マーケットワン・ジャパン 様
| お客様 |
代表社員 山田 理英子 様 執行役 経営管理兼人事管掌 水野 亮 様 執行役 事業開発管掌 大橋 慶太 様 |
|---|---|
| ニュートン・コンサルティング |
取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介 シニアコンサルタント 日下 茜 チーフコンサルタント 日野原 小春 コンサルタント 竜 暁音 |
マーケットワン・ジャパン様は、米国ボストンに本社をもつMarketOne Internationalのアジア初拠点として、2006年に設立されました。
世界9カ国に拠点を有し、30カ国以上にBtoBマーケティングのコンサルティングサービスを届けるMarketOne International。その強みを活かして、マーケットワン・ジャパン様は、国内外の大手企業におけるBtoBマーケティングをサポートしてきました。
今回は、ニュートン・コンサルティングの「インシデント管理プロセス構築・改善サービス」をご利用いただいた経緯や成果などについて、山田 理英子 様(代表社員)、水野 亮 様(執行役 経営管理兼人事管掌)、大橋 慶太 様(執行役 事業開発管掌)にお話をうかがいました。
山田:当社はBtoBマーケティングに特化したコンサルティング会社です。主に製造業のお客様、IT企業のお客様における事業機会の創出や新たな価値創造などをサポートしています。戦略設計に加え、各種マーケティング施策の実行支援機能も含め、顧客ごとにカスタマイズのサービスを提供し事業成長の実現にむけて伴走しています。
また、MarketOne Internationalのアジア拠点である当社は、グローバルで年間800件以上のプロジェクトを手掛ける知見を活かしながら、海外展開・拡大における具体的な実効策をご提案できるという強みも持ち合わせています。
水野:MarketOne Internationalはグループ全体でISMSをベースとしたリスクマネジメントを徹底しています。その上で、各リージョンにおいては拠点ごとに一定の自治が認められており、地域の特性を踏まえて主体的に対策しています。
当社は、「新しいことに挑戦すること」を掲げ、お客様の変革を実現するパートナーを自負しています。ご支援をする上では既知も未知も含めたリスクに対応しながら、どうやって新しい世界に導くのか、を考え続けています。その特性上、時にはインシデントや想定外の事象が発生することもあり、これまで都度迅速に対応し再発防止策を実行してきました。しかしながら、そのようなルールを重ねている一方で、それらの知見を効果的に組織の力に転換する仕組みがないことを課題だと感じていました。
これから当社がさらに発展していくにあたって、組織としてのインシデントに対する耐性を高め、より一層リスクマネジメント体制を強化する必要があると判断し、このたび体制の再構築に取り組むことにしました。内部だけでプロジェクトに取り組むのはリソース・知見ともに限界があると考え、コンサルティング会社に支援を依頼することにしました。
水野:リスクマネジメントに関するサービスを提供する複数の会社とも会話をしておりました。これらの会社と比較した上でニュートンさんに決めたのは、日下さんをはじめとしたコンサルメンバーの人柄や熱意に触れて、「実務的かつ、安心して支援をお願いできそうだ」と感じたためです。
山田:まず初めに実施いただいたトップインタビューで、私は「リスクやルール、ガバナンスに縛られすぎるあまりに挑戦という付加価値を失うことを避け、解決したいリスクに対してPDCAサイクルを回せる仕組みを確立したい」と回答しました。これを元に「挑戦は常にリスクを伴う。だからこそリスクは共有し、学びに変えよう」というマーケットワン・ジャパンの行動原則を策定しました。それを起点に当社の特性に合わせた実効性の高いインシデント管理の施策策定・体制導入を進めました。
大橋:今回実現したかったのは、インシデントの未然防止・再発防止と、それを導くカルチャーの醸成、モニタリングの制度構築です。まずリスクカルチャーの醸成と従業員の意識向上に対しては、部門長・マネージャー層向けリスクマネジメント研修を実施しました。さらに、ヒューマンエラーによるインシデントを未然に防ぐため、「プロジェクト開始前チェックリスト」を導入。プロジェクト開始時・中間・クロージング時にリスクの特定や振り返りを実施できるような管理体制を整えました。
インシデント発生時にタイムリーかつ適切な対応と再発防止を図るため、「インシデント管理シート」も導入しました。インシデント発生後の報告フロー、インシデントレベルに応じた対応責任者の明確化、再発防止策の検討・実行、そしてモニタリングを体系化し、インシデントから学び、改善に繋がるサイクルを構築しました。
そして、構築した仕組みが形骸化しないよう、半期ごとに事業や組織に関するリスク、重大事故・インシデントを共有・議論する場として「リスクマネジメント委員会」を設置。この委員会では、リスクマネジメントの仕組みや再発防止プロセスの検討・改善、重大リスクやインシデントへの対応状況の確認を行います。
これらの取り組みを通じて、当社が挑戦を続けながら持続的に成長できるようなリスクマネジメントの基盤が確立できたと考えています。
大橋:今回のプロジェクトを通じて何がリスクであるのか、会社としての共通指針を発信できたことは大きな成果だと感じています。特に、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」も線引きしたことで、当社が何をリスクだと捉えているのかが明確になりました。
