事業継続(BCP/BCMS)

インターネットイニシアティブ 様

毎年恒例のBCP訓練。
新たな挑戦として富士山噴火訓練を実施

構築・策定 情報通信 1,000人~5,000人
インターネットイニシアティブ 様

プロジェクトメンバー

お客様 CRO(最高リスク責任者)補佐 三膳 孝通 様
危機管理部 部長 松原 勝美 様
危機管理部 菅野 美枝子 様
ニュートン・コンサルティング 執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント 内海 良
アソシエイトシニアコンサルタント 林 和志郎
チーフコンサルタント 川﨑 優雅

お客様の会社概要

インターネットイニシアティブ様は、1992年に日本初の国内インターネット接続事業者として創業。ネットワーク接続サービスのほか、アウトソーシングサービス、WANサービス、システムの構築・運用、クラウドやセキュリティなどの技術開発など、時代の移り変わりとともに事業を拡大してきました。

この度、大規模噴火対策支援サービスを導入いただいた経緯や成果について、CRO(最高リスク責任者)補佐の三膳 孝通 様、危機管理部の松原 勝美 様、菅野 美枝子 様にお話をうかがいました。

―貴社の事業内容をお聞かせください。

危機管理部 部長 松原 勝美 様
危機管理部 部長
松原 勝美 様

松原:日本最大規模のネットワークバックボーンをもつ当社は、インターネット接続サービスをはじめ、WANなどのネットワーク関連サービス、クラウドなどのアウトソーシングサービス、システム構築・運用保守、そして通信機器の開発・販売など、さまざまなITソリューションをワンストップで提供しています。現在、企業や官公庁など約15,000社のお客様に当社のサービスをご利用いただいています。個人のお客様には、SIMカードを利用した高速モバイルサービス「IIJmio」も展開中です。近年では、日本IBM・三菱UFJ銀行と協業で、地域金融機関向けの新たなITプラットフォームの提供を開始するなど、ビジネスの裾野も拡大しています。

現場の声から生まれた富士山噴火訓練

―これまでのBCP訓練の取り組みについてお聞かせください。

松原:当社では毎年、BCP訓練を実施しています。当社が提供しているサービスやシステムは生活に欠かせない存在であり、緊急時に当社の事業が止まれば、お客様の事業やライフラインに甚大な影響が生じます。社会インフラを支える企業として、BCPを構築し、自然災害対策を中心にさまざまな訓練を実施してきました。

危機管理部 菅野 美枝子 様
危機管理部
菅野 美枝子 様

菅野:BCP訓練は2017年以降、毎年ニュートンさんに支援いただいているのですが、これには理由が2つあります。

1つ目は、訓練実施のノウハウを社内だけで蓄積するのは困難であり、やはりBCP訓練の実績や知見が豊富なコンサルティング会社の協力が必要だと感じるからです。2つ目の理由は、事務局である危機管理部のメンバーも訓練を受けられるようにするためです。訓練を内製化した場合、危機管理部は運営側に徹することになってしまいます。社員の命を預かる立場の部門なのにもかかわらず、訓練を受けないとなると、いざという時に適切な行動が取れません。危機管理部も必ず「参加者側」になって、そこで見つけた課題を今後に生かすようにしています。

―プロジェクトを立ち上げたきっかけ、理由は何ですか。

松原:今まで地震を想定した訓練を実施してきたのですが、富士山噴火の被災想定の更新などを受けて、社内から「噴火も気になる」という声が上がるようになり、昨年から取り組むことになりました。富士山噴火については対応ができるのかどうか定かではなかったため、まずは検討ワークショップを実施し、自拠点への想定被害、課題や対策を洗い出しました。今年はそのワークショップの内容をふまえ、訓練を実施しました。

―プロジェクト概要を教えてください。

菅野:今回の訓練は、「2023年度のワークショップで検討した対策が有効であるかを検証すること」「富士山噴火時における会社の動きや自らの役割を理解すること」の2点を目的に行いました。およそ4か月の準備期間では、当社事務局が訓練の前提となる全社方針を策定。そのほか、ニュートンさんとの会議を定期的に重ねながら、訓練シナリオの設計を進めました。

当日は、対面とオンラインのハイブリッド形式で訓練を実施し、対策本部会議のメンバーに加え、テクノロジーユニットやビジネスユニットの社員を含む総勢100名近くが参加しました。

まず、富士山噴火が発生した際の被害想定や、降灰の影響などについてニュートンさんが講義を実施。臨場感をもって噴火の危険性を理解できるように、噴火時の想定CG動画を視聴する時間も設けました。その後、全社方針などの状況を参加者に付与し、噴火予兆段階~終息までの合計1か月強のシナリオをもとに机上訓練を実施。最後に、訓練を通して見つけた課題を共有しました。

―今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか?

