能登半島地震で起きた建築物の構造被害について原因分析した中間とりまとめを公表 国総研/建研
掲載:2024年11月13日
リスクマネジメント速報
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能登半島地震で発生した建築物の構造被害について原因分析と対策の方向性を検討してきた委員会は11月1日、中間とりまとめを公表しました。また、委員会で検討する際の根拠となった調査結果について国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)と国立研究開発法人建築研究所(建研)は同日、「令和6年能登半島地震建築物被害調査等報告(速報)」(国総研資料 第1296号)として公表しました。
中間とりまとめを公表したのは、国総研と建研が設置した「令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会」です。国総研に設置されている「建築構造基準委員会」において今年2月から開催され、建築構造の専門家や建築設計、建築審査の実務者が委員となり、被害を受けた建築物を中心に原因分析や今後の対策の方向性を検討してきました。
国総研と建研が行った現地調査は被害が大きかった地域を対象に実施され、地震動、木造建築物の被害、鉄筋コンクリート構造物などの被害、基礎地盤の被害、津波・瓦屋根の被害、非構造部材の被害がそれぞれ明らかになりました。木造の建築物については建築学会が実施した悉皆(しっかい)調査とも連携しました。
これらの被害調査をもとに、建設年代で分けて分析したり、構造種別ごとに建築物の設計がそもそも適切であったか確認したり、耐震補強が有効に働いたのかといったことなどを検討しました。例えば、建設年代では旧耐震基準以前、新耐震基準以降といった整理のもと、旧耐震基準の木造建築物については、過去の他の震災と同様に新耐震基準が導入された後と比べ顕著に高い倒壊率であったとし、「必要壁量が強化された新耐震基準は、旧耐震基準と比較して、今回の地震に対する倒壊・崩壊の防止に有効であったと認められる」と総括しています。耐震改修についても「被害が軽減されたと考えられる」とその有効性を指摘しました。
鉄筋コンクリート造建築物の転倒被害については「我が国において、杭基礎を有する鉄筋コンクリート造等建築物で転倒被害が確認された初めての事例」と紹介されています。地震時の杭の損傷や移動による支持力の低下が関係していると推定され、さらなる調査および被害の要因分析が必要であると記されています。
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