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用語集

避難勧告/避難指示(緊急)/避難準備・高齢者等避難開始

2019年08月29日

水害や土砂災害、高潮、大津波などの自然災害が発生したとき、あるいは発生のおそれがあるときに市町村長から発令されるのが、「避難勧告」「避難指示(緊急)」「避難準備・高齢者等避難開始」です。

以前は、「避難勧告」「避難指示」「避難準備情報」と言われていましたが、2015年の関東・東北豪雨災害による鬼怒川の氾濫や、2016年の台風10号の被害等を受けて、避難を開始する必要性を明確にするために名称が変更されました。

なお、「避難命令」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、法律的には「避難命令」という言葉はなく、「避難のための立退きの勧告」(避難勧告)と「避難のための立退きの指示」(避難指示)という規定しかありません。

これらの用語の違いを理解していないと、いざというときに間違った行動をとってしまうかもしれません。また、用語の違いをあらかじめ理解しておくことが、自らの身の安全を守ることになりますから、避難に関する用語を正しく理解しておくことは大事です。

「避難勧告」とは

「避難勧告」は、対象地域の居住者や滞在者等の生命・身体の保護を目的として、安全な場所への立退きを求め、早めの避難を促すために出されます。居住者等を拘束するものではありませんが、発令する市町村長は、その「勧告」を尊重することを期待して避難を勧め促します。

法律には、災害対策基本法60条で「避難のための立退きの勧告」と規定されています。

また、2017年1月に内閣府が作成した「避難勧告等に関するガイドライン」では、予想される災害に対応した指定緊急避難場所へ速やかに立退き避難する。あるいは指定緊急避難場所への立退き避難はかえって命に危険を及ぼしかねないと自ら判断する場合には、「近隣の安全な場所」への避難や、少しでも命が助かる可能性の高い避難行動として、「屋内安全確保」を行うことが求められています。

自らや家族等の身の安全確保を第一に考え、市町村長から避難勧告が出されたら避難を始めることが重要です。

「避難指示(緊急)」とは

「避難指示(緊急)」は、「避難勧告」の状況よりも、さらに水害等の災害の危険が切迫している場合に出されます。避難勧告に従ってすでに避難した人は、迅速かつ確実に避難を完了する必要がありますし、まだ避難していない人はすぐに避難しなければいけません。もし、避難する(時間的)余裕がない人は、生命を守るための最大限の行動をしなければならない段階です。

法律では、災害対策基本法60条で「避難のための立退きの指示」が規定されていいます。

また、前出の「避難勧告等に関するガイドライン」では、既に災害が発生していてもおかしくない極めて危険な状況となっており、未だ避難していない人は、予想される災害に対応した指定緊急避難場所へ緊急に避難する。あるいは指定緊急避難場所への立退き避難はかえって命に危険を及ぼしかねないと自ら判断する場合には、「近隣の安全な場所」への避難や、少しでも命が助かる可能性の高い避難行動として、「屋内安全確保」を行うよう求められています。

冒頭では用語の意味を正しく理解することが重要と書きましたが、実質的にはこの「避難指示」は市区町村長からの避難についての「命令」の意味だと認識し、出来るだけ早く近くの避難所や安全な場所に避難しましょう。

「避難準備・高齢者等避難開始」とは

法律上の規定はなく、「避難勧告等に関するガイドライン」や市区町村の地域防災計画等で定められています。

この「避難準備・高齢者等避難開始」という名称は、2016年の台風10号による水害で岩手県岩泉町のグループホームが被災し、入所者9名が全員亡くなる等の高齢者の被災が相次いだため、「避難準備情報」という名称では適切な避難行動がとられないという反省の下に決められました。
人的被害発生のおそれが高く、事態の推移によっては、避難勧告や避難指示(緊急)が発令されることを促しています。

居住者等に求める具体的な行動としては、避難に際して時間がかかるような要援護者(高齢者、身体障碍者等)は計画された避難場所への避難を開始し、避難を支援する人は支援行動を開始する、要援護者以外の人は、家族等との連絡、非常持出品の用意等の避難の準備を開始する、となっています。

類型 内容 根拠条文等
警戒区域の設定 警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する以外の者に対して当該区域への立ち入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずる 災害対策基本法
第4節 応急措置
第63条 <罰則あり>
避難指示(緊急) 被害の危険が目前に切迫している場合等に発せられ、「勧告」よりも拘束力が強く、居住者等を避難のため立ち退かせるための行為 災害対策基本法
第3節 事前措置及び避難
第60条 <罰則なし>
避 難 勧 告 その地域の居住者等を拘束するものではないが、居住者等がその「勧告」を尊重することを期待して、避難のため立退きを勧めまたは促す行為
避難準備・高齢者等避難開始 ・要避難者等、特に避難行動に時間を要する者は、計画された避難場所への避難行動を開始(避難支援者は支援行動を開始)
・上記以外の者は、家族等との連絡、非常用持出品の用意等避難準備を開始

避難勧告等に関するガイドライン

(2012年1月)

自主避難の呼びかけ (各市町村において独自に行っているもの) 地域防災計画等

多様化する避難関連の情報手段

災害時の避難に関する法律的な根拠となっている災害対策基本法が制定されたのは、約半世紀前の昭和36年(1961年)です。その当時から比べると、情報伝達手段や情報自体の高度化、社会環境の変化等により、避難の呼び掛け方法も大きく変わってきています。

以前は、避難に関する情報手段は、防災無線、ラジオ、テレビ等が主流でしたが、現在ではパソコンや携帯電話、スマートフォン、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等の情報手段が広く普及しています。

また、市町村ごとのハザードマップや警報、エリアメール、防災速報等などの高性能な降雨情報の提供により、災害に関する各種情報が整備されています。

内閣府の中央防災会議や各市町村における防災への取り組みも年々充実してきています。2018年7月の西日本豪雨で各自治体が避難を呼び掛けたものの、逃げ遅れによる死傷者が相次いだことなどを受け、内閣府は避難情報を5段階にレベル分けする指針を定め、2019年5月末から運用を開始しました。警戒レベル3で高齢者等避難開始、レベル4以上で全員避難、レベル5では既に災害が発生している状況のため「命を守る最善の行動を取る」としています。自治体が避難情報を発令する際、警戒レベルも併せて伝えることで、直感的に理解しやすくする狙いがあります。
 
警戒レベル (洪水、土砂災害) 住民がとるべき 行動 行動を促す 情報 防災気象 情報
警戒 レベル5 命を守る
最善の行動
災害の発生情報
(出来る範囲で発表)
指定河川
洪水予報
土砂災害
警戒情報
警報
危険度分布
警戒 レベル4 避難 ・避難勧告
・避難指示(緊急)
警戒 レベル3 高齢者等は避難
他の住民は準備
避難準備
高齢者等避難開始
警戒 レベル2 避難行動の確認 注意報
警戒 レベル1 心構えを高める 警報級の可能性

(表:内閣府「避難勧告等に関するガイドラインの改定」を元にニュートン・コンサルティングが作成)


人の生命を守る防災の観点からだけではなく、組織の継続を図る観点からも、災害時に迅速に避難できるような体制を、普段からどのように作り上げていけばいいのか考えておくことが必要です。

多様化している情報伝達手段の活用

出典:名古屋市「あなたの街の洪水・内水ハザードマップ」より

(執筆:辻井 伸夫

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