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南海トラフ

掲載:2013年10月09日

改訂:2024年08月14日

用語集

地球の表面は、十数枚の厚さ100kmほどの大きな岩盤に覆われています。この岩盤をプレートと呼んでいます。そのうち、北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートの4枚が日本列島の近くで接しており、日本列島はちょうどその境界に位置しています。静岡県の駿河湾から九州東方沖まで続くフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界は、トラフと呼ばれる、水深約4,000mに及ぶ大きな海底の溝となっています。これが南海トラフと呼ばれているものであり、大規模で活発な活断層となっています。

         

南海トラフ巨大地震発生のメカニズム

日本列島付近で境界を接している4枚のプレートのうち、太平洋プレートとフィリピン海プレートが海側にあり、日本列島がのっている陸側のユーラシアプレートと北米プレートの境界の下に、1年に数cmというゆっくりとした速さで沈み込むように移動しています。この時、海側のプレートの沈み込みにともなって、陸側のプレートの端が巻き込まれて曲げられていき、岩盤に歪みがたまっていきます。この歪みがある限界を超えると、陸側のプレートの端が跳ね上がって地震を起こします。

南海トラフ地震は、この4枚のプレートのうち陸側のユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界で起きる地震を指します。

この南海トラフ沿いで起きる地震は、発生する地域により3つの地震に区分されています。すなわち、四国沖から紀伊半島沖で発生する南海地震、紀伊半島から浜名湖にかけて発生する東南海地震、浜名湖から駿河湾にかけて発生する東海地震です。これらの地震は同じ南海トラフに連なることから、過去の事例からも互いに連動して起きることが知られています。

いずれの地震でも、陸側の跳ね上がったプレートにより海水が持ち上げられ、津波が発生して被害を大きくすることが危惧されています。

南海トラフの地震活動の長期評価

※出典:地震調査研究推進本部「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)」

過去の南海トラフ巨大地震

地震により陸側のプレートの歪みは解消されますが、引き続き海側のプレートは陸側のプレートの下に沈み込み続けます。そして陸側のプレートは再び歪みがたまりはじめることになり、それがまた限界に達すると地震が発生するというサイクルを繰り返すことになります。このため、過去に起きた南海トラフに関係する地震を見ても100~200年の周期で発生していることがわかります。

しかも、南海地震、東南海地震、東海地震とも連動しているため、短期間のうちに立て続けに起きる傾向にあります。

過去の被害状況も四国地方、関西地方、東海地方、九州地方と広範囲に及んでおり、特に津波による被害が大きかったことが記されています。現在の被害想定に関しても、内閣府の中央防災会議防災対策推進検討会議の下に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」で、特に津波対策を中心に実行できるものから早急に強化していくことが重要であるという認識のもとに中間報告が発表されています。

身近なところからの安全確保

国や各自治体からは南海トラフ巨大地震に関連する被害想定が発表されており、特に津波が到達する沿岸地域については大きな被害想定がなされています。過去の南海トラフ巨大地震の発生時期を見ていただいた通り、残念ながらいつこれらの巨大地震が発生してもおかしくない時期に差し掛かっていると言わざるを得ません。まずは日頃から、身近なところの安全確保を図るための準備を進めていただくことが肝要です。

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