「新たな情報通信技術戦略のあり方」の第5次中間答申に向けて報告書案の意見公募を実施 情報通信審議会
2024年10月に検討を再開した、総務大臣の諮問機関である情報通信審議会(情報通信技術分科会の技術戦略委員会)は審議結果を取りまとめ、「新たな情報通信技術戦略のあり方」の第5次中間答申を今年6月頃に計画しています。これに先立ち、技術戦略委員会はこのほど、「第5次中間報告書(案)」を取りまとめ、意見公募を実施しました。意見の受け付けは5月7日まで。
独立行政法人通則法に基づき、国立研究開発法人は中長期計画・年度計画を策定することとなっており、これら計画は総務大臣が策定した中長期目標に沿うことになっています。6月頃に予定されている中間答申は、この中長期目標の策定に資するものとなります。国立研究開発法人である情報通信研究機構(NICT)においては、現行の中長期計画が2026年3月までとなっており、2026年4月から始まる次の中長期目標・計画に反映されるべき内容について情報通信審議会での検討が再開されました。
意見公募の対象となっている第5次中間報告書(案)には技術戦略委員会および同委員会下部組織である社会実装加速化WGでの検討事項がまとめられています。技術戦略委員会では、国やNICTなどが取り組むべき重点研究開発分野・課題および研究開発、成果展開などの推進方策について検討してきました。他方、社会実装加速化WGは2024年11月に設置され、NICTの研究開発成果の社会実装機能の在り方や研究資金配分機関としての在り方、新技術に対応した研究人材の育成・確保に関する在り方などについて調査、検討してきました。WGは、NICTの業務のうち外部連携機能である、民間企業におけるイノベーション支援業務の比重が高まってきたため設置されました。
第5次中間報告書(案)では、AI・コミュニケーション▽Beyond 5G▽量子情報通信▽サイバーセキュリティの4つの技術領域について、戦略的な取り組みを推進していくよう提言されています。この4つは現行の中長期目標における戦略領域であり、AIとサイバーセキュリティは社会的重要性がさらに増大し、Beyond 5Gと量子情報通信については社会実装に向けての重要な局面を迎えています。こうした現況を踏まえ、「NICTは産学官連携の中核・連結点としての役割を果たすべき」と指摘しました。民間投資や人材育成を活性化するための触媒として機能したり、産学官で基礎的・基盤的な研究開発から社会実装まで連携して取り組んだりするよう求めています。
NICTは日本で唯一のICT分野を専門とする公的研究機関です。重点分野の研究開発に加え、NICT法に基づく業務(※)を実施しています。サイバーセキュリティに関する演習(CYDER)や、IoTのセキュリティ対策向上を推進し、サイバー攻撃の発生やその被害を未然に防ぐプロジェクト「NOTICE」なども実施しています。CYDERは体験型の実践的サイバー防御演習で、実機を操作してサイバー攻撃によるインシデントの検知から対応、報告、回復までの一連の対処方法を体験できます。他方、NOTICEは2024年度から「サイバーセキュリティ対策助言等業務」としてファームウェアに脆弱性があるIoT機器の調査や既にマルウェアに感染しているIoT機器の情報提供などにも取り組んでいます。
※標準電波の発射や宇宙天気予報の提供など。宇宙天気予報は太陽フレア爆発などの太陽活動と電離圏・磁気圏を観測・分析し24時間365日、運用しています。