CRO(最高リスク責任者)補佐 三膳 孝通 様
CRO(最高リスク責任者)補佐
三膳 孝通 様

三膳:富士山噴火のリスクを具体的に意識するよいきっかけになったと思います。プロジェクト後のアンケートでは、95%の参加者が「大変役に立った」「役に立った」と回答しました。また、「会社、自部署、自身の意思決定・アクションや課題を確認できた」と回答した参加者も94%となり、それぞれ目標として設定していた割合(8割以上)を大きく上回る結果となりました。

ただ、今回の参加者は全社員2,680名のうち、テクノロジーユニットを中心とした一部のメンバーです。今後の課題は、全社を巻き込んで富士山噴火の危険性を周知し、噴火時に柔軟に対応できる体制を構築することですね。

「未経験の災害に備える」という難しさ

―苦労されたポイントや新たな気づきなどは?

菅野:訓練の準備段階として全社方針を仮策定したのですが、この作業には苦労しましたね。例えば富士山が噴火した場合、仕事が続けられる代替拠点に移動することになりますが、「警戒レベルがどの程度になったら移動の判断を下すのか」「移動費用や宿泊費用はどのように処理するか」など検討事項がたくさんあり、落としどころに迷うものもありました。それでも、やはり方針を決めておかなければ、いざという時に適切な対応ができません。

人事部にも協力を仰ぎながら仮方針が完成し、それをもとに訓練を実施したところ、方針内容に関して参加者からさまざまな改善案・意見が寄せられたので、今後の改善にも役立てていきます。

三膳:富士山での最後の大きな噴火は1707年の宝永噴火で、ここ300年ほどは誰も経験していません。そのため、「火山灰の影響などをはじめ深刻な被害が生じる」といったことについて、頭では理解できたとしても、実際の状況を具体的にイメージするのはなかなか難しいんですよね。政府も、降灰対策などについて準備を進めている段階(2025年2月現在)ですので、現時点では富士山噴火のインパクトがよく分かるような資料や動画コンテンツが少ない印象です。こうした中で、訓練参加者に富士山噴火の危険性を実感してもらうのが大変でしたね。今回のプロジェクトを通して、「社員一人ひとりがリアリティをもって富士山噴火を想定し、対応できるようにしなければならない」と感じました。

―ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

松原:ニュートンさんはリスクマネジメントのプロとして、当社が課題に感じていることをいつも真摯に受け止め、解決方法を一緒に考えてくれる会社です。

約10年のお付き合いですので、今回も当社の内情を十分に理解した上で訓練を設計してくださいましたし、こちらのさまざまな要望にも柔軟に対応していただき心強いです。訓練当日は、本来は事務局から参加者に案内すべきなのだろうな…と思うようなことも、ニュートンの内海さんに「説明をお願いします」とお任せする場面もあり(笑)、全幅の信頼を置いています。今後もよろしくお願いします。

―本日は誠にありがとうございました。

※インタビュー内容および所属先は取材当時のものです。

お客様情報 (2025年2月現在)

名称 株式会社インターネットイニシアティブ
所在地 東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム
設立 1992年12月
事業内容 インターネット接続サービス、WANサービスおよびネットワーク関連サービスの提供、ネットワーク・システムの構築・運用保守、通信機器の開発および販売
利用サービス 大規模噴火対策支援サービス

担当の声

執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント 内海 良

執行役員 兼 プリンシパルコンサルタント

内海 良

「現場一体型のBCP訓練」の理想形を確立

IIJ様のBCP訓練支援を始めて、まもなく10年になります。 その間、地震をはじめとしてさまざまなシナリオの訓練を行い、今回の富士山噴火シナリオの訓練に至りました。

継続支援を通して私が感じるのは、「現場主導で進められるBCP訓練として、IIJ様の取り組みは理想形に近いのではないか」という点です。その理由は現場の皆様の取り組み意識の高さです。そもそも、今回、富士山噴火シナリオを採用したのは、現場から「富士山噴火を想定した訓練を実施した方が良いのではないか」という声が上がったことがきっかけです。また、この10年、訓練シナリオを検討する際は必ず各事業の責任者クラスの方々がプロジェクト推進メンバーに加わっています。訓練参加者も年々増え、今回は100名近くが参加しました。ともすると非協力的になりがちな現場の方々にも積極的にご参加いただけるのは、重要インフラ企業を支えるサービスを数多く提供されている同社において、上層部のみならず現場の方々までサービス継続に対する危機意識が浸透しているからだと考えられます。その危機意識が、現場の方々のBCP訓練への取り組み姿勢に表れていると感じます。このような企業文化・風土を土台とし、BCP訓練を中心としたPDCAサイクルを回されているIIJ様の取り組みは、間違いなく多くの企業にとって優良事例となるでしょう。

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