サービスストラテジ
掲載:2010年10月25日
執筆者:エグゼクティブコンサルタント 久野 陽一郎
用語集
サービスストラテジとはITサービスを提供する際の戦略のことを指します。顧客(もしくはエンドユーザー)に対して、どのような領域でビジネスを行うのか、その領域で実現可能なサービスはどんなものか、サービス設計・開発・実装の有無などについて考えます。具体的には、下記のようなポイントを検討していきます。
・自分たちは何ができて、市場ではどのようなポジションなのか
・自分たちの強みは何で、それは顧客の要望と合致しているのか
・適切なコストでサービスを提供できるのか
・必要な資源(ヒト、モノ、カネ、ナレッジ)が確保できるのか
サービスストラテジ構築の概略
戦略を立てる際には、大きく分けて以下の4ステップを実施します。
さらにこれら4つのステップを補完するものとして、投資利益率の把握やコスト管理などを行う「財務管理」があります。提供するサービスを決定する際には、その判断材料として財務管理によって得られた数値データを利用します。これにより提供するサービスが適切かどうかを投資対効果の観点から客観的に評価することができます。
- ビジネス領域の決定
- 提供するサービスの定義
- サービスを提供する必要資源の確保
- 戦略の構築
さらにこれら4つのステップを補完するものとして、投資利益率の把握やコスト管理などを行う「財務管理」があります。提供するサービスを決定する際には、その判断材料として財務管理によって得られた数値データを利用します。これにより提供するサービスが適切かどうかを投資対効果の観点から客観的に評価することができます。
サービスストラテジ構築の4ステップ
それでは各ステップについて詳しくみていきましょう。
1. ビジネス領域の決定
第1ステップの「ビジネス領域の決定」は、どこを攻めるべきか(どこに投資すべきか)を考えるプロセスです。
まずは顧客のニーズを把握するために、顧客の事業においてどのようなITサービスが活用されているかを分析します。そして、その分析結果をもとに自組織がどのビジネス領域を目指すべきか検討していきます。以下のような観点を活用しましょう。
ビジネス領域はさまざまな切り口で設定できます。個別顧客ごと、業界、地域や規模などで分けることも可能ですし、また、特定業務全体もしくはその一部を対象とすることもできます。
例:A企業の受発注業務、自動車メーカーの受発注業務、東海地方の中小自動車メーカーの受発注業務のうち発注管理、など
2. 提供するサービスの定義
第2ステップでは上記で決めたビジネス領域の中で、どのようなサービスを提供するのかを検討します。ここでは、提供するサービスがどのような有用性があり、どうしたらそのサービスを継続的に提供できるのか、といったことなどを検討します。
また、複数のサービスを同時提供する場合には、「サービスポートフォリオ」を意識することが重要です。「サービスポートフォリオ」とは、複数サービスのサービス内容、投資状況、提供状況などを包括的に一元管理する手法です。提供するサービスを一つ一つ作成していくと同時に、自社の提供するサービス全体を俯瞰し、そのバランスを見ることが可能になり、限られた人員やシステムなどの最適な分配を実現できます。
3. サービスを提供する必要資源の確保
第3ステップでは、定義したサービスを提供するには何がどれだけ必要なのか、それをどうやって確保するのかを検討します。顧客のビジネス特性を正確に理解し、日々変化する需要に対してヒトやプロセス、マネジメントやナレッジ等の限られた資源を効率よく配分する手段を確立し、投資効果向上を目指します。
4.戦略の構築
最後に、第4ステップとしてすでに検討したことに基づき、以下の4つのポイントから戦略を構築します。
これら4つのポイントを調和させ、現状の分析から導き出したビジョン、方針、計画、活動内容、継続的改善方針などを戦略としてまとめます。
1. ビジネス領域の決定
第1ステップの「ビジネス領域の決定」は、どこを攻めるべきか(どこに投資すべきか)を考えるプロセスです。
まずは顧客のニーズを把握するために、顧客の事業においてどのようなITサービスが活用されているかを分析します。そして、その分析結果をもとに自組織がどのビジネス領域を目指すべきか検討していきます。以下のような観点を活用しましょう。
