気象庁はこのほど、令和6年能登半島地震について、当時の揺れの状況、緊急地震速報および津波警報などの入手・活用状況に関するアンケート調査を実施し、結果を公表しました。
この調査は、防災対応の基準として利用されている気象庁発表の震度について、震度と地震による被害状況の関係を把握するために行われたものです。気象庁は地震観測地周辺でどのような現象や被害が発生するのかの目安を示した「気象庁震度階級関連解説表」(以下、解説表)を作成しており、本解説表の点検と更新のための基礎資料として事例蓄積を行い、安全知識の普及啓発に努めるとしています。
令和6年能登半島地震の調査では、震度5弱から6弱を観測した地点と震度6強・7を観測した地点を合わせた108地点を対象に行い、調査票5,338部のポスティング配布が行われ、このうち有効調査票は2,192部となりました。
揺れに関するアンケート調査の結果では、固定していない家具の状況について、震度7では「固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある」という解説表に該当した結果と同じ回答をしたのは40%強、それ以外の回答が半数以上を占めました。気象庁は、この結果は家具の形状や置き場所によっては解説表の表現と一致しない場合もあると分析しています。また、震度が大きくなるにつれ、移動する、倒れる、飛ぶといった現象が増える傾向は明らかで、解説表の表現とおおむね整合性が取れていると評価しました。
緊急地震速報および津波警報などのアンケート調査では、最初の地震(マグニチュード5.5、最大震度5強)の4分後、16時10分に発生したマグニチュード7.6、最大震度7の地震が起きた際の、緊急地震速報と津波警報を見聞きしたときの行動についての結果も掲載されています。
緊急地震速報を「見聞きした」と回答した人は1,352人中1,185人の9割弱となり、そのうち、見聞きした手段(複数回答可)で最も多かったのは「テレビ」が72.2%、次いで「エリアメール、緊急速報メール(携帯電話・スマートフォン)」が63.1%となりました。
また、「見聞きした」と回答した人にどういう行動を取ったかというアンケート(複数回答可)では、「その場で身構えた」が48.1%と最も多く、「テレビやラジオ、携帯電話などで地震情報を知ろうとした」が38.9%と続きました。「何もしなかった」や「何もできなかった」と回答した人はいずれも1%前後で、多くの人々が身を守る行動を取るとともに、地震に関する詳細な情報を入手しようとしたことが明らかとなりました。
津波警報を「見聞きした」と回答した人は1,352人中1,103人の81.6%となり、「見聞きした」と回答した人のうち、津波から「避難しなければ危ないと思った」が45.0%、「念のため避難した方がよいと思った」が36.6%と、合わせて約8割の人が津波からの避難を意識していたことがわかり、適切な行動を取っていたと結論づけました。