首都直下地震をはじめとする巨大地震への備えを促すイベント「首都防災ウィーク」が8月17日から始まりました。第13回となる今年は、防災講演会「フェーズフリーパークを考える」(8月24日開催)や防災フォーラム「マンション防災/耐震補強/シティコン海底山脈」(同)、第12回防災シンポジウム2025「巨大複合災害への備え~被災後防災の必要性~」(主催は日本危機管理防災学会、9月1日開催)などが予定されています。
首都防災ウィーク実行委員会は中林一樹東京都立大学名誉教授が代表を務める首都防災ウィーク実行委員会が主催する防災イベントで、東京都慰霊協会や全国市有物件災害共済会などが共催しています。東京都慰霊協会は東京都慰霊堂にて毎年9月1日に関東大震災の犠牲者を慰霊する法要を執り行っています。
防災講演会「フェーズフリーパークを考える」は東京都慰霊堂で8月24日午前に開催されます(入場無料)。佐藤唯行フェーズフリー協会代表理事氏が講演するほか、「フェーズフリーパークを考える」と題した座談会も開催される予定です。
8月24日午後に開催予定の防災フォーラム「マンション防災/耐震補強/シティコン海底山脈」では、地震によって発生する災害廃棄物、特にコンクリートがら(コンクリート廃材)について「都市の有用資源(シティコン)」と捉え直し、復興に役立てようとする手法を紹介します。大地震が発生すると大量のコンクリート製のがれきが生じるといわれています。首都防災ウィーク実行委員会によると、首都直下地震が発生するとコンクリート廃材は東日本大震災の7倍の量(6,400万トン)、南海トラフ地震では19倍の1億7,000万トンが発生すると予測されています。
首都防災ウィーク実行委員会ではかねてから「事前復興」の重要性を強調しており、あらかじめコンクリートがれきの対処方法を決めておくことが早期復興に寄与するとし、コンクリートがれきを資源と捉えて循環させる方策を提案しています。具体的には、コンクリート廃材を破砕せずに鉄筋付きのまま、人工海底山脈の建設材料として安全に活用することを提案しています。
コンクリート廃材を破砕せずに使用するというのは、破砕にかかる時間やエネルギー、コストを削減するためです。人工海底山脈とは、「魚が獲れない未漁区」の海底に人工的に小山をつくり、魚を増やす装置とされ、長崎県では実証事業が行われ効果が認められたと説明されています(※)。
9月1日の防災の日には、日本危機管理防災学会が主催するシンポジウム「巨大複合災害への備え~被災後防災の必要性~」(Zoom開催、https://us02web.zoom.us/j/3782787584 パスワード:39※半角数字)が予定されています。東北大学副学長で災害科学国際研究所教授の今村文彦氏が「東日本大震災などの複合災害の実態と今後の対応」と題した講演を、東京大学生産技術研究所教授で同社会科学研究所特任教授の加藤孝明氏が「今後起こり得る未経験の災害様相と対策の方向性」と題した講演を行います。両氏の講演のほかに、ディスカッションなども予定されています。
※実証事業ではコンクリート廃材(コンクリートがら)ではなく、新規のコンクリートブロックが使用されました。