リスク管理Naviリスクマネジメントの情報サイト

津波検知が最大で約20分短縮、南海トラフ海底地震津波観測網「N-net」沖合システムの活用を開始 気象庁/防災科研

掲載:2024年12月02日

リスクマネジメント速報

         
目次

気象庁は11月14日、観測地点の増加に伴い、津波警報などの更新と津波情報発表において迅速化と精度向上が図られると発表しました。追加された観測地点は南海トラフ海底地震津波観測網「N-net」の沖合システムにある18地点です。高知県から宮崎県にかけての沖合の津波の検知が最大で約20分早くなりました。

気象庁が発表する津波警報・注意報は津波予報データベースの活用のほか、沿岸にある津波観測点や、沖合に設置された海底津波計および海底地震計の観測データを活用しています。南海トラフ地震の想定震源域では、高知県沖から日向灘の間について観測網N-netを敷設する工事が現在、防災科学技術研究所(防災科研)において進められています。

N-netは、光海底ケーブルを敷設した海底地震津波観測システムであり、沖合システムと沿岸システムの2つで構成されています。このうち沖合システムについては2023年10月に着工、今年7月に整備が完了しました。気象庁は同システムの津波計についてデータ品質を確認し、11月21日12時から津波情報などへの活用を開始しました。

N-netの沖合システムが整備されたことで、津波情報において津波の観測値を発表する沖合の津波観測点は232地点から250地点に増加しました。他方、沿岸システムについては10月31日に敷設工事が始まりました。工事は2025年1月中旬に終了する予定で、同年3月末のN-net整備完了を計画しています。

ケーブル式海底地震津波観測システムは、地震計や水圧計などが組み込まれたマルチセンサーを備え、リアルタイムに観測データを取得できます。南海トラフ地震の想定震源域では先に観測システム「DONET 1」、「DONET 2」が整備され高知県沖から日向灘にかけては未整備区間となっていましたが、N-netの敷設によって観測網の空白域が解消されます。

おすすめ記事