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企業の防災活動に役立つ資格

掲載:2015年06月18日

改訂:2022年03月29日

コラム

防災を考える際に「自助」「共助」「公助」という考え方がありますが、そのうち、「自助」「共助」の役割が民間企業にも求められています。特に東日本大震災のような大規模な災害発生時には「公助」が必ずしも隅々まで行き届かない恐れがあることから、「自助」「共助」による防災活動の重要性がますます高まっていると言えるでしょう。民間企業において「自助」「共助」を実現するには、防災関連の知識や技能を持っている人材が必要不可欠です。

防災について一定以上の知識や技能を持っていることを証明する防災関連の資格は、大きく二つに分類することができます。一つ目は「防災管理者」「防火管理者」など、企業が有資格者の選任を法令で求められる資格です。もう一つは「防災危機管理者」「防災士」など資格取得者の選任に法的な強制力はないものです。

         

防災関連資格の比較

主な防災関連の資格の概要を以下に整理しました。

主な防災関連の資格
名称 種別 役割イメージ 活動場所 企業が資格者を選任する法令根拠
防火管理者
(但し実際に選任されなければ、防火管理講習修了者)
国家資格 多数の人が利用する建物などの「火災による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者 職場、マンション管理組合など あり(消防法)
防災管理者
(但し、実際に選任されなければ、防災管理講習修了者)
国家資格 大規模・高層の建築物等において、地震その他の「火災以外の災害」による被害を軽減するため、防災管理に係る消防計画を作成し、防災管理上必要な業務(防災管理業務)を計画的に行う責任者 職場、大規模マンションの管理組合など あり(消防法)
防災危機管理者 民間資格
一般社団法人教育システム支援機構が認定
避難誘導、人命救助、復興活動、事業継続のリーダー 職場、地域、家庭など なし
防災士 民間資格
NPO法人 日本防災士機構が認定
防災に関する高い意識と知識や技能を持ち、社会の様々な場で減災と社会の防災力向上のための活動が期待される 職場、地域、家庭など なし

資格取得の要件

これらの資格を取得するには、必要な知識を習得する研修を受講し、認定を受ける必要があります。資格取得の要件は以下の通りです。

防火管理者
資格取得のプロセス 1)防火管理講習の受講
2)効果測定(最終科目終了後に実施)
上記終了後に講習実施機関が修了証を交付
研修所要時間 1日~2日
甲種:2日
乙種:1日
費用 甲種 8,000円(税込)
乙種 7,000円(税込)
甲種再講習 7,000円(税込)
更新 5年以内に再講習を受講
(具体的な再講習の受講義務・受講期限は事業所を管轄する消防本部・消防署に確認が必要)
認定機関 一般財団法人 日本防火・防災協会

※防火管理者は防火対象物の用途、規模、収容人員、管理権原の範囲等により「甲種」と「乙種」とに区分されます。乙種防火管理講習修了者を防火管理者に選任することができる防火対象物は、比較的小規模なものです。どちらの種別を選任できるのかは事業所を管轄する消防本部・消防署に確認が必要となります。

防災管理者
資格取得のプロセス 1)防災管理講習の受講
2)効果測定(最終科目終了後に実施)
上記終了後に講習実施機関が修了証を交付
研修所要時間 1日~2日
防災管理新規講習:1日
防火・防災管理新規講習(併催):2日
費用 防災管理新規講習  7,000円(税込)
防火・防災管理新規講習(併催) 10,000円(税込)
防火・防災再講習 7,500円(税込)
更新 5年以内ごとに再講習を受講
(具体的な再講習の受講義務・受講期限は事業所を管轄する消防本部・消防署に確認が必要)
認定機関 一般財団法人 日本防火・防災協会

※日本防火・防災協会の修了証を取得して再講習を受ける際は、オンラインでの講習が一部可能です。

防災危機管理者
資格取得のプロセス 1)添削問題提出
2)防災・危機管理e-カレッジ研修受講
3)救命講習受講(消防署の普通救命講習もしくは日本赤十字の救急法講習の受講)
上記終了後に認定機関に申請
研修所要時間 標準的な受講期間1~2か月
研修・添削問題:20時間程度
・防災・危機管理e-カレッジ研修:8時間程度
・普通救命講習:3時間
費用 ・添削問題(通信研修:在宅学習)受講料66,800円(税込)※
・e-カレッジ研修:無料
・救命講習:1,500円程度(講習の実施機関により異なる)
更新 なし(終身資格)
認定機関 一般社団法人 教育システム支援機構

※「大震災対策月間」などで受講料が割引になる場合があります。

防災士
資格取得のプロセス 救命講習の受講(消防署の普通救命講習もしくは日本赤十字の救急法講習の受講)
2)日本防災士機構が設定したカリキュラムによる研修を履修
3)防災士資格取得試験の受験
上記終了後に認定機関に資格申請
研修所要時間 20時間程度
費用 ・救命実技:1,500円程度(講習の実施機関により異なる)
・防災士教本:3,500円
・防災士機構の研修:研修機関によって異なる(助成制度を利用し、全額負担、一部負担など様々)
・防災士資格取得試験受験料:3,000円
・防災士認定登録申請料:5,000円
更新 なし(終身資格)
認定機関 NPO法人 日本防災士機構

企業として資格取得のサポートは必要か

「防火管理者」「防災管理者」など資格取得が法令で求められているものには企業は責任を持って対応しなければなりません。これらの資格取得に対する費用負担などのサポートは必須と言えます。管理者を選任しなかったり、選任された者の災害時の行動に問題があったりすれば、最悪の場合には法的責任を問われる可能性もあります。

一方で「防災危機管理者」「防災士」は企業に資格者の選任が求められるわけではないので、資格取得をサポートするかどうかは企業独自の判断となります。法的な強制力のある資格ではありませんが、「防災危機管理者」や「防災士」は防災に関する知識や技能を持つ貴重な人材と言えます。人材育成の成果や企業の防災力を測る指標の一つとして、こうした資格を活用してみてはいかがでしょうか。

なお、当たり前のことですが、防災関連の有資格者がいるだけで災害時に必ず防災組織が機能するというわけではありません。防災組織を「絵に描いた餅」ではなく有事にその役割責任を果たせるようにするには、企業は有資格者を確保するだけでなく、人材の教育(講習の受講)や訓練を行い、防災力を高めていく必要があります。

(※ 本記事は2022年3月時点の情報を基に作成しています)

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