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用語集

避難勧告/避難指示/避難準備情報

2012年11月15日

水害や土砂災害、高潮、そして記憶に新しい東日本大震災の大津波などの自然災害が発生したとき、あるいは発生のおそれがあるときに市町村長から発令されるのが、「避難勧告」「避難指示」「避難準備情報」です。

テレビ番組のレポーターなどが、「避難命令」という言葉を使っているのを聞いたことがあるかもしれませんが、法律的には「避難命令」という言葉はなく、「避難のための立退きの勧告」(避難勧告)と「避難のための立退きの指示」(避難指示)という規定しかありません。このようにメディアの世界でも、避難に関する用語が正しく認識されていないのが現状です。

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『避難勧告・避難指示・避難準備情報の違いに関する 住民理解の実態』(※調査は平成22年11月) 出展:中央防災会議「災害時の避難に 関する専門調査会」報告書(平成24年3月)

平成22年に内閣府が広島県の5市町で行ったアンケート調査でも、約4割の住民が避難勧告、避難指示、避難準備情報の違いを理解していないという結果が出ていますから(右表参照)、避難に関する用語の持つ意味の違いが社会的に明確に認識されているとは言えないでしょう。

これらの用語の違いを理解していないと、いざというときに間違った行動をとってしまうかもしれません。また、用語の違いをあらかじめ理解しておくことが、自らの身の安全を守ることになりますから、避難に関する用語を正しく理解しておくことは大事です。

「避難勧告」とは

「避難勧告」は、対象地域の居住者や滞在者等の生命・身体の保護を目的として、安全な場所への立退きを求め、早めの避難を促すために出されます。居住者等を拘束するものではありませんが、発令する市町村長は、その「勧告」を尊重することを期待して避難を勧め促します。

法律には、災害対策基本法60条で「避難のための立退きの勧告」と規定されています。

また、平成17年3月に内閣府が作成した「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」では、人的被害の発生が高まった状況で、通常の避難行動ができる人は避難を開始しなければならない段階とされています。

自らや家族等の身の安全確保を第一に考え、市町村長から避難勧告が出されたら避難を始めることが重要です。

「避難指示」とは

「避難指示」は、「避難勧告」の状況よりも、さらに水害等の災害の危険が切迫している場合に出されます。避難勧告に従ってすでに避難した人は、迅速かつ確実に避難を完了する必要がありますし、まだ避難していない人はすぐに避難しなければいけません。もし、避難する(時間的)余裕がない人は、生命を守るための最低限の行動をしなければならない段階です。

法律では、災害対策基本法60条で「避難のための立退きの指示」が規定されていいます。

また、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」では、災害の前兆現象の発生や、その時の切迫した状況から、人的被害の発生する可能性が非常に高いと判断された段階に発令されるものとされています。

冒頭では用語の意味を正しく理解することが重要と書きましたが、実質的にはこの「避難指示」は市区町村長からの避難についての「命令」の意味だと認識し、出来るだけ早く近くの避難所や安全な場所に避難しましょう。

「避難準備情報」(要援護者避難情報)とは

法律上の規定はなく、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」や市区町村の地域防災計画等で定められています。
人的被害発生のおそれが高く、事態の推移によっては、避難勧告や避難指示発令の可能性があるというときに、避難に向けた準備を呼びかけるものであるとともに、避難に際して時間がかかるような要援護者(高齢者、身体障碍者等)に対しては、避難を開始することを促しています。
居住者等に求める具体的な行動としては、要援護者は計画された避難場所への避難を開始し避難を支援する人は支援行動を開始する、要援護者以外の人は、家族等との連絡、非常持出品の用意等の避難の準備を開始する、となっています。
 
類型 内容 根拠条文等
警戒区域の設定 警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する以外の者に対して当該区域への立ち入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずる 災害対策基本法
第4節 応急措置
第63条 <罰則あり>
避 難 指 示 被害の危険が目前に切迫している場合等に発せられ、「勧告」よりも拘束力が強く、居住者等を避難のため立ち退かせるための行為 災害対策基本法
第3節 事前措置及び避難
第60条 <罰則なし>
避 難 勧 告 その地域の居住者等を拘束するものではないが、居住者等がその「勧告」を尊重することを期待して、避難のため立退きを勧めまたは促す行為
避難準備情報
(要援護者避難情報)
・要避難者等、特に避難行動に時間を要する者は、計画された避難場所への避難行動を開始(避難支援者は支援行動を開始)
・上記以外の者は、家族等との連絡、非常用持出品の用意等避難準備を開始
避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン
(平成17年3月)
自主避難の呼びかけ (各市町村において独自に行っているもの) 地域防災計画等

多様化する避難関連の情報手段

災害時の避難に関する法律的な根拠となっている災害対策基本法が制定されたのは、約半世紀前の昭和36年(1961年)です。その当時から比べると、情報伝達手段や情報自体の高度化、社会環境の変化等により、避難の呼び掛け方法も大きく変わってきています。

以前は、避難に関する情報手段は、防災無線、ラジオ、テレビ等が主流でしたが、現在ではパソコンや携帯電話、スマートフォン、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等の情報手段が広く普及しています。

また、市町村ごとのハザードマップや警報、エリアメール、防災速報等などの高性能な降雨情報の提供により、災害に関する各種情報が整備されています。

内閣府の中央防災会議を始め、各市町村における防災への取り組みも年々充実してきています。

人の生命を守る防災の観点からだけではなく、組織の継続を図る観点からも、災害時に迅速に避難できるような体制を、普段からどのように作り上げていけばいいのか考えておくことが必要です。

多様化している情報伝達手段の活用

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出展:名古屋市「あなたの街の洪水・内水ハザードマップ」より

(文責:辻井 伸夫

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