みなさん、こんにちは。
先日、G20/OECDの「コーポレートガバナンス(企業統治)の原則」(案)が公開されました。
いきなり難しいこと話しだすなぁ。なんだそれ?と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。それ以前にコーポレートガバナンスって、改めてなんだろう。少しふわふわしていて説明しろと言われると自信がないな。そういう方もいらっしゃるかもしれません。
そういえば何なんでしょう。コーポレートガバナンスって。コーポレートガバナンスは企業統治とも訳されますが、「企業の治め方」のことです。「企業」を「国」に喩えて考えると理解しやすいと思います。日本という「国」は、どういう治められ方をしてましたっけ。
パッと思いつくのは立憲君主制という言葉です。そうだったかなと気になって色々と調べてみると、立憲君主制と言ってもいいかもしれないが議論もあると書かれています。首相官邸のページには、こんなことが書いてありました。
「国民主権の下で、立法、行政及び司法の三権分立を徹底させるとともに、議院内閣制という基本的枠組みの下で、内閣は行政権の主体として位置付けられることとなった」(首相官邸のHPより)
そういえば中学生のころ、習いました。国民主権や三権分立という考え方。三権分立は、立法(国会)と行政(内閣)と司法(裁判所)が、お互いを牽制し合う仕組みでできています。国民主権と言っていますから、誰かが暴走して一番大事な利害関係者である国民が不利益を被らないよう国を治めるための色々な仕組みが入っているわけです。
それと同じことが、企業にも言えます。企業の場合、大切にすべき利害関係者は誰なのか。その人たちが不利益を被らないようにどんな牽制の仕組みを入れるべきなのか。企業(株式会社)の場合、大切な利害関係者の一人は株主です。彼らが投じるお金なくして会社運営はままなりません。もちろん、大切な利害関係者は株主だけではありません。労働力を提供してくれる従業員も大事な利害関係者だし、お金を貸してくれる銀行もそうです。いつもお世話になっている取引先だってそう。地域住民だって、社会だって大事な利害関係者です。
いずれの利害関係者をどれだけ重んじるかはともかく、利害関係者が不利益を被らないよう、あるいは利益を適切に享受できるよう、牽制を効かせることを目的に導入される仕組みが、監査役会だったり、取締役会だったりします。こうした考え方そのものは昔からあるものですが、具体的にどんな建て付けで牽制を効かせるかについては試行錯誤の歴史があります。つい2015年にも、日本企業の建て付けのあり方が見直されているくらいですから。
「企業の治め方」にも色々とありますが、眠くなるのでこれ以上は言及しません(実際、監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社とか言い始めると読むのが辛いですよね。書くのも決して楽しいことではありません)。
こうした企業の治め方、すなわちコーポレートガバナンスにガイドを示そうとしているものが、冒頭に申し上げたG20/OECDの「コーポレートガバナンス(企業統治)の原則」です。日本企業向けには、東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードがありますが、それにも影響を与えるものです。
こうした前提を踏まえると、今、まさに見直しが進められている原則案を覗くことで、世の中が「企業の治め方」にどのような課題を感じどうしようとしているのか、見えてくると思いませんか。
私もそんな想いで、原則案に目を通しました。参考になりました。もっともっと企業のリスクマネジメントにメスを入れなさい。そして予防も大事だけど、不測の事態は常に起こるのだから、そうした点で経営にメスが入るようにしなさい。例えばそのような意図が透けて見えてきます。
さて、本稿ではここまでにしようと思います。えっ、もっと詳しく教えてくれるんじゃないの。そう思った方。ご安心ください。ニュートン・ボイスで私が最近、執筆した記事がありますので、そちらをご一読いただければと思います。
明日すぐに対応が求められるものではありませんが、近い将来求められることは確実です。