内閣府は8月7日、南海トラフ地震臨時情報が気象庁から発表された際の取るべき防災対応をまとめたガイドラインを改訂し公表しました。ガイドラインは3部構成で事業者向けには「事業者編」として検討すべき事項などが整理されています。
改訂されたガイドラインは「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」です。2019年3月に「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」として第1版が策定されたものでその後、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の変更や、災害対策基本法の一部改正によって一部が改訂されてきました。
今般の改訂は昨年8月に初めて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されたことを教訓として「巨大地震注意」に関する記載を充実させる狙いで修正され、ガイドライン名称も新たに「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」となりました。
気象庁が発表する「南海トラフ地震臨時情報」はまず「調査中」が発表され、評価検討会による評価を踏まえて「巨大地震注意」もしくは「巨大地震警戒」が発表されます。地震の規模などによっては「調査終了」となる場合も想定されています。昨年8月8日の宮崎県日向灘を震源とする地震ではマグニチュードが7.1であったため「巨大地震注意」となりました(マグニチュード8.0以上=半割れケースとなった場合は「巨大地震警戒」)。
ただ、「巨大地震注意」が発表されたのは初めてであったため、鉄道の運休やイベントの中止など社会経済活動の一部で混乱が生じました。このことを教訓として地方公共団体や企業がどのように対応すべきか、防災対応の検討に役立つよう記載を充実させました。
ガイドラインは3部構成となっており、全体的な防災対応は「共通編」にまとめられています。このほか「地方公共団体編」と「事業者編」があります。さらに個別分野における留意事項を示す項目が設けられており、例えば鉄道や病院などを取り上げて「巨大地震注意」と「巨大地震警戒」のそれぞれにおける対応例を示しています。
具体的には、「巨大地震注意」の発表においては、鉄道では「原則、運行規制はしない。(平常通り)」と明記されています。また、商業施設関係では「顧客に必要以上の買いだめや買い急ぎを控えるようアナウンスする。」などと記されています。
ガイドラインでは、個々の状況に応じて適切な防災対応を実施した上で、「できる限り事業を継続することが望ましい」と基本的な考え方が示されています。
臨時情報が発表された際に戸惑うことなく、地域の実情に応じた防災対応を取るためには、臨時情報が発表された時の対応をあらかじめ決めておくことが有効です。さらに、南海トラフ特別措置法(※)に基づき指定された「南海トラフ地震防災対策推進地域」内であって津波浸水想定区域(水深30センチメートル以上)に該当し、政令で定められた施設・事業者は「南海トラフ地震防災対策計画」を作成することとなっています。
※南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法のこと。