自助/共助/公助
掲載:2015年03月23日
用語集
防災対策・災害対応を考えるうえで「自助/共助/公助」という考え方があります。
自助とは、自ら(家族も含む)の命は自らが守ること、または備えること
共助とは、近隣が互いに助け合って地域を守ること、または備えること
公助とは、区をはじめ警察・消防・ライフラインを支える各社による応急・復旧対策活動
を指します。阪神淡路大震災以降注目され、東日本大震災で改めて理解が求められる当概念について説明します。
当概念の成り立ち
古くは日本でも、江戸時代の米沢藩藩主上杉鷹山は、政の基本に、自ら助ける「自助」、近隣社会が助け合う「互助」、藩行政が力を発揮する「扶助」の『三助』を定めていました。文字は違いますが、「自助」、「共助」、「公助」と同じ概念です。このように、住民と地域と行政団体との関係性については、時代や地域問わず共通性が見受けられます。
災害対応への応用
調査:阪神淡路大震災で生き埋めになった人たちが、 誰によって救出されたか?
大規模な災害であればあるほど、「国が何とかしてくれるハズ」と期待しがちですが、公助にも限界があります。防災対策・災害対応においては、まず自らがその生命や財産を守り、そこから共助公助に期待される役割を大きな団体・組織が行っていくという考えが基本となっていると言えるでしょう。
右記は、阪神淡路大震災で生き埋めになった方々が誰によって救出されたかを調査した結果です。これを見ても、災害対応における自助/共助の果たす役割の重要性が分かります。
「自助」において、事業者に求められる役割
「自助」において事業者が求められる役割としては、事業者が抱える生命・資産を守り、顧客または社会に継続して価値が提供できるように、事業活動を継続することが挙げられます。
2012年3月に経団連より発表された提言「災害に強い経済社会の構築に向けて」より「企業に求められる地震対策の10か条」が紹介されています。「自助」における企業の災害対策立案上のチェックリストとして掲載いたします。
- 災害対策本部の体制整備と機能強化
- 社員とその家族の安否確認手段の多重化
- 実践力向上に資する訓練の継続的実施
- 全社員の防災意識の向上と社内人材育成の推進
- 適正な備蓄品目の選定と備蓄量の確保
- 施設の耐震化・不燃化と什器の固定の促進
- 流動性資金と復興資金の確保
- サプライチェーンへの支援と連携強化
- 社内外の帰宅困難者に関する取組みの促進
- 地元自治体や地域との積極的な連携強化
「共助」についての指針など
国の取組としては、内閣府が率先して共助の仕組み作りを牽引しています。2014年4月に施行された地区防災計画制度では、共助の対象である地区での活動がどうあるべきかということが定められました。また、平成26年度版防災白書では「共助による地域防災力の強化~地区防災計画制度の施行を受けて~」をテーマに、自助・共助・公助に関するデータのうち、特に共助に焦点を当て、地域防災力強化の方向性を検証する特集が組まれました。(【速報】内閣府、平成26年版防災白書を公表)
一方で、自治体の方でも共助と自助の切り分けを明確にする取組をおこなっています。東京都港区では帰宅困難者対応における事業者責務を明示した条例施行し、その後も毎年見直しをするなどの対策が実施されています。(事業継続コンソーシアムで港区防災危機管理室が講演した資料をご参照ください。)
自助/共助/公助における実例
ハード | ソフト | |
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自助 (個人/企業) |
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共助 (企業/地域) |
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公助 (行政等) |
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