- 自組織の強みが最大限に活用できる領域か
- 他組織が簡単に真似できないサービスか
- 顧客に対して中長期的にサービスを提供できるか
- 顧客に新しい価値を提供できるか
ビジネス領域はさまざまな切り口で設定できます。個別顧客ごと、業界、地域や規模などで分けることも可能ですし、また、特定業務全体もしくはその一部を対象とすることもできます。
例:A企業の受発注業務、自動車メーカーの受発注業務、東海地方の中小自動車メーカーの受発注業務のうち発注管理、など
2. 提供するサービスの定義
第2ステップでは上記で決めたビジネス領域の中で、どのようなサービスを提供するのかを検討します。ここでは、提供するサービスがどのような有用性があり、どうしたらそのサービスを継続的に提供できるのか、といったことなどを検討します。
また、複数のサービスを同時提供する場合には、「サービスポートフォリオ」を意識することが重要です。「サービスポートフォリオ」とは、複数サービスのサービス内容、投資状況、提供状況などを包括的に一元管理する手法です。提供するサービスを一つ一つ作成していくと同時に、自社の提供するサービス全体を俯瞰し、そのバランスを見ることが可能になり、限られた人員やシステムなどの最適な分配を実現できます。
3. サービスを提供する必要資源の確保
第3ステップでは、定義したサービスを提供するには何がどれだけ必要なのか、それをどうやって確保するのかを検討します。顧客のビジネス特性を正確に理解し、日々変化する需要に対してヒトやプロセス、マネジメントやナレッジ等の限られた資源を効率よく配分する手段を確立し、投資効果向上を目指します。
4.戦略の構築
最後に、第4ステップとしてすでに検討したことに基づき、以下の4つのポイントから戦略を構築します。
- 観点 (Perspective: サービスの構想と方向性)
- ポジション (Position: 提供するサービスの市場優位性)
- 計画 (Plan: 手段・方法の提示)
- パターン (Pattern: 判断基準と活動)
これら4つのポイントを調和させ、現状の分析から導き出したビジョン、方針、計画、活動内容、継続的改善方針などを戦略としてまとめます。
明確な評価基準を:財務管理の重要性
上記で構築した戦略を支えるものとして、前述のITサービスの財務管理があります。
財務管理の目的は、支出と収入を把握し、適切なコスト管理(費用対効果の検証)から投資活動の透明度を上げることです。投資利益率(ROI(*1))を指標として活用し、投資に見合ったサービスが提供されているかを検証し、継続や中止の判断基準を設けます。サービス実施前と実施後のROIを比較することにより、投資が正しかったかを判断し、今後の投資活動の指針とすることが可能です。
ROI以外にも、正味現在価値(NPV)を使用し、提供サービスをキャッシュフローの観点から評価することもできます。
適切な戦略に則りサービスを提供することによって、顧客のビジネスに大きな成果を上げることができます。それと同時に、提供する複数のサービスを効率的・効果的に管理することが可能となります。明確な構想、練られた計画、必要資源の確保といったビジネス支える重要な要素が、サービスストラテジには集約されているのです。
財務管理の目的は、支出と収入を把握し、適切なコスト管理(費用対効果の検証)から投資活動の透明度を上げることです。投資利益率(ROI(*1))を指標として活用し、投資に見合ったサービスが提供されているかを検証し、継続や中止の判断基準を設けます。サービス実施前と実施後のROIを比較することにより、投資が正しかったかを判断し、今後の投資活動の指針とすることが可能です。
ROI以外にも、正味現在価値(NPV)を使用し、提供サービスをキャッシュフローの観点から評価することもできます。
適切な戦略に則りサービスを提供することによって、顧客のビジネスに大きな成果を上げることができます。それと同時に、提供する複数のサービスを効率的・効果的に管理することが可能となります。明確な構想、練られた計画、必要資源の確保といったビジネス支える重要な要素が、サービスストラテジには集約されているのです。
*1: ROIとは、収入または利益を一定期間のコストで割った結果を指します。ROIが大きいほど、収益の高い投資案件であるということができます。