今年6月に創設された「TEC-FORCE予備隊員」制度は予備隊員の募集・選考の結果、全国で320名のTEC-FORCE予備隊員が登録されました。登録期間は2026年9月30日まで。
募集は国土交通省地方整備局や地方運輸局などを通じて行われました。登録320名のうち301名は地方整備局、残る19名は地方運輸局で登録されました。当初今年7月の募集段階では約100名程度の登録を想定していました。
TEC-FORCE予備隊員は、国土交通省のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の一員として災害派遣時に非常勤の国家公務員として採用され被災地で活動します。平時は所属企業などで勤務し、研修や災害時のみに活動する制度です。
近年の豪雨や地震など多様な災害対応の経験を踏まえ、国土交通省はTEC-FORCEの増強が以前にも増して求められていると認識しています。2025年4月時点でTEC-FORCEの隊員は約1万8,000名が任命されており、そのうち81%は地方整備局の職員で占められています。今後は、専門的知識や経験を有する民間人材やOBの起用により、人員規模と専門性の一層の充実を図る方針です。
TEC-FORCEの職務は主に次の3つです。
- リエゾン(連絡調整)
- 被害状況調査
- 技術的助言
リエゾンでは、被災自治体と地方整備局もしくは地方運輸局とのパイプ役を務めます。被災地における情報収集や、災害応急対策について関係行政機関との連絡調整を行います。物資拠点の管理・運営においては予備隊員が支援物資の荷捌き、仕分け、保管、避難所などへの配送調整が有効に機能するよう配送業務をサポートします。物流事業者の派遣要請や災害協定締結に向けたサポートも行います。
被害状況調査では、河川、砂防、海岸、道路、港湾など自治体が管理する公共土木施設の被害状況を短期間で調査します。発災後の橋梁や危険渓流などの安全性確認も行います。
技術的助言では、災害応急対策に必要となる高度な技術的助言を自治体に提供します。被災自治体の職員では対応が困難な事象について高度な専門知識を生かして支援します。また、被災自治体の物資拠点における管理・運営と、避難所などへの物資輸送に関する技術的な助言を行います。
このため、TEC-FORCE予備隊員には、公共土木施設の災害応急対策または災害復旧に関する業務経験▽公共土木施設の被災要因分析や対策に関する研究実績▽旅客輸送などに関する業務経験▽在庫管理・倉庫管理・輸送(配送)管理などの実務経験▽被災自治体での緊急支援物資の管理・運営業務の実務経験――などが求められます(地方整備局と地方運輸局で内容は異なります)。