リスク管理Naviリスクマネジメントの情報サイト

液状化現象

掲載:2011年04月12日

用語集

「液状化現象」とは、主に砂から構成される地盤(砂地盤)の中でも弱いものが地震の振動により液体状に変質することを指します。
液状化現象が最初に注目されたのは1964年の新潟地震で、この現象により団地が横転するという、にわかには信じがたい事態が起きました。その後も阪神・淡路大震災の時の神戸や新潟県中越地震の際の小千谷市、そして2011年3月の東日本大震災では浦安市などで、同じような現象が発生しています。

         

そのメカニズムと発生しやすい場所

砂地盤は、砂粒がお互いに摩擦力を働かせあうことで地上の道路などへの一定の支持力を保っているものですが、これが液体になってしまうメカニズムは次に示す通りです(以下に、地震発生時から液体状になるまでを3つの段階で解説いたします)。
 

第1段階:

地震の震動によって砂地盤は締め固められ(柔らかく積みあげられていた砂山を踏み固めるような感じです)、砂粒の間の空間が圧縮される

第2段階:

前述の砂粒間の空間が圧縮されるために、地震前から砂粒の間に存在した地下水も圧縮され地下水の水圧が上昇する

第3段階:

水圧の上昇により砂粒がお互いから引き離されてしまう。これにより砂地盤が砂と地下水が混じった液体状になってしまう


液状化現象の起こりやすい「地下水位が高く、ゆるい砂地盤」が該当する場所は、一般的に人工の埋立地や川が運んだ砂によってできた三角州といったところです。なお、具体的な土地について液状化の可能性を知りたい場合は、地方自治体が発行している液状化ハザードマップが参考になります(自治体によっては「液状化予測図」「液状化マップ」などの名称も使われています)。

液状化現象がもたらす被害

砂地盤が液体と化してしまう液状化現象は、下記のような被害をもたらします

◆地盤による支持力の喪失による地上構造物への被害

しっかりと締め固まった地盤に杭を打って支持されている建物は無事です。しかし、道路や小規模な建物などの場合、砂地盤の上に直接置いてある形になっているものが多数あります。こうした道路や建物は支えてくれる力が突然失われるため、破壊されてしまいます

◆浮き上がりによる地中配管類への被害

地中に埋設されている配管類(上下水道管等)は突然液体の中に投げ込まれたような形となってしまいます。この結果、配管全体の重量は液状化した砂地盤より軽いので浮き上がってしまうようになり、管が破壊されます

液状化現象への対策

液状化現象への対策としては、地盤改良工事があります。工事のやり方としては、
1)砂地盤を締め固める
2)薬剤により砂地盤を固化する
3)砂地盤を良質な材料に置き換える
4)地下水を汲み上げる
といったものです。また建物向けの対策ならば、液状化しないような十分に締め固まった深い地盤まで杭を打って支持させるという方法があります。

ただし、以上の対策は経済的な理由から限られた面積の土地にしか施せません。道路や地中配管全体を防護できるような広範囲の土地への対策は極めて困難です。

事業継続の観点からみると、経営資源としての建物は無事でも、交通手段や上下水道などが失われ事業継続が困難になることを考えなければなりません。
当社のWebサイトでは、サイト閲覧時の利便性やサイト運用および分析のため、Cookieを使用しています。こちらで同意をして閉じるか、Cookieを無効化せずに当サイトを継続してご利用いただくことにより、当社のプライバシーポリシーに同意いただいたものとみなされます。
同意して閉じる