国土交通省は5月27日、令和7年版の首都圏白書を公表しました。白書では、首都圏整備計画の策定および実施状況について、その年度の取り組みが報告されています。災害への備えなど、防災に関する内容も盛り込まれており、都市の安全性向上に向けた施策に言及しています。
防災の取り組みに関しては、2024年に改定された「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドライン」を取り上げています。この改定では、分散帰宅を基本原則とした帰宅困難者の適切な行動判断を助ける情報提供シナリオや一斉帰宅抑制後の帰宅行動指針、国や自治体、民間企業、個人の対応例などが追加されました。
東京都中央区ではこのガイドラインに基づき民間企業を含めた3者協働による帰宅困難者受け入れ訓練を実施。アマゾンジャパン合同会社、中央区、中央区帰宅困難者支援施設運営協議会の3者が、受け入れ態勢の整備や避難誘導、支援物資の提供を行ったことを紹介しています。
国土交通省の取り組みとして挙げられていたのが、能登半島地震の発生により令和6年度プロジェクトの重点テーマを「能登半島地震を踏まえた防災対策の推進」としたこと。類似特性を持つ地域や南海トラフ地震・首都直下地震等への備えを強化するため、「発災後に被害の影響を軽減するための応急対応」と「被害を防止・軽減するための事前対策」の二本柱でとりまとめられました。
また、富士山大規模噴火時の首都圏における広域降灰対策についても明記されました。内閣府は検討会での議論を経て、3月に「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」を策定。このガイドラインは、降灰時も可能な限り自宅等で生活を続けることを基本とし、そのための十分な備蓄、輸送・ライフラインの維持・復旧に関する考え方や留意点を示しています。
水害対策においては、2023年6月の大雨で甚大な浸水被害を受けた中川・綾瀬川流域の埼玉県下流部について、国・県・市町が連携し2024年4月に「中川・綾瀬川緊急流域治水プロジェクト」を取りまとめ、浸水被害の大幅な軽減を目指して流域治水の取り組みを進めていることが記載されています。内水氾濫が被害の主因であったことを踏まえ、河川の堤防整備や河道掘削、排水ポンプや雨水貯留施設の整備など、各種対策事業が推進されています。