100あるリスクに全て対応する、と決めることは簡単なことですが現実的ではありません。考えられるシナリオごとに全てマニュアルを作成するという方法もありますが、それでは我々のビジネス成長モデルには合わない。そのため、今回のプロジェクトでは私たちにとって最重要である「お客様にご迷惑をおかけしない」ことに照準を絞り、対策をまとめました。また、リスクの領域だけでなく、深度についても「やること」と「やらないこと」の境界線をしっかりと引きました。インシデントのレベルや内容に合わせた役割分担を決め、ガイドライン化し、大きな指針として決定することができました。
山田:当社の従業員は80名ほどで、少数精鋭の会社です。役員も含めて「全員野球」で物事に取り組む社風で、一人ひとりが責任ある仕事を任されている分、リスクマネジメントに対して個々の高い意識と見解、強い想いを持っていると感じています。
大橋の話していた「やること/やらないこと」を決めるにしても、「リスク発生の可能性を完全になくすために、取れる手段は全部取るべきだ」というメンバーもいれば、「ある程度のリスクは許容し、オペレーションに負担をかけすぎないようにすべきだ」という意見もあり、様々でした。社員の考え方が多様であっただけでなく、クライアントが違えば各プロジェクトの進め方も異なるという現実もあり、「リスクマネジメント手法をどこまで汎用化すべきか」「プロジェクト間で共通するリスクは何なのか」を整理するのにも苦労しましたね。私・水野・大橋の3名だけで話し合っているときですら三者三様の考え方が出てきましたし、しかもお互いに譲れず…(笑)。
こうした状況の中、異なる意見をどのように仕分けして、会社としての方針をどのような形に落ち着かせたらよいのか、落としどころに悩んだときはニュートンさんに適宜相談し、アドバイスをいただきました。
山田:ニュートンさんには過去の支援実績から得られた知見がたくさんあるわけで、本当は「あるべき姿」を私たちに示してしまった方が楽だったはずです。
しかし、コンサルタントの日下さんは、「この会社、この文化、この状態に対して着地点はどこが望ましいのか」を見極めつつ、あくまでも私たちの主体性を大切にして、異なる意見をぶつけ合う様子を見守ってくださいました。その一方で進捗が思わしくない時には「一度、関係者全員で丸一日の合宿をして、とことん話しましょう」というように、強い推進力で方向性を導いてくれる場面もあり、そのバランスがよかったです。これが、内部だけではできなかっただろうと考える所以です。
水野:勝俣さん、日下さんの経験、特に他社事例や業界標準などを元にしたアドバイスは非常に有意義でした。当社のような規模の会社ですと従業員も自律的で、なかなかコーポレートとしてルールを落とすような進め方は馴染まないのですが、外部のコンサルタントと進める施策ということで説得力も増しています。
大橋:社内に新しい行動指針を発表した際、「今回リスクマネジメント体制を再構築したのは、私たちが持続可能なかたちで、さらに成長し続けるためである」という主旨もしっかりと説明しました。新しい管理体制の運用効果はこれから分析していくことになりますが、まずは前向きな改革であることを社員たちに理解してもらえていると思います。
当社はお客様に対して、「型にはまったサービスをせず、常に新しいかたちを目指してチャレンジしましょう」とお伝えする立場です。挑戦とリスクは表裏一体ですので、私たちの事業はリスクを避けて通れません。そのような会社だからこそ、今回再構築された体制をベースとしてリスクに適切に対処し、お客様により高品質なサービスをお届けしていきます。
※取材は2025年7月に実施。記事内の所属先および役職名は、プロジェクト当時のものです。
| 名称 | マーケットワン・ジャパン合同会社 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区銀座6-18-2 野村不動産銀座ビル16階 |
| 設立 | 2006年10月 |
| 事業内容 | BtoB営業・マーケティングに関するコンサルティングと実行支援業務 |
| 利用サービス | インシデント管理プロセス構築・改善サービス |
シニアコンサルタント
日下 茜
挑戦を加速させるリスクマネジメントの形
本プロジェクトは、単にリスクやインシデントを「管理する仕組み作り」でなく、マーケットワン・ジャパン様のミッションである「マーケティングで変革を実現させるベストパートナー」を実現するため、さらなる成長と挑戦を力強く後押しする「アクセル」として機能する仕組みを共に創り上げた点が最大の成果だと感じています。
プロジェクト着手当初、経営層や部門間のメンバーでは、リスク認識やインシデント対応方針に意見の相違が見られました。しかし、徹底的な議論と個別ヒアリングを重ね、「リスクマネジメントを通じて何を達成したいのか」という根本的な問いに対し、共通の認識を醸成できたことは、仕組みそのものの構築以上に大きな意味を持つと考えています。この意識統一こそが、今後のマーケットワン・ジャパン様のリスクマネジメント活動の強固な基盤となります。
そして、今回のプロジェクトで何よりもこだわったのは、マーケットワン・ジャパン様独自の仕組み作りです。一般的なフレームワークをそのまま導入するのではなく、マーケットワン・ジャパン様の事業特性や企業文化、特にマーケティング会社様ならではのスピード感を損なわないよう、シンプルかつ実効性のある運用体制を追求しました。過度なマニュアル化は避け、現場の負担を最小限に抑えつつ、マーケットワン・ジャパン様にとって「ベストな形」は何かを徹底的に議論して一つ一つ作り上げていきました。
今回のプロジェクトで基盤は構築できましたが、リスクマネジメント活動はまさにこれからが本番です。引き続き微力ながらサポートさせていただき、マーケットワン・ジャパン様のさらなる飛躍に貢献できることを楽しみにしています。