IT ガバナンス導入ガイド COBITとVALITの利用 (IT Governance Implementation Guide: Using COBIT and Val IT)

掲載:2010年09月25日

執筆者:取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

ガイドライン

ITガバナンス導入ガイド(第二版)は、ITガバナンス導入・運用に関わる専門家への教育を目的として策定された手引きです。この手引きは、やはり同機関より発行されているCOBIT4.0(ITガバナンスのフレームワーク)およびVAL IT Ver1.0(IT投資(情報化投資)に関する包括的ガイドライン)を、どのように組み合わせて活用すればITガバナンスの導入を効果的・効率的に行うことができるのか、という点に主眼をおいた解説を行っています。

ちなみに、オリジナルの版は英語版でITガバナンス協会(ISACA)が、2007年5月に発行したものですが、その3年後の2010年2月に、邦訳版が公開されました。日本ITガバナンス協会のホームページ(関連リンク参照)より入手することが可能です。

         

対象者は、ITガバナンス導入・運用に関わる全ての人

当ガイドは、組織の経営層のみならず、業務部門やIT監査部門、そして情報システム管理部門内で業務に携わる人など「ITガバナンス導入・運用に関わる全ての人」を対象としてとらえています。実際に、手引きの中ではキープレーヤーごとの役割や責任について頻繁に触れています。

【手引きが想定する主な対象者】
取締役会と経営層
業務管理部門
IT管理部門
IT監査
リスクおよびコンプライアンス
ただし、先述したようにCOBIT4.0やVAL IT Ver1.0といった他のガイドラインと組み合わせて利用することを前提として作られているため、手引き利用者には少なくともCOBITファンデーションコース (※1)終了レベルと同等の知識を求めていることに留意が必要です。

※1: ITガバナンス・フレームワークのメリットを理解するISACA認定の基礎コース。 COBITの論理的な活用方法について理解を深めることが期待されています。

導入ツールもあわせて公開

当ガイドは全5章約70ページから成り、特に全体の4割を占める形で、3章「導入ロードマップ」にて、導入方法についての詳しい解説を行っています。また、解説にあたっては、導入ステップ(※2)ごとに、そのステップの目的、内容、主なタスク、COBIT4.0やVAL IT Ver1.0の利用の仕方、利用可能なツールキットや分析ツールについて触れています。

なお、ここで述べている「利用可能なツールキット」とは、当該手引きと合わせて公開されているツールキット集のことを指しています。具体的には、以下のようなツールが同梱されています。

【セルフアセスメント(自己評価)、測定および診断ツール】
マネジメント層の意識診断1
マネジメント層の意識診断2
成熟度測定ツール
MyCOBIT コントロール目標

【パワーポイントによるプレゼンテーション】
COBIT 紹介プレゼンテーション
IT バランストスコアカードの例
IT ガバナンス導入テンプレート
報告の方法
リスク分析アプローチ

※2: 3章「ITロードマップ」ではITガバナンス導入方法について、5フェーズ計15ステップに分けて解説しています。

ITガバナンスロードマップ

(出典:IT ガバナンス導入ガイド COBITとVALITの利用 p.10)

ITガバナンスの導入前段階で特に重要になるもの

当手引きは、ITガバナンスという、ともすれば極めて実態をとらえにくいフレームワークの組織への導入について、俯瞰的・網羅的・体系的に解説をしてくれていることから、以下に示すようなメリットの享受が期待されます。したがって、ITガバナンス導入の前準備段階で特に活用したい手引きの1冊ということができるでしょう。

【手引き書から期待されるメリット】
  • ITガバナンス導入の方向性を理解することができる
  • 他のガイドラインやメジャーな分析手法の活用のタイミングや方法がわかる
  • ITガバナンスにおけるそれぞれの役割を理解することができる
  • 導入にあたって知っておきたいキーワードを認識できる
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