災害拠点病院
掲載:2015年02月10日
用語集
災害拠点病院とは、平時は入院・外来患者の診療をしている病院で、県内や近県で地震・津波・台風・噴火等の災害が発生した場合、災害医療を実施する病院のことです。
阪神淡路大震災では多くの病院が被災し、発災直後から被災者へ災害医療の提供ができなかったことから、災害発生時の診療体制、患者の広域搬送、医療救護チームの派遣・受入、救急医療情報システムの整備がすすめられました。災害発生時には、都道府県知事の要請で傷病者受入、医療救護班(DMAT)の派遣なども行います。
災害拠点病院の指定要件
災害拠点病院は、都道府県知事が災害対策基本法に基づいて指定しています。その主な指定要件は下記でした。
- 建物が耐震耐火構造であること。
- 資器材等の備蓄があること。
- 応急収容するために転用できる場所があること。
- 応急用資器材、自家発電機、応急テント等により自己完結できること。(外部からの補給が滞っても簡単には病院機能を喪失しないこと)
- 近接地にヘリポートが確保できること。
- 24時間いつでも災害に対する緊急対応ができ、被災地域内の傷病者の受入・搬出が可能な体制を持つ。
- 実際に重症傷病者の受け入れ・搬送にヘリコプターなどを使用して行うことができる。
- 消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある。
- ヘリコプターに同乗する医師を派遣できることに加え、これらをサポートする、十分な医療設備や医療体制、情報収集システムと、ヘリポート、緊急車両、自己完結型で医療チームを派遣できる資器材を備えている。
また、災害拠点病院には、基幹災害拠点病院と地域災害拠点病院があります。基幹災害拠点病院(※1)は、地域災害拠点病院の機能を強化し、災害医療に関して都道府県の中心的な役割を果たし、原則として都道府県に1ケ所設置されています。地域災害拠点病院は二次医療圏(※2)ごとに1ケ所設置されています。
※1:岩手県、千葉県、東京都、新潟県、富山県、岐阜県、愛知県、兵庫県、佐賀県、長崎県、宮崎県には基幹災害拠点病院は2ヶ所以上あり、神奈川県には基幹災害拠点病院はありません。
※2:二次医療圏とは、入院ベッドが地域ごとにどれだけ必要かを考慮して決められる医療の地域圏で、手術や救急などの一般的な医療を地域で完結することを目指しています。厚生労働省が、医療法にもとづいて、地理的なつながりや交通事情などを考慮して、一定のエリアごとに定め、複数の市町村を一つの単位とし都道府県内を3~20程度に分けています。
災害拠点病院の所在
どういう症状のとき災害拠点病院へ搬送するのか
BCPへ記載する場合のポイント
ルートを確認した後は、搬送方法を検討します。災害時に救急車は来ないものと考え、担架の購入や簡易担架の作成方法等を予め調べ訓練を実施しておくと良いでしょう。台車をお持ちの企業であれば、台車も搬送に有効です。
もちろん、近隣の医療救護所も調査しておいてください。災害拠点病院へ徒歩での移動が困難な場合、医療救護所へ搬送します。普段から健康診断等でお付き合いのある診療所(クリニック)を搬送先に指定している場合、災害時の傷病者対応の有無を確認しておきます。診療所の医師は所属する医師会からの依頼で災害時には、近隣の病院または医療救護所へ支援に回るため診療所を閉める場合があります。
事業を継続するためにも人命は守るべき重要な資産です。災害拠点病院の役割を理解し、場所や搬送方法等決定しておくことをおすすめします。