自治体に備蓄状況の公表を義務付け、災害対策基本法などの改正案を閣議決定 政府
政府は2月14日、「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。この改正案は災害対策を強化する内容となり、能登半島地震の教訓を踏まえたものです。能登半島地震では避難所の環境が依然として改善されていないことや災害ボランティアとの連携について課題が指摘されていました。対象となる主な法律は災害対策基本法、災害救助法、水道法、大規模災害復興法、大規模地震対策法、内閣府設置法です。政府は今夏の出水期前の施行を目指しています。
内閣府が公表した資料によると、改正案には司令塔として内閣府に「防災監」を設置すること、「被災者援護協力団体」登録制度の創設、被災者に対する福祉的支援の充実、液状化対策の推進、水道復旧の迅速化などが盛り込まれています。
具体的には、災害対策基本法における「災害」の用語定義に「地盤の液状化」が盛り込まれました。また、第2章「防災に関する組織」の第3節「特定災害対策本部、非常災害対策本部及び緊急災害対策本部」にある「緊急災害対策本部の組織」において、「内閣府の防災監」を新設しています。「防災監」は事前防災から災害時対応、復旧復興までの全般を統括する次官級ポストとなります。続く第5節には、「登録被災者援護協力団体」を新設。これは被災地で活動するNPO・ボランティア団体などを事前に登録する制度となり、登録被災者援護協力団体は被災した自治体から住民情報の提供を受けることができます。被災自治体との連携が深まることで迅速な被災者支援を狙っています。
改正案では、被災者に寄り添った支援体制を強化します。避難所においても「福祉サービス」を提供するよう、明記されました。現行法では「保健医療サービスの提供」は明記されていますが、福祉サービスについては記載がありませんでした。一方、発災時に避難所へ向かえず在宅避難する人や、避難所に入れずビニールハウスや車中泊で避難生活を送る人もいます。そうした避難所ではないところで避難生活を送る避難者の生活環境を改善するため、改正案では避難所に身を寄せていない避難者の情報を把握するとともに、必要な生活関連物資の配布、保健医療サービス、福祉サービスの提供をするよう、明記しています。
自治体による備蓄も推進します。第4章「災害予防」の第1節、第49条に「地方公共団体の長は、毎年1回、前項の規定による物資の備蓄の状況を公表しなければならない。」と新たに盛り込まれました。