内閣府男女共同参画局はこのほど、「令和6年度 男女共同参画の視点からの能登半島地震対応状況調査 報告書」を公表しました。調査対象は、被災自治体(4県47市町村)、応援自治体(対口支援を行った都道府県および政令市を含む市町村)、男女共同参画センター(357団体)、民間支援団体(NPO、企業、社会福祉協議会など約200団体)です。
令和6年に発生した能登半島地震では、東日本大震災など過去の災害時と同様に、被災女性が特有の困難に直面していたことが明らかとなりました。そのため、今後の災害対応について男女共同参画の視点をさらに取り入れることを目的に調査を実施、報告書には調査結果と今後の課題や提言が盛り込まれました。
内閣府男女共同参画局は、被災女性が直面する困難について、以下の4つを例として挙げています。
- 災害対応に関する意思決定の場や災害現場への女性の参画が十分ではなく、初期段階から女性の意見が反映されにくい
- 性別を理由とした役割分担意識が根強く、女性は炊き出しや掃除、家事、子育ての負担が増大し、疲弊してしまいがちである
- 女性や子育て家庭、要介護者のいる家庭の事情が反映されず、必要な支援や物資の入手が困難
- 避難所などにおいて性暴力やDVのリスクが高まる
今回の調査結果でも、被災自治体における防災・危機管理担当部署職員の女性比率が、4県では11%、市町(被災自治体のうち41市町)では10%と低く、災害対応に関する意思決定の場に女性の参画が不十分な実態が明らかとなりました。
上記のような課題が改めて顕在化した一方、女性やこどものための居場所づくりや相談体制の整備、避難所などでの性暴力・DV防止の取り組みなど、これまでの経験や知見を活かした支援が、女性防災リーダーや医師、外部の女性団体や保健師、保育士などのほか、国や県、応援自治体、警察、自衛隊などによって行われた好事例についても明記されました。
さらに、顕在化した課題を踏まえ、国をはじめとする各自治体、男女参画センター、民間支援団体、自主防災組織などに対して、今後の災害対策において男女共同参画の視点を主流化し、女性が主体的に参画するための提言と具体策をまとめています。
提言については、「意思決定や災害の現場への女性の参画促進」、「地域の女性防災リーダーの活躍支援」「男女別データを活用した対策強化」など7項目が示されました。この提言を実現するための具体策として、提言ごとに2~6項目の具体策を提示し、支援関係者の取り組みを促しています。