから、経営管理そのものがQMSにかなり近い形でまわしています。

演習を繰り返してグループに浸透させていきます

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大成ファインケミカル株式会社 CSR推進室長 福本 照義様

―今後の展望を教えてください。

德倉: 今の取組をグループ全体にうまく展開していくことですね。私も含めて、まだ至らないところがたくさんありますので、大成化工や大成イーアンドエルの社員も勉強しながら一緒に活動を進めて、考え方やレベルを上げていきたいと思います。先行して進めてきた大成ファインケミカルの取組をうまく演習や訓練に取り込んでいきたいと思います。

 

稲生: 社長なり幹部が大成化工グループ全体を掌握できる、もしくは社長の私が不在でも運用できるような緊急ファイル、代行者がそれを参照すれば、安否確認から復旧までできるようなファイルを作りたいと思っています。そして演習を繰り返して大成化工グループにBCPを浸透させるのが、まず最初のステップですね。また、自然災害以外の想定によるリスクマネジメントも検討を続けていきたいと思います。

福本: 原因事象から緊急時対応計画や危機管理計画を策定したので、なんらかの共通性を持たせないと弱いかなと感じていたのですが、今回の取組で結果事象から緊急時対応計画や危機管理計画のたたき台ができたので、それを皆で共有しながらレベルアップして、グループ全体を強くしていけると思っています。

経営の仕組みを熟知したコンサルティングでした

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―ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか?

稲生: 小さな声の意見や未熟な意見も含めて、プロジェクトメンバーの意見を満遍なく吸い上げていただきました。それぞれの意見にはその人なりの知恵やアイディアが含まれていますから、それをブラッシュアップしてくれたことが非常にありがたかったです。また、BCPだけではなく、ISOも含めた経営の仕組みを熟知されており、その上でどうするかという考え方をしてくれます。最後に年間計画を立てる際にも具体的な織り込み方、年計や中計との関係等も含めて我々を導いていただきました。そうしたコンサルタンティングのクオリティが非常に高く、単にBCPだけの作るお手伝いにとどまらないと感じました。ファシリテーションにおいても、経営メンバーと社員が一体化する雰囲気をうまく作っていただけました。

德倉: メンバーによって考えや感じ方が違う中で、少しずつ答えを出していくことができました。皆の力が積み上げられていくと実感できたのは、ニュートンさんのおかげだと思います。

担当の声

企業グループの知見を集めた進化し続けるBCM

インタビュー本文にもあるように、大成化工グループ様は、4社のうち3社が東京都BCP策定支援事業で既にBCPを策定されています。その中でも、特に大成ファインケミカル様は、平成23年度東京都中小企業BCP策定推進フォーラムにおいて最優秀賞を受賞され、その後も着実にBCPの施策を実行しつづけていらっしゃいます。

今回のプロジェクトには、数年間にわたって実務でBCPを運用している方々が参加され、大成化工株式会社単体のBCP策定だけではなく、大成化工グループとしてのBCPの見直しに携わっていただきました。そのため、ワークショップの間での社内の検討・文書作成を率先して進めていただけたので、複数の事業、複数の拠点にまたがるBCP策定という難しいテーマでもスムーズに進めることができ、コンサルタントとしてはお客様に大いに助けていただいたと思っています。

大成化工様としては、新小岩事業所と成田事業所の2つの事業部と管理部から、その事業の中核を担っていらっしゃる方にプロジェクトに参加していただきました。グループ全体で考えなければならない初動対応(緊急時対応計画、危機管理計画)では、各々の事業所の枠を超えて全社的な観点から討議をしていただくことができました。また、事業ごとに決めていかなければならない狭義の事業継続計画の検討でも、それぞれの事業所にある経営資源を、他の事業所の事業が止まってしまったときに、どのように補っていけるのか、真剣に考えていただくことができました。

さらに、すでにBCPを策定していた大成ファインケミカル様、大成イーアンドエル様の知見も入れることができました。特に、BCMに品質管理システム(QMS)や環境管理システム(EMS)も加えて、経営に役立つマネジメントシステムとして有効に活用している大成ファインケミカル様の経験も盛り込むことで、企業グループとして進化し続けるBCMになっていくことでしょう。

お客様情報

会社名 大成化工株式会社
事業内容 固形分散体・液状分散体・コーティング材の研究開発・設計・受託製造・販売
所在地 東京都葛飾区西新小岩3-5-1
会社名 大成ファインケミカル株式会社
事業内容 アクリル樹脂等の製造並びに販売
所在地 千葉県旭市鎌数9163-19
会社名 株式会社大成イーアンドエル
事業内容 環境商品・景観商品の企画・製造・販売
所在地 東京都葛飾区西新小岩3-5-1

(2014年4月1日現在)

プロジェクトメンバー

お客様

大成化工株式会社  

代表取締役社長

德倉 俊一氏

分散ユニット 製造グループ長

山口 和久氏

分散ユニット 製造グループ製造チーム

朱 国斌氏

分散ユニット 製造グループ品質管理チーム

大川 耕吉氏

分散ユニット 製造グループ施設チーム

谷口 靖一氏

コーティングユニット 製造グループ長

斉藤 隆志氏

コーティングユニット 製造グループ製造チーム

土屋 勝己氏

コーティングユニット 製造グループ施設チーム

石井 宏明氏

コーティングユニット 業務グループ長

宮内 詳之氏

総務グループ

水上 治氏

総務グループ

田中 弘大氏

大成ファインケミカル株式会社

代表取締役社長

稲生 豊人氏

CSR推進室長

福本 照義氏

株式会社大成イーアンドエル

取締役事業統括部長

工藤 信明氏

新商品開発室長

石山 良範氏

技術担当

鴇田 武博氏

ニュートン・コンサルティング

シニアコンサルタント

辻井 伸夫