内閣官房防災庁設置準備室は6月4日、防災庁設置準備アドバイザー会議による報告書をWebサイトに掲載しました。防災庁は内閣直下に設置し専任の大臣を置くこと、関係府省庁などに対する勧告といった権限を付与することなどを提言しています。
報告書は1月30日から計8回にわたって実施された議論を取りまとめたもの。防災庁設置に向けた基本理念、担うべき施策、実施体制に関する基本的な方向性が示されています。現体制の課題を指摘した上で、新設する防災庁に求められる機能を整理、そのための組織体制について具体的に記しました。
それによると、現在は内閣府防災担当が防災政策の企画・立案・総合調整を担っていますが、内閣府防災担当の業務運営は「ほぼパンク寸前の状態」とし、事前準備を万全に実施する体制が構築できていないと指摘しました。発災時には、ほかの省庁から人的応援を得ても事前防災に関する業務などは中断せざるを得ない状況になっています。
こうした状況を打開するため、設置する防災庁は防災に関して中長期的かつ総合的な基本政策や国家戦略の企画・立案を行うとともに、平時から発災時、復旧・復興期までの一貫した司令塔機能を担うと位置づけました。
発災前の事前防災のフェーズでは、司令塔として各府省庁が担う役割(縦割り)の狭間にある課題や対策の抜け・モレを発見し、連携強化に向けた総合調整や実施勧告などを行います。発災時から復旧・復興までのフェーズでは、災害対応の司令塔として初動体制を構築します。また、被災自治体のワンストップ窓口として被災者のニーズを俯瞰的に把握し関係機関を取り持つコーディネートを行います。
災害が発生しても事前防災の業務が中断することのないよう、十分な人員体制と関係機関による防災対策の抜本的推進に必要な予算の確保を求めています。また、体制を構築しても人材なくして目標は達成できません。防災に関する知識・経験が蓄積・継承されるよう、防災庁のプロパー職員を採用・養成することや、デジタル・最先端技術分野といった各分野における専門的な外部人材の業務参画や登用を積極的に実施するよう記されています。