東京都は防災対策の方向性について9月12日、能登半島地震の教訓を踏まえてとりまとめたものを公表しました。都は新たな東京防災プランを策定予定であるとし、今般整理した方向性を同プランに反映させるとしています。
公表された資料によると、都がこれまで取り組んできた防災対策をさらに加速させるとともに、東京の特性に応じた取り組みを充実させていきます。対応する局面を、予防▽応急▽復旧・復興▽共有――の4段階に分け、課題とともに対策の方向性を示しました。
例えば最初の局面(=予防)では、建物の耐震化▽燃え広がらないまちの形成▽液状化対策の推進▽無電柱化の推進――の4つを主な課題と整理。戸建て住宅を対象とした地盤調査や工事について都が助成したり、宅地開発において無電柱化を推進するため開発事業者へ都が費用を助成したりするなどと対策を示しました。能登半島地震では液状化による被害が広範囲におよんだことや、電柱が傾いたり折損したりしたことを踏まえた対策です。
東京の特性を踏まえたものでは、地域防災力の強化とライフライン施設の強靭化――の2つを挙げています。災害時には、地域住民で助け合う「共助」が求められていますが、東京では地域の防災活動は鈍化傾向にあると指摘。都民の防災意識を高めるため、さまざまなツールを用いて啓発活動を行うとしました。他方、ライフラインの強靭化では、非常時の通信を確保するため、全区市町村にモバイル衛星通信機器を配備するほか、避難所や社会福祉施設のWi-Fi環境や非常用電源設備を整備していくとしました。
上下水道については、水道管の耐震継手化やバックアップ機能を確保するために導水施設(取水施設で取水した原水を浄水場に送る施設)の二重化、送水管のネットワーク化を進めます。また、液状化は地下に埋設されたマンホールを浮上させる要因となります。マンホールの浮上は下水道管の被害だけでなく、緊急車両の通行も妨げます。そのため液状化の危険性が高い地域にある緊急輸送道路のマンホールについて浮上抑制対策を行います。