東北大学災害科学国際研究所は9月15日、津波避難行動に関するアンケート調査結果を公表しました。調査は同研究所と宮城県亘理町、株式会社サーベイリサーチセンターが共同で行いました。宮城県沖では2021年3月20日、地震が発生し沿岸部に「津波注意報」が発表され、亘理町では「避難指示(緊急)」が発令されました。調査は、この時の住民の避難行動について把握することを目的に実施されたものです。
亘理町荒浜地区・吉田東部地区かつ2011年3月11日に発生した津波の浸水域に居住する1,000世帯にアンケートを行いました。調査期間は2021年7月15~30日で、郵送により445世帯から回答を得ました(有効回収率44.5%)。
回答者のうち、「津波注意報」の発表を認知していたのは96.6%、「避難指示(緊急)」の発令を認知していたのは88.1%でした。また、津波注意報の発表をうけて危機感を持った人は55.8%となりました。
避難の実施率は52.6%でした。避難した人の約3割は「避難指示(緊急)」を避難要否の判断基準としていました。避難の開始時刻は、発災後1時間以内に集中し、「避難指示(緊急)」が出た25分後には約6割、発災から約45分後には9割以上が避難行動をとっていました。一方、避難をしなかった約4割の人のうち、避難することを「考えた」人は約4割で、5割以上は避難することを「考えなかった」と回答しました。
なお、発災当時に発令された「避難指示(緊急)」は2021年5月以降、法改正により「避難指示」に変更されています。