国土交通省は18日、防災・減災対策本部の第12回会合を書面開催し、令和2年度から取り組んでいる「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」の令和7年度プロジェクトを決定、公表しました。南海トラフ地震など大規模災害に備えるため、「災害対応力強化のための体制強化と多様な主体との連携の推進」をテーマとし、「TEC-FORCE予備隊員」制度や「TEC-FORCEアドバイザー」制度の創設が盛り込まれました。
公表されたプロジェクト資料によると、令和7年度は「国土交通省としての体制強化」と「多様な主体との連携の推進」を2本柱とするプロジェクトです。
まず国土交通省としての体制強化については、「組織力の強化」と「施設・設備・資機材の強化」の2つに整理されています。組織力の強化では例えば、災害時に被災地へ派遣できる人材を増やすため「TEC-FORCE予備隊員」制度を創設します。TEC-FORCE(Technical Emergency Control FORCE)は国土交通省が創設した災害派遣チームのことで被災状況調査や復旧支援を行います。
災害対応におけるTEC-FORCEの重要性が高まる一方で、災害の激甚化や広域化に鑑みるとさらなる人員体制の拡充が課題となっていました。新設する「TEC-FORCE予備隊員」制度では、専門的な知識を持つ人を民間から募集・採用し、災害時に国家公務員(非常勤職員)として被災地に派遣します。
TEC-FORCEについては2本柱のもう一つ、「多様な主体との連携の推進」においても施策があります。国土交通省の要請により活動する企業・団体を「TEC-FORCEパートナー」と位置付け、TEC-FORCEパートナーによる応援体制を構築します。広域におよぶ複数の被災自治体を支援する際、TEC-FORCEパートナーはTEC-FORCEと一体的な活動を展開すると記されています。
さらに、土木や建築、防災など各分野の専門家から技術的助言を受けやすくするため「TEC-FORCEアドバイザー」制度も創設します。災害時に被災地で活動する学識者を「TEC-FORCEアドバイザー」として事前に委嘱、発災後に速やかに被災地入りし、技術的判断が難しい事案に対応する体制を確保します。地域の学識経験者との連携が強化され、広域災害時のみならずTEC-FORCEの「高度技術指導班」による活動がより円滑かつ高次になることも期待できるとしています。
公開された令和7年度プロジェクト文書には、前年度プロジェクトの進捗状況もまとめられています。例えば重要施設に接続する上下水道管路の一体的な耐震化について個別補助制度を創設するとともに交付金を拡充したことや、「リスクコミュニケーションを取るための液状化ハザードマップ作成の手引き【補足資料】」をとりまとめたことなどが紹介されています。後者は国土交通省が2021年2月に公表した「リスクコミュニケーションを取るための液状化ハザードマップ作成の手引き」の補足資料となるもので、能登半島地震による液状化被害の実態を踏まえ、液状化ハザードマップの作成において精度向上を図るための知見や留意点などが記載